薬剤師になって11年が経ちました。
新卒入社したのは漢方薬局、主に漢方相談をしておりました。
この会社では、漢方相談以外にPB(プライベートブランド)商品を販売しています。薬局で漢方を販売する、いわゆる店頭販売の仕事です。現場経験を積んだ後は、ステップアップ・スキルアップとして商品開発への道を希望しておりました。
目標を叶えるためにも本社へアピールを重ねます。お客様の声、自店のスタッフの声を参考に、何度も改善提案書や商品企画書を出しておりました。その企画書は高評価を受け採用されることもしばしば。しかし、配属までには至りませんでした。
「商品開発へ異動させてほしい」と直談判したこともあります。ですが、その希望は通ることはありませんでした。10年経験したことで販売スキルが向上、販売成績もトップクラスだったこともあり、他部署に異動させることを嫌がっているようでした。
私が店長や管理職を率先して経験したのは、商品開発へステップアップするためです。自分のやりたいことと、会社が求めることが合致せず、10年という区切りを持って転職を考えるようになりました。
利益重視の姿勢、現場の混乱
また、会社の方針が変わったように感じていました。以前は何よりもお客様優先の姿勢で、お客様の健康のために何が提案できるか、最優先に考えて会社が動いていたと思います。ですが、近年お客様や社員を置いてきぼりにした企画が増えていきます。だんだんと利益重視の方針に変わってきました。
確かに、利益を出さなければ会社は成り立ちません。そして、社員の生活を維持することはできません。キレイごとで会社経営できないのは分かっています。ですが、今まで培ってきた会社の良さを壊そうとしているように感じました。以前の顧客を大事にして紹介を増やすような手法から、メディアや回転率、利益率を上げるような手法になってきました。
メディアに取り上げられるとお客様の集客は格段に増えます。ですが、あまりに殺到すると漢方相談もままならず、リピートしてくれるお客様の対応時間がどんどん短くなっていきます。かといって、人員を増やしてくれるわけでもありません。どんどん社員は疲弊していき、ミスやトラブルが起きやすい状況になりました。
そのような状況では、私自身がいくら信念をもって仕事しても気力が持たなくなりました。お客様の数が多いため、もはや相談ではなく人を捌くような状況。一人一人に誠心誠意対応することが出来なくなります。
「健康」を売る仕事をしているのに、販売者が「健康ではない」は本末転倒です。10年という区切りで漢方薬局を退職することを決心します。
薬剤師の転職サイトを使って仕事検索!
「……で、なにから始めたらいいんだ?」
となるわけですが、まずは薬剤師の転職サイトを覗き見ることにします。転職することは決めましたが、10年も勤めるとなかなか踏ん切りがつきません。漢方薬局という特殊な業界にいたため、私がやりたいことに合致する求人はありませんでした。
次に試したのが、その転職サイトで「未経験」と検索。未経験可の求人が予想よりも多く出てきました。「さすが国家資格!」と思わざるをえません。資格さえあれば転職が難しくないことは分かりました。不安もありましたが、『これだけ求人数があるので、どうにかなるだろう』と思い、次が決まらないまま辞表を提出しました。
会社状況や有休消化の関係もあり、3か月後に退職日を迎えるというスケジュールでした。そのため、働きながら合間に転職活動することになります。転職経験がある薬剤師の友人に話を聞いて、丁寧に相談できる転職エージェントに登録しました。
結果としては、転職活動を始めて約1か月半で転職先が決まりました。まずはエージェントと相談し、自分のやりたい方向や職種を決める。そこから何社か紹介してもらった形です。2社受けて両方とも採用を頂くことが出来ました。
転職活動中どう思っていたか?
「すぐ決まらかったらどうしよう…」と不安になるだろう。転職活動前はそう思いましたが、いざ始めると新卒の頃を思い出しワクワクする気持ちがありました。
漢方薬、漢方薬剤師に関しては、やりきった思いもありました。正直、仕事内容に疲れていたのも事実です。このままいてもステップアップできない。もっとチャレンジできる環境に身を置きたい。そう思っていました。
転職の流れに関して、エージェントがスケジュールを手伝って、履歴書や職務経歴書などの提出書類をチェックしてくれました。手厚いサポートは心強かったです。
薬剤師コールセンターに転職してどうか?
『本当にやりたい仕事だったか?』と問われると、今現在は「ちょっと違う」というのが正直な感想です。ですが、調剤薬局やドラックストアには興味がもてませんでした。同様に、漢方薬局に対しても燃え尽き症候群に近い感情を感じていたため、別業界を経験できたのは大きいです。
現在は、製薬メーカーの相談室でコールセンター業務をしています。今までとは全く違うジャンルであり、また調剤をしないことは薬剤師にとって特殊だと思います。臨床現場を離れることが薬剤師の経験としてどうなのかは、まだ分からないところです。
また、勤務時間が安定しているため毎日決まった時間に帰宅できます。そのため、漢方相談サイトを立ち上げることを現在取り組んでいます。結局は、今までの経験を生かす形となっていますが、自分のやりたいことに色々とチャレンジできているこの環境を得られて良かったと思います。
また、プライベートも充実できました。以前は、心身ともに疲れ果てて、休日は家事をこなすだけ、家で休むだけ。現在は気力、体力も十分に保つことができ、プライベートでもやりたいことをチャレンジできています。
転職は、自分の生き方や仕事を見つめなおす良いきっかけだったと思います。

薬剤師になって11年経ちました!漢方薬局で10年勤務した後に、心機一転お薬のコールセンターへ転職しました。現役薬剤師です♪