はじめまして、元薬剤師のtareと申します。父の会社を引き継ぐため仕事から離れています。それまで、約20年近く薬剤師として働いてきました。
- ドラッグストア歴 10年
- 調剤薬局歴 10年
ちょうど半分ずつ、そして共に10年勤務を経験しました。「ドラッグストアはここが良いよね」「調剤薬局の魅力はこれだよね」と伝えることが出来るため、薬剤師向けに記事をまとめました。この記事では「薬剤師として働くならどっち?」について記事を書いていきます。また、ドラッグストアから調剤薬局に転職した体験談。その経緯にも触れたいと思います。

薬剤師として活躍したい!でも、どっちが良いんだろう…
と悩んでいる方へ、参考になると嬉しいです。
ドラッグストア薬剤師になった経緯
幼い頃、アブに刺され足の甲がひどく腫れ、痛痒く泣き喚いた時、祖母が近所の薬局に私を連れて行ってくれました。そこにいたのは薬剤師です。渡された薬を塗ると、あっという間に症状が良くなりました。
その時に抱いた思いは20年たっても変わりません。困っている子供やお年寄り、身近な人の役に立ちたいと、地元のドラッグストアの面接を受け内定を頂きました。
10年ドラッグストア勤務後、調剤薬局へ転職
10年も同じ職場で働くと「このまま安泰かな…」と感じるかと思います。
そんな中、調剤薬局へと転職したきっかけは、同窓会で大学時代の仲間と会ったことです。ドラッグストアの世界にはない医療現場に接近した業務内容に衝撃を受けました。ドラッグストアでの医薬品販売とは違う薬、人(患者様)との関わりを知り、もう一歩踏みこんだ薬剤師としての世界に踏み込もうと思い、調剤薬局への転職を決意しました。
ドラックストア(薬剤師)の仕事内容は?
私は調剤併設型ドラッグストアに勤めていました。私がやっていた仕事一覧です。
ドラックストア薬剤師の仕事
- 処方箋調剤
- 健康相談による市販薬販売
- レジ打ち・レジ精算、商品棚整理、品出し
- 商品発注
- シーズン商品等プロモーション作り
メインの仕事はOTC医薬品の販売です。普段からお店で扱う薬の効能効果、容量用法を把握した上で、いつでもお客さんの相談に応じられるようにしなければなりません。
入社してから驚いたのは薬剤師だからといって薬のコーナーだけを担当していれば良いというわけにはいかず、店舗で扱っている商品(生活雑貨、化粧品、ベビー用品、ペット用品等)すべての商品がどこにあるか等を把握していなければいけないことでした。
私はチェーン店に就職したので、店舗毎に売上比較も当然あり、シーズン商品、チラシ商品ではプロ―モーション展開の仕方で売上が変動するので店舗一丸となって売れるプロモーション作りに励むこともありました。
調剤薬局(薬剤師)の仕事内容は?
調剤薬局での仕事
- 処方箋に基づく薬剤調合
- 患者様へ投薬
- 患者様毎の薬歴簿作成
- 使用薬剤の在庫確認(処方薬数と在庫残の確認)
- レセプト請求
- 病院薬剤師、医師への患者様情報の確認(必要に応じて)
調剤薬局では医師が処方した薬剤を、患者様に正確に投与する事が重要です。
しかし、処方薬のなかには併用禁忌薬剤が処方されていたり、投与量オーバーなどが必ずしもないわけではないので、処方箋を読み解き、患者様の体質(アレルギー、副作用歴等)を把握し薬剤を交付しなければいけません。
コンプライアンス(きちんと用法・用量を守って服用しているか)の確認、薬効がきちんとでているか、副作用はないか、患者様が自身の服用している薬をきちんと理解できているかなど、投薬時に確認をとらなければなりません。
ドラックストア、調剤薬局(薬剤師)の給料はどう?
ドラックストアの給与
※私の場合
- 月給 35万
- 賞与 4ヶ月分
年収 570万円
勤め始めが約20年前となります。現在とは状況が違うかもしれませんが、この給与を頂いていました。2009年からは登録販売者がいれば2類、3類医薬品の販売ができるようになったため、薬剤師のニーズが減り、ドラッグストア薬剤師の給与が下がってきているようですね。
調剤薬局の給与
入社後3年間
年収 480万円
入社3年目以降(管理薬剤師に昇進後)
- 月給 40万
- 賞与 4ヶ月分
年収 640万円
調剤薬局では勤務薬剤師、管理薬剤師では基本給が違います。薬局によりますが経験を積み、管理薬剤師になれば年収は上がります。調剤薬局薬剤師の基本給は高めですが、昇給はあまりないのが現状です。
残業は?労働時間は長い?
ドラッグストアでは月平均10時間位でした。お客様の状況によるところが大きいです。店舗が混み合えば、定時だからといって仕事を打ち切ることは出来ません。月に一度の棚卸は営業時間終了後におこなうため、その日は通常4時間以上の残業でした。
調剤薬局では月平均3時間位でした。外来の患者様が多く、病院の診察時間が長引くことがない限り残業はありません。薬歴簿作成が終わらないため残業をする程度で、ほぼ就業時間内に仕事は終えました。
休日はどう?
ドラッグストアでは月8~9日頂いていました。但し土日はほぼありません。交替でとるため同じ店舗の仲間と遊びに行くのは難しく一緒に旅行に行くことが出来なかったのは残念でした。
調剤薬局では病院の休診日が休日になります。私の勤めていた薬局では水曜、日曜が完全に休み。土曜日は半休でした。病院は祝日休診ですので、祝日も基本的には休日でした。
調剤薬局の方が比較的、休日は多いと思います。お子様がいらっしゃる方には良いですね。
子育てとの両立は?
ドラックストアの勤務帯
- 9:00~18:00
- 11:00~20:00
営業時間が長く、勤務時間は交代制でした。子育てを考えると「勤務時間体制が難しいかな…」と感じます。育休制度もありましたが、同僚を見ていると取りづらい環境だったと思います。薬剤師は店舗に2人しかいなかったので、その分だけ負担が大きくなります。
また、平日休みであることも痛手です。幼稚園や小学校が休みの日に出勤しなければいけないため、子育てとの両立は難しいと思います。
調剤薬局の勤務帯
- 9:00~17:00
ドラッグストアの勤務に比べると1時間短くなりました。休日も土日が多いため、子供との時間をとれる環境です。調剤薬局では薬剤師がパートさんを含めても、常時3~4人はいました。お子さんの都合で当日にお休みをとる事もしやすいです。
【ドラックストア】薬の知識以外を習得できる
薬剤師の仕事につくと、どうしても「薬」「医療」の知識一辺倒になります。他業界の友人に会うと、社会人として足りない部分を感じることがあります。
ドラックストアは一般企業のため、社会に出るうえで必要な知識を習得できます。仕事内容も、医薬品をお客様、患者様に販売するだけではありません。広告商品や季節商品の販売時にいかに購買意欲を掻き立てれるか?商品棚を組み立てるか?いろいろと考えプロモーションを作ります。
自分が考えたプロモーションで売上が上がれば嬉しいですし、次はどうしようこうしようと戦略を練ります。いかに売上を伸ばすか?という点では「経営」といった分野の知識を習得できる環境だと思います。
【ドラックストア】日用雑貨が安く買える
私の勤めていたドラッグストアには従業員割引がありました。日用品や生活雑貨が安く購入できてお得でした。特に嬉しかったのが化粧品です!女性のみなさんなら分かるはず…化粧品は高い!それが少しでも安くなるのは嬉しかったです。また、日用雑貨に詳しくなりまし、買物上手になれたかなと思います。
【調剤薬局】厳しさや緊張感の中にやりがい、患者様から感謝の言葉をいただく歓びも
調剤薬局では1000を超える品目を扱っています。その品目の薬効、副作用、相互作用を把握しておく必要があります。日々、勉強は欠かせません。緊張感、厳しさもある反面、薬の効果が現れて、患者様、ご家族から喜び、感謝の言葉を頂いた時には何事にも代え難い喜びがあります。
最後に
私がそれぞれ10年体験して感じた「それぞれの薬剤師」について記事をまとめました。どちらが良いかは断言はできません。どちらも良い点がありますし、現在の私に活かされていることがあります。
これから羽ばたく薬剤師の方へ。私の経験談、この記事が参考になることを願っています。

薬剤師を20年勤めました。現在は薬剤師業務を離れ、父の残した会社の経営を勉強している最中です。