私はコールセンターで仕事をしています。コールセンターといえば、通信販売の窓口、もしくは各種サービス業の問い合わせ窓口のイメージが強いと思います。
私は薬を専門とした問い合わせ窓口、製薬メーカーの薬剤師コールセンターに勤務しています。薬剤師の方でも、ドラックインフォメーション(DI)業務と聞いて、ピンと来ない方も多いのでは無いでしょうか?
- DIの仕事とは?
- やりがいは何?
- 給料はどうなのか
- 残業は多いのか?
薬剤師の方へ。
「製薬メーカーのコールセンターで働くのはどうなの?」について記事を書いていきます。薬剤師として、働き方に迷っている方、また通常とは違う薬剤師の仕事に興味のある方に参考にしていただければと思います。
なぜ薬剤師コールセンターを選んだのか?
私はもともと漢方薬局で勤務していました。その期間は10年と長いものでした。とある理由をきっかけに退職、そして転職を考えることになります。そこで選んだのがドラックインフォメーション(DI)業務でした。
理由として、転職を考える際に調剤薬局やドラックストアでは働きたくなかったからです。偏見かもしれませんが、調剤薬局もドラックストアも、ただ作業をこなすイメージが強くありました。
そして、漢方薬局で体験したシフト制に嫌気がさしていました。友人は土日休みが多く、予定を合わせるのにも一苦労。ドラッグストアは朝早くから、夜は24時近くまで開店しているところもあります。早番・遅番も経験したことがあり、生活リズムがかなり乱れるのが嫌だったため、調剤薬局とドラックストアは除外しました。
そして、薬剤師として西洋医学の知識を改めて勉強したいと思ったからです。前職は、西洋医学、最先端医療とは真逆の業界。「せっかく薬剤師の資格を取ったのに活用できていない…」と思うことが多々ありました。そこで、「調剤薬局やドラックストア以外で資格を役立てるところがないか?」と探したときにヒットしたのがDI業務です。
勉強もできて薬剤師の資格も活用できる仕事が「製薬メーカーのコールセンター」だったのです。
薬剤師コールセンターで働くために必要なことは?
薬剤師資格、もしくはMR資格が必要です。その資格さえあれば、製薬メーカーのコールセンターで働くことが可能です。転職試験を2社受けましたが、両方とも採用通知を頂けたほどで、決して難しくありません。
「未経験だから…」と不安に思う必要はありません。薬剤師でコールセンターの勤務経験者はいません。そして、DI業務となると尚更です。また、私のように西洋医学自体が未経験者でも関係ありません。実際に、元化粧品業界出身の方も働いていました。
薬剤師コールセンターの仕事内容は?
契約した製薬メーカーによって仕事内容は変わると思いますが、私がやっていた仕事一覧です。
コールセンターの仕事
- 電話業務
- 受電記録作成
- Q&Aの追加提案
- 業務に必要な資料作成
- 製品勉強会
言うまでもなくメインの仕事は電話業務です。
電話は、主に医薬品卸の営業さん(MS)や薬剤師からかかってきます。コールセンターというと苦情などのイメージもあるかと思いますが、苦情はほとんどかかってきません。月に1本あれば多い方です。「〇〇について教えて欲しいのですが…」と製品の学術情報、助けを求めてくることがほとんどです。
また、電話は絶え間なくかかってくるわけではありません。私の場合は一日多くて20件、少ないと10本以下です。電話を取ったら、受電記録というものを作成して提出します。この記録を元に、製品不良の発見やヒヤリハットの防止に役立つとのことです。その後は、電話の合間に上記のほかの業務をしています。仕事の合間に、必要な勉強ができるのは利点だと思います。
また、これはコールセンター業界全体の話なのですが、受電を分散させるシステムが搭載されており、仕事量の不平等が起きないようになっています。そのため「自分ばかり忙しい…」と不満に持ったり、持たれることがありません。
薬剤師コールセンターの給料はどう?
薬剤師コールセンターの給与
- 月給 35万
- 賞与 無し
- 年棒制
年収 420万
月給35万となっていますが、年俸制のためボーナスはありません。薬剤師の業界平均と比較すると少ないです。クレームは無い、対応本数が少ない、と仕事の忙しさを考慮すると妥当な金額なのかと思います。まだ、転職したばかりのため、昇給や昇進については不明です。
薬剤師コールセンターの残業は?労働時間は長い?
残業は、製薬メーカーによると思いますが残業はほとんどありません。
勤務時間は9時~18時です。電話受付時間は17時半で終了するため、ぎりぎりに受電があったとしても、よほどのことがない限り定時をオーバーしません。
月に数回定時を超えることがありますが残業代は出ません。みなし残業として事前についているためです。そのため、定時に上がるよう仕事を終わらせている面もあります。サービス残業を強制されることも当然ありません。
休日はどう?
休日は暦通りです。契約によっては土日勤務、時間外受付で13時~22時勤務、夜勤専門もいるようです。その場合は「出勤は月10日だけでいい」と優遇された契約になっています。希望したら働き方を変えられるのは良い点ですね。
2~3回線に対して、3~4人でチームを組みます。そのため、有休も同時でなければ取得できるため、取りやすい環境です。
子育てとの両立は?
子育てとの両立はしやすい環境だと思います。製薬会社はどこも大企業のため福利厚生が充実しています。託児所がついている勤務地もあります。
平日日中のコールセンターでの契約は女性ワーカーが多く、小さいお子さんを抱えているママ薬剤師がたくさんいます。よほどで無ければ休日出勤はありませんし、残業もほとんど発生しません。子育てしながら働くにはかなり良い環境だと思います。
薬剤師コールセンターのやりがいは?
一般的な薬剤師業務では無い職種、やりがいも違ってきます。実際に働いてみた感じたやりがいを紹介します。
1.言葉遣いや表現のスキルアップ
電話業務は相手の顔が見えません。そのため、声のトーンが第一印象のほとんどを占めます。また、この仕事に就くまで適切な表現、言葉遣いがこんなにも難しいとは思いませんでした。前職の漢方薬剤師は接客機会が多々あったため、自分は得意な方だと思っていましたが、それは間違いでした。
例えば、お客様の返答時に「そうですね」の相槌、これは間違いです。コールセンターでは「さようでございますか」と教えられます。日常会話ではまず使わない言葉ですが、電話対応では多用する表現です。とっさに出るようになるまで時間がかかりました。
会話と会話の間(ま)も、対面と違って電話では読みにくいですし、聞き取りやすいスピードなどいろいろ勉強になりました。薬剤師の勉強というよりは、人間力のレベルアップが出来ます。これは身に付ければどこでも通用する一生モノのスキルとなります。
2.あまり使われていない添付文書の勉強に!
製品の問い合わせでは、様々な学術の質問が来ます。中には、製品に必ず添付している添付文書に記載がされていることまで。私は調剤の現場にいなかったので知らなかったのですが、現場では添付文書はほとんど確認しないようです。確かに、前職の漢方薬局でも確認した記憶がほぼありません。改めて添付文書の大切さを認識しました。
読者様からメッセージ頂きました
この記事を書いてから2ヶ月ほどたちました。同じくコールセンターで働く読者様からメッセージを頂いたのでご紹介いたします。
正に今現在、ドラッグストア4年強、調剤薬局をトータル3年経験
漢方薬局という、カウンセリングを主としていたnon様(筆者)でも、コ
他の会社にも内定いただいたのですが、18時までの
現在勤務しているところは17時半までの対応ですので、残業など
ですが、薬剤師でもMR経験者が多く、言葉遣いもしっかりしてい
働く条件としては最適かもしれませんが、この仕事ならではの難しさがあるのですね。慣れてしまえば「コールセンターほど楽な仕事はない」と言う人もいます。そこまでの辛抱ですね。メッセージを頂きありがとうございました。
最後に
まだ勤めて間もないため、分からない点も多いですが、記事としてまとめました。薬にふれる機会が極端に少ないため特殊な業務と言えます。女性が出産子育ても見据えるのであれば、こういう働き方も良いのではと考えております。

薬剤師になって11年経ちました!漢方薬局で10年勤務した後に、心機一転お薬のコールセンターへ転職しました。現役薬剤師です♪