「先輩の命令は絶対主義」
「アルハラ」
私はこの2点に悩まされ続けました。
もともとの原因は「体育会系」気質であることです。
ブラック企業は体育会系の社風が多い。上意下達で無理難題気味な個人ノルマが与えられ、部下に対する叱咤が無茶苦茶に厳しい。しかし上司に逆らったり文句はとても言える雰囲気ではないのです。
— 既卒就活JP (@kisotuJP) 2018年7月29日
<ブラック企業で働いてわかったこと>
・海外社員旅行を全面プッシュしてるけど実は実費負担
・身代わりを見つけないと退職不可
・朝礼は洗脳の時間
・「風通しが良い」と不自然な程PR
・ノルマを達成しないと基本給がない
・全てのノリが体育会系
・社長の発言が全てルール
・法律より就業規則を優先— とっとこランサー (@Tottokolancer) 2018年2月11日
「体育会系企業」で悩んでいる方はたくさんいます。この記事では、私が入社して体育会系気質の企業、上司に悩んだこと。アルハラが続いて、結果として退職をしたこと。これらをまとめて記事にしていきます。同じ悩みを持つ方への参考になることを願っています。
父が紹介したのは「体育会系企業」だった!
私は20代の頃、フラフラしており職を転々としていました。見かねた父は、友人が経営している会社を紹介してくれました。
いわゆる「コネ入社」です。
「恵まれているね」と思う方もいるでしょう。しかし、プレッシャーがあることを見逃してはいけません。コネ入社してうまく行かないと父の顔を潰してしまう。そして、父に頭が上がらなくなる気さえします。
しかし、自分自身で何をしたいのか分からずフラフラしているだけの身、当然ながら選ぶ権利がありません。トントン拍子で話が進んでいきます。
その会社は規模としては小さく、全社員あわせて10人程しかいません。会社の取り扱っている物は主に、マネキンやトルソーなどといった物や、什器です。
得意先はアパレルメーカーで、全員がしっかりと自分の顧客を持っています。それだけ社員の年齢層が高いです。40代の人が2人だけで、あとは全員が50代でした。
若者は私一人だけ。
人前で喋るのが苦手…営業にならず自信喪失
私についたのは「営業部長」でした。営業の「え」の字も知らなかったため、下に付いて勉強することに。「体育会系気質」のこの人物に苦しめられることになるのです。
まずは、営業部長が担当している得意先へ挨拶まわり。しかし、情けないことに、商談に同行してもさっぱり頭に入ってきません。そして、人前で喋るのが苦手なのもネック。意見を求められてもまともに受け答えが出来ず、四苦八苦してしまいます。
元々自分に自信はありませんでしたが、ますます自信を喪失していきます。
【50代】 8人
【40代】 2人
【30代】 無し
【20代】 1人(私だけ…)
仕事、職場、人間関係、何かあった時に相談できる存在は何者にも代えがたいです。それは同期だったり、同年代だったり、歳が近いことが多いでしょう。コネ入社だったこともあり、年配層に私一人だけポツンと存在。
「誰かに相談したい…」
そんなことを日々思っていました。
キャバクラで大激怒!俺に付き合うのが嫌なのか!!
「口答えはするな」
「新人はYESとだけ言っていれば良い」
それが営業部長の口癖でした。学生時代はラガーマン、入社後は会社一筋25年。バブル崩壊後、リーマンショックと数々の危機を乗り越えています。根っからの体育会系気質なのでしょう。
始めは優しく接してくれていましたが、だんだんと本性が出てきます。全ての問いに対して「YES」しか答えがありません。
部長「お前は喋りがダメだ、キャバクラに行って学ぶぞ」
私「はい、分かりました。ありがとうございます(ウソ)」
営業部長は人前で喋る事が苦手な私に、それを克服してもらおうと考えたのかもしれません。しかし、楽しそうに話す営業部長をよそ目に、私はひたすら黙りこくっていました。
「…ありがとうございます」
(…うざいな、やらなくていいよ)
いちいちキャバクラ嬢がタバコの火をつけます。それすらうんざり。初めて会った女性と話すことは何もありません。
キャバクラ嬢も営業部長も困っているだろうなとは思うのですが…
- 慣れない仕事で戸惑いも感じているし疲れた…
- 早く家に帰ってゆっくり過ごしたい…
- 自分の時間を楽しみたい…
これしか頭にはありません。どうにかその場をやり過ごし、長く長く感じた時間が終わります。
- 「あの態度は何だ?」
- 「お前は俺に付き合うのは嫌なのか?」
やはり雷が落ちました。顔が真っ赤になるほど激怒しています。
「申し訳ありませんでした。しかし私はキャバクラに行った事もなく、ああいう場所は苦手なんです」と謝罪しその場を逃れますが…当然許してくれません。
「じゃあお前はもっと経験を積むべきだ!」
「明日から覚悟しておけよ!」
そう言い残して去っていきました。
アルハラを受ける日々、家でゆっくりしたい…
あの日から、ほぼ毎日、営業部長に飲みに誘われます。「YES」しか答えがないので断れません。いわゆる「アルハラ」を受けます。
アルハラ
アルコールハラスメントの略。アルコールにまつわるパワハラ全般。無理やり飲まされる、強制参加させられる等。体育会系企業にありがちな風習
私はお酒が好きでも得意でもありません。でも飲まないと許してくれません。その結果ずっと二日酔いの日々。そして、家に帰っても寝る時間しかないため、仕事しているか、寝ているか、しかありません。仕事が終わったら真っ先に家に帰りたいのに…それが許されない事にだんだんと苛立ちが募っていきます。
営業部長は結婚していましたが、子供がいないため、家に帰ってもやることがないそうです。私もやることはありません。ですが、このおっさんと過ごすよりも、有意義な時間になることは間違いありません。
- 「俺がお前くらいの年齢の時は先輩の言うことは絶対だった」
- 「飲みに誘われたら喜んで行ってた」
- 「進んでお酌していたし、一晩中付き合うのは当たり前」
- 「寝てる暇があれば先輩に付き合って仕事を習え!」
部長とは一回り、二回り、歳の差があります。価値観や考え方が全く違います。新人を入社させてこなかった小企業のため、上司が化石のまま進化していません。なにかあれば「昔」「俺の頃」はです。
「もういい加減にしてくれ…」
商品を自腹で買え!
営業マンは顧客へ商品を売って会社に貢献します。それと反対になるのが自分自身で商品を購入する、通称「自爆営業」です。もちろん「あってはいけない行為」です。強制させるなんてもっての外。
「お前、成績を上げれないなら自腹で買え」
営業部長は堂々とパワハラをしてきます。確かに営業成績は乏しく反論は出来ません。ですが、その原因の1つは「毎日飲みによる睡眠不足」にあります。この一言で、今まで我慢してきたものがフツフツわき、こらえきれないものは言葉へと変わりました。
- 「私は先輩方よりも給料は貰っていません」
- 「そんな事したら生活に支障が出ます」
- 「毎日睡眠不足できついです、毎晩飲みに誘われるのがつらいです」
- 「自分の時間をください」
「……言ってしまった」
半分は気持ちよかった、そして半分は後悔。
結果は…あなたが想像する通りです。
最後に
口下手だったこと、心から精一杯はやってなかった事、私にも原因はあります。営業部長はずっと体育会系の中で生きてきた人なのでしょう。私は文化系、一人を楽しむタイプです。価値観の相違が生んだ結果だった、と今では思っています。その営業部長を恨んでいるわけではありません。
会社を辞めてからは介護系の専門学校に通いました。そこで資格を取り就職をしています。大変なことは多いですが、それでも自分にあった仕事だと思っています。体育会系、アルハラとは無縁ですからね。
退職してから一度だけこの会社に挨拶にいきました。「会いたくないな…」と思っていた営業部長はそこにはいませんでした。どうやら会社のお金に手をつけてしまったことがバレて、クビになったそうです。
毎日使っていた飲み代は、会社のお金だったのかもしれません。そう考えると会社に申し訳ない気持ちになりましたが、あの時はどうしようもありませんでした。