薬剤師が活躍できる職場は多い!〈4回転職経験者が語る〉薬剤師が活躍する仕事を紹介します。

転職体験(薬剤師)

はじめまして、現役薬剤師のtakamiと申します。資格を取得してから約20年ほど経ちます。その間、薬剤師として4回転職を経験しています。一般的な職場から、変わった職場まで、様々な職場を体験してきました。

 

  • 薬剤師を目指している学生さん
  • 現役薬剤師さん

に向けて

 

「薬剤師は活躍できる職場が多い!」と声を大にして言いたいです。私の職歴を交えながら薬剤師の仕事例についてご紹介いたします。

 

薬以外の知識があることを忘れていませんか?

薬剤師=薬のスペシャリスト

この認識が一般的だと思います。

 

職務としては調剤がメインとなるので、当たり前といえば当たり前です。ですが、薬以外の知識があることも忘れてはいませんか?

 

  • 薬理学
  • 有機化学
  • 生化学
  • 食品衛生学
  • 関連法規など

 

国家試験を合格するために多くの科目を勉強します。この知識が様々な活躍の場をもたらします。調剤薬局だけではない、普通に縛られない働き方を目指すことが出来るのです。

 

〈経歴〉薬剤師として4回転職一覧

 

簡単にですが、経歴を紹介いたします。

 

1社目 病院・調剤薬局

仕事内容:調剤

期間:3年

2社目 製薬メーカー

仕事内容:研究開発職

期間:5年

3社目 製薬メーカー

仕事内容:海外医薬品の薬事申請

期間:2年

4社目 食品メーカー

仕事内容:商品開発業務、景表法の表示等管理担当者担当

期間:10年

 

1社目は普通の職場ですが、その後は少し変わった職場といえます。特に食品メーカーで働く薬剤師はほとんど見たことがありません。様々な経験をしたこともあり、医薬品はもちろんのこと、サプリメント、健康食品、特定保健用食品、薬機法、景品表示法など幅広い専門知識を得ることが出来ました。

 

「普通とは違う働き方をしたい!」と思っている薬剤師さんには、思い切った挑戦をしてほしいと思います。決して難しくありません。

 

調剤薬局で働く

薬剤師の職場は、調剤薬局もしくは病院になると言っても過言ではないでしょう。私も初めは調剤薬局勤務でした。勤務先の薬局では循環器科と小児科の処方箋が主でした。ここでは、薬の商品名、用法用量を学ぶ良い機会となります。薬には一般名と商品名の二つの名前があります。バファリンは商品名がバファリン、一般名がアスピリンといった具合です。

 

大学では一般名を覚えます。しかし、調剤薬局の現場では商品名で処方箋に記載されています。大学では習わない商品名を知らなければいけません。この調剤薬局での経験は後に役立つことになります。

 

製薬メーカーでの研究開発職

具体的な仕事内容

血中コレステロールを低下させる食品を開発する

 

病院薬剤師を経験した後、縁あって製薬企業に転職することになりました。仕事内容は研究開発職です。挑戦してみたかった分野ですので、嬉しかったのを思い出します。

 

研究開発したのは医薬品ではなく、特定保健用食品の開発です。この仕事を経験することで、私の興味が医薬品から食品へと移っていくことになります。研究開発の仕事だからといって、大学のような研究室に篭りっきりということはありません。

 

  • 品質管理、品質保証、生産部門の社内スタッフと連携を取る
  • 外部に試験を委託する際の担当者とのやりとり

調剤薬局よりも対人スキルが必要です。

 

特定保健用食品は当時盛んに開発された分野でした。現在は厳しくなりましたが、当時は厚生労働省の認可を得た効能効果を謳うことが出来ます。医薬品よりも開発期間が短く、費用も抑えられる。急速に伸びた分野です。

 

私は特定保健用食品の開発チームの一員でした。血中コレステロールを低下させる食品に関わることができました。さらに研究活動として、抗がん活性のある食品素材を見出して論文発表することや、多くの学会発表をさせて頂く機会に恵まれました。

 

この5年間はあっという間、たくさんのことを経験した濃密な期間となります。

 

製薬メーカーで海外医薬品の薬事申請

具体的な仕事内容

海外で使われている薬を日本でも使えるようにする

 

5年を区切りに、海外医薬品の薬事申請へと職場を変えることになります。厳密にいうと転職ではなく、関連会社へ出向させて頂く形となりました。海外に目を向けて、さらなる経験を積みたいと考えたことが理由です。

 

海外医薬品の薬事申請業務と聞いて、ピンとこないと思います。簡単に言うと、海外の薬を日本でも使用できるようにする仕事です。日本で使えるようにするためには、厚生労働省に許可を頂かなければいけません。アメリカで申請に使用された英語論文を翻訳して資料としてまとめる。医薬品の安全性、有効性を証明し治験を実施するところまで担当しました。

 

薬剤師は科学のスペシャリスト

製薬企業での業務は、薬剤師の資格を取るまでに学んだ有機化学、生化学、薬理学の知識が必要となりました。

 

経験して気づいたのですが、薬剤師は科学のスペシャリストと言うことです。化学、生物、物理と基礎科学はすべて学びますし、食品衛生も勉強します。品質管理業務、生産管理業務でも十分スキルを生かせますし、知識の幅が広いので業務習得にかかる時間も短いです。

 

科学のスペシャリストでありながら、薬機法などの法律も学びます。法規に関しても基礎知識があるため薬事に関する業務もすることができます。ここで私は薬剤師の可能性の広がりに気付かされました。

 

外食企業へと転職

具体的な仕事内容

健康的な食品メニューを開発する

私が4社目に選んだのは食品メーカーです。某外食企業からスカウトを頂き転職が実現しました。

 

転職した理由はいくつかありますが、病気を治すより病気にならない身体作りに関わる仕事がしたいと思ったことがきっかけです。医薬品は対症療法がほとんどであって、原因を改善するものではありません。

 

  • 低カロリー
  • 栄養価が高い
  • 糖質制限

 

この3つが主軸になっており、現在の外食企業はニーズに対応すべく様々なメニュー開発が進んでいます。また、アレルギー対応メニューの導入も進んでいます。

 

通常の商品開発知識に加えて、栄養に関する知識やアレルギーに関する知識が必要になってきます。また、オリジナルソースなど食材を工場で製造する際には衛生管理も必要です。薬剤師の持つ知識はこれらをすべて賄えるものです。

 

私は現在外食企業で商品開発の仕事に携わっています。薬剤師の免許は必要ありませんが、薬剤師の知識は非常に役立っています。同じような経歴を持つ職員はせず、オンリーワンの人材になることができています。そのため、薬剤師以上の年収を頂いています。

 

「薬剤師として普通の職場」を捨てたことで得られることが山程ありました。たくさんの経験、知識、そして自分を高めること。食品開発は10年間継続して、今も日々努力をしています。

 

メッセージ

この職歴は非常にレアだと思っています。ですが、私に特殊な能力があったわけではありません。薬剤師の知識を持っていればほとんど出来ることです。

 

それだけ薬剤師には可能性がある!

 

今まで想像しなかった分野へ挑戦できて、特別なスキルとして身に付きます。他には存在しな特別な人材になれるのです。これからの時代は何も考えず薬剤師として働くだけではダメです。+αの能力が必要になってきます。

 

必要なことは学んだ知識をしっかりと定着させること。薬剤師になる為だけに丸暗記の勉強をしていては、資格を取得するだけで何も残りません。学生時代に、今の職につくとは夢にも思っていませんでした。社会人として実績を積むうちに様々な職に出会うことで開花。

 

当時は何の役に立たなかった有機化学や生化学、食品衛生の知識。これが見事につながったのです。丸暗記の勉強をしなかったことが何年経っても忘れずに知識として残り、業務に応用できたと思っています。

 

「いろいろなことに挑戦したい!」と思った方はぜひ飛び込んでみてください。薬剤師が活躍する職場は様々、可能性は無限大です。

 

 

この記事を書いた人
takami

食品メーカー勤務です。薬剤師資格を持っていますが、少し変わった働き方のため、調剤はやっていません。特定保健用食品、健康食品、アレルギー対応食、化粧品の開発実績があります。