営業職なのに給料が安すぎ!どれだけ結果を出しても何も変わらない会社、仕事を辞めた体験談

会社への不信感

私は以前、中小企業の営業マンをしていました。その中で約30名の営業社員を管理する立場として働いていました。

 

営業社員は日々目標をクリアする為に必死に戦っています。営業成績のために8時には出社、帰りは23時まで自主残業を行う社員もいました。

 

「給与を上げてたくさん稼ぎたい」

営業マンらしいプロ意識の高いチームでした。

 

個人ノルマはなく営業チーム全体での売上、という珍しい営業方針だったこともあり、新人社員研修にも力が入っていました。営業社員がみんな責任感を持っており業績も右肩上がりです。

 

しかしながら複数の社員から疑問が・・・

「本当にこの会社にいて豊かになれるのか?」

 

どれだけ頑張っても給料が安く、昇給しない仕組みに気づき始めたからです。薄々感じていた疑問が営業チーム全体に蔓延していきました。

 

  • 「このままではダメだ」
  • 「会社を辞めるのは簡単。でも出来れば今の仲間と共に仕事をしたい」

私は上司に立ち向かう決心をしました。

 

営業成績は絶好調…でも

 

会社の給与体系は固定給です。年一度(4月)に昇給査定が行われていました。

 

  • 営業成績は絶好調
  • チームワーク最高
  • 会社に対してしっかりと利益を残している

管理職の立場として、私はこのようなことを考えていました。しかし、現実とのギャップは激しいものでした。

 

「給料ぜんぜん上がりませんでした・・・」

査定前は笑顔だった社員が、部屋から出るとしょんぼりとした顔になっています。

 

  • 「1年実績を出しただけではダメだ!」
  • 「3年実績を出せてこそ本当に評価される!」

それが上司の言い分。

 

言っている事は間違いではありません。ですので、「3年頑張ろう」が私たちのスローガンとなっていました。

 

しかし、3年というのは長いものです。昇給が約束されているわけでもありません。現況に不満を持った社員が、一人一人と私の机に退職願を置いていきます。

 

ちなみに、当時の給与は20万円でした。

 

この中にはサービス残業代も含まれているため、時給換算すると悲惨な状況です。「辞めるな、頑張ろう、続けよう」とも言えず、私たち営業チームは崩壊へと進んでいくことになります。

 

3年結果を出した…その結果は?

 

  • 「夜中まで必死に働いているのにこの給料…」
  • 「子供が産まれたのにこのままでは暮らしていけない…」

営業チームの士気低下は薄々と気付いていました。しかし、ここで折れるわけにはいきません。

 

  • 「営業成績を上げればきっと還元される」
  • 「次の1年しっかり頑張って評価を勝ち取ろう」

なんとか精神論でチームの結束を図っていました。もちろん私自身も強がりで言っているだけ。給与が安いのは同じでしたから。

 

そして、いよいよ3年目の4月を迎えます。

 

面談当日。

「しっかりと昇給査定を出している」

管理職から期待の言葉を頂きました。

 

しかし、面談から出てくる社員の顔はまるで般若のよう。3年前と同じ光景がフラッシュバックします。想像とはかけ離れた数字に面談は大荒れ。

 

その晩開かれた営業チームの新年度決起会、不満が大爆発するネガティブ飲み会となってしまいました。多くの社員の査定面談の結果は「+1000円だけ」だったのです。

 

多くの社員が面談で「最大限に評価をさせてもらいました」と言われたそうです。この会社の最大限は1000円という結果なのです。

 

止まらない退職連鎖

 

「いつ辞める?」

あの一件からそんなフレーズが頻繁に飛び交うようになってしまいました。

 

ほぼ全員が給与が理由です。職場環境が嫌いで退職するという人はいなかったはずです。そして、退職申出を行うと管理職との最後面談が発生するのですが、その時に浴びせられる言葉がとても冷酷なものでした。

 

  • 「いずれ君は退職すると思っていたよ!」
  • 「君が結婚できない理由はそれ。すぐに投げ出すところ!」
  • 「子供が出来たから給料上げてくれっておかしいと思わない?」

今までの仕事や頑張りを全否定されていると受け止めてしまう程、精神的に打ちのめされてしまっている人もいました。

 

管理職との最後の闘い

 

長期勤続者の退職が相次ぎ、このままではダメだと立ち上がりました。何年も培ったノウハウを新人スタッフは習得するのは時間がかかります、と伝えましたが聞く耳持たず。

 

「そこを育成するのがお前たちの仕事だろ?新人の採用に力を入れろ!」

 

退職希望者に対しては「辞めたい奴はどうでもいい」のスタンスで全く相手にしません。同様のやり取りは複数回にも及び営業チームの士気は大きく低下してきました。

 

上司に意見を上げても何も変わらない。何を言ってもムダだ。社長に直談判しよう!

 

そう決意して社長へ直接提案を行いました。代表は非常に冷静に話を聞いてくれました。「報告ありがとう、改善を行うから少し時間をくれ」と温かい回答を頂きました。

 

「きっといい方向に変わっていく」

そう安堵したことを思い出します。

 

それから1ヶ月が経ちました。

 

何も変わっていません。時間の経過と同じだけ、だんだんと不満や不信感が大きくなってきました。ついに私も退職者のうちの一人となります。

 

怒りや苛立ちを通り越すというのはこういう事です。ある意味、本当にスッキリした気持ちで退職の運びとなりました。

 

最後に

 

“人を大切にする”

企業理念として掲げられていた言葉です。

 

企業理念や上司の言葉は、きれいで格好いいものが多いです。しかしながら理念と現実はどれだけ近いものになっているのでしょうか?

 

今までに営業チームの何人もの不満を聞き、精神論や一緒に仕事をしたいという気持ちを伝えて退職を考え直すよう言ってきました。

 

そう考えると私自身が辞めたのは無責任だったと思います。ですが、中間で板挟みになっているのがもう限界だったのです。

 

企業で勤めるうえで、100%不満の無い会社は存在しません。しかし、不満を減らすための提案や改革を行わないと、何も変わらず増大します。せめて、なくそうという姿勢だけでも必要となります。

 

上司や先輩に相談すると、うまいこと言ってその場を取り繕います。ですが、必ず結果がついてくるものではありません。そして、その人達は将来に渡って人生の面倒は見てくれるわけではありません。

 

ごまかされ続けて何年働いても、そこに投資した時間は取り戻せません。自分の人生は自分のものです。

 

「今の不満を我慢して仕事を続けるのか?」

ぜひ冷静に考えてみてください。