看護師の勤め先はいくつかあります。
- 総合病院(大きな病院)
- クリニック
- 地域密着病院
- 検診センター 等
その中でも、約7割の看護師は総合病院に勤めているそうです。大きな病院だからこそ多くの経験値が得られます。
看護師にとっては最適な勤務先に思えます。一方で、夜勤や仕事の忙しさ、人間関係に苦しむ方がたくさんいるのが現状です。
「大病院を辞めて、小さな病院で看護師をしても大丈夫なのだろうか…」
こんな不安を抱えている方へ。私は総合病院を辞めて、地域密着型病院へ転職しました。その時の体験談を書いていきますので、何かしら参考になると嬉しいです。
総合病院へ就職!難病患者の対応に追われる毎日
幼い頃から夢は看護師。最短で看護師免許が取れる5年一貫の高校を選び、勉強に励んでいました。
卒業後の就職先は、1000床を超える総合病院です。実習先だった病院、たくさんの経験が出来ることが決め手となりました。配属は血液内科病棟となりました。
血液内科病棟では難病患者の対応が必要となります。
- 白血病
- 悪性リンパ腫
- 骨髄異形成症候群 など
血液疾患の患者さんに対して、化学療法や骨髄移植、輸血や抗生剤治療など超急性期の治療が行われています。
難しい治療にたずさわり、必死で過ごした4年間となりました。
難病治療の現場、実際のところは?
私が携わった治療について紹介いたします。
骨髄移植
血液難病患者に対して、骨髄細胞を移植する治療。合致するドナーがいないと成立しない。
就職前はテレビや教科書でしか知らなかった世界です。
どんな治療にも言えることですが、必ずしも骨髄移植が成功するわけではありません。適合しない場合もあります。
看護師に求められるのは治療だけでなく、移植が完了するまでのプロセスや患者さんへの精神的支援となります。
移植そのものが成功しても、GVHDに悩まされる患者さんはたくさんいます。
GVHD
ドナーから提供されたものが、患者と拒絶反応を起こし、副作用が発生すること
GVHDに苦しむ多くの患者さんのケアに関わらせて頂きました。
- 皮膚ケアに1時間以上かかるほど苦しんだ
- 容態が急変しICUへ転床になったこと
- CUから戻ってきても人工呼吸器が回っている
とにかく目まぐるしい毎日でした。
また、しんどい治療で精神が不安定になり、看護師に当たる患者さんも少なからずいます。
「看護師としてどう関わっていったらいいのか…」
悩んで悩んで苦しんだこともたくさんあります。
そんな病棟は常に激務です。治療やケアに常に追われる日々。残業することは当たり前で、看護師みんなが疲労していたと思います。
また、たくさんの専門知識が必要となります。委員会活動、勉強会参加、自主学習…。
今だったら考えられないほど、忙しい日々でした。辛い中でも支えあった同期、いつも優しく指導して下さった先輩との縁は続いています。それほど絆が強くないと、乗り越えられない病棟だったといえます。
結婚を機に退職、そして看護師として転職活動スタート
就職して4年経ったころ、当時お付き合いしていた方との結婚が決まりました。夫の仕事の都合で、結婚後は県外への引っ越しが決まっていました。
看護師の仕事としては充実した毎日でしたが、当時は重症患者さんが多く、精神的にも体力的にもしんどい時期でした。
「そろそろ落ち着いた環境で仕事したい」
「これが良いきっかけかもしれない」
退職を前向きに捉えました。
こうして、転職活動がスタートします。見知らぬ土地での就職となるため、インターネットを使っての活動となります。
看護師転職サイトを使っての転職活動
検索すると、看護師転職サイトがいくつか出てきました。
就職活動をしたことがないため、不安も大きかったのですが、そのうちの一つに登録することにします。
登録後、すぐに電話連絡がありました。見知らぬ人と電話で話すことが苦手でしたが、とても丁寧で親切に対応して安心したのを覚えています。
- どういった経緯で転職を考えているのか?
- 今後どういった形態で働きたいのか?
- 希望の仕事内容は?
- 転職するにあたって何を第一に考えるのか?
- 通勤距離はどれくらいを考えているか?
1つ1つ親身になって話を聞いてくれました。
蛇足ですが…私が希望した条件は以下です。
- 電子カルテを導入している
- 残業が少ない
- 新居から自転車で20分以内
これに合致したのが「地域密着病院」です。
これまで勤めた総合病院とは違い、小さな病院での勤務となります。看護師として経験値をつむスピードは遅くなるかもしれない。それでも、結婚生活との両立を考えるとピッタリでした。
いくつか病院をピックアップして頂き、あっという間に病院見学・面接の運びとなりました。
慣れない土地で不安でしたが、最寄駅から転職サービスのスタッフが同行してくれました。私からは病院側へ伝えにくい給与交渉も、スタッフから伝えて頂き、とても心強かったです。
面接から2日後には内定を頂き、すぐに転職活動は終了しました。気が弱い私一人では、転職活動はこう上手くいかなかったと思います。今でも担当者には感謝してもしきれないほどです。
退職を伝える!新しい病院へ
就職先が決まり、次は退職手続きです。
「結婚で県外へ引っ越すため退職します」と半年前から師長に伝えていたので、スムーズに話に進むだろうと思っていました。
しかし、引き止められてしまいます。「来月の上旬だけでもいいから残れないか?日割りで給料は出るから」と声がかかります。
ですが、住む家もないし、新しい病院に迷惑がかかります。何度も説得することで、ようやく退職を受け入れてくれました。
しかし、人員が足りないことを理由に、有給休暇も使わせてくれず…。月末3連休のみで引っ越し作業とバタバタの退職となりました。
最後に少し嫌な思いをしましたが…。4年間私を育ててくれた病院、病棟、師長、先輩、同僚。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
地域密着病院に転職してどうか?
看護師として5年目の4月。
地域密着型病院の一般内科病棟で、第二の看護師人生がスタートしました。
始めは、右も左も分からない状態でした。当然ですが、物品の配置全てが分かりません。技術はあっても全て確認しながら行わないとできないジレンマがありました。
また、清拭の物品が違う。点滴の固定方法が違う。ナースコールに患者氏名が出ない。ホワイトボードの振り分けはベッド番号、指示の点滴に投与時間の指定がない等。
4年間を過ごした環境とは異なり、慣れるまでに苦労しました。
中でも、一番違っていたのは患者さんの年代です。地域密着型のため、高齢者が多い傾向でした。
治療が終わってもすぐには自宅に帰れません。その後のケアが重要となります。
- 介護サービスをどう使用していくのか?
- 入院してからADLがどう変化しているか?
- 退院までの問題点は何か?
この3点を常に考えながら、看護を提供しなければいけません。
また、退院後は施設に入所するケースもあります。医師のみではなく、リハビリ関連や医療ソーシャルワーカーと密な連携が求められます。これも新しく経験したことでした。
総合病院の中だけで仕事していたのが、地域密着型病院に転職したことで視野が広がりました。
施設スタッフや患者さんのソーシャルワーカー、訪問看護師との面談の場があったり、リハビリスタッフと共に自宅訪問。
たくさんのスタッフによって高齢患者さんの自宅生活は守られています。そのうちの一人になれているのは、すごい充実感があります。
施設入所までスムーズに進むことはまずありません。
- 自宅で生活したいと施設を拒否する
- 施設の空きがなく、ひとまず自宅での生活が必要
- 家族の受け入れ体制が整わず時間がかかる
たくさんのケースが存在し、ただ1つとして同じものはありません。
治療はゴールではない。その後の生活が重要である、今回の転職で経験したことが大きな財産になりました。
最後に
初めての転職活動は不安との戦いでした。
勇気を出して転職サイトへ登録した。そのことで、担当者が条件に合った病院を提示してくれた。再就職までサポートしてくれた。
本当に勇気が必要でしたし、たくさんの人のおかげで新しい環境を手に入れることが出来ました。
今の勤務がしんどいと思い始めた方、新しい土地での生活が始まる方、まずは転職サイトに登録してみてはいかがでしょうか?
自分に合った働き先がきっと見つかると思います。そして、転職することで深まる看護観もあると思います。自分らしく働ける場所が見つかりますように。