日常にはかかせないテレビ。1日で何十個もの番組が放映されていますよね。私はそのTV番組制作を仕事にしています。
番組制作に携わって今年で8年目!東京キー局で全国放送の情報番組や旅番組をはじめ、インターネットテレビ局の音楽番組等にも携わってきました。大変なことも多かったのですが、それ以上に素晴らしい経験ができています。その素晴らしき経験はこの業界で働く特権です!
- 同じ業界で頑張る方
- マスコミ業界を目指している方
- テレビが大好きな方
私の経験を少しばかり書いていきたいと思います。
寝れない!帰れない!ADの仕事は大変なことばかり
テレビ制作として入社すると全員ADスタートです。
ADとは?
アシスタントディレクターの略。番組制作のための雑用が主。
取材してきたテープの管理、他部署が取材したテープのダビング、カンペ作り、編集したテープを放送するサブまで走って届ける…など。とにかく雑用ばかり。
家に帰れず、局内に一週間いるなんてこともザラです。「自分の仕事が終わった、よし帰ろう」というわけにはいきません。割り当てられた仕事が終わっていても、ディレクターが帰らなければ帰れません。やることがないのに局内にいなくてはならない、そんな状態は本当に苦痛でした。
ADは世渡り上手でないとダメ?
多忙な勤務時間もさることながら…出世術が求められるのも大変でした。人付き合い、会話、気遣い、世渡り上手でないとやっていけません。
とにかく上司や出演者に顔を覚えてもらう、気に入ってもらうことが出世に繋がります。「早くディレクターになりたい!」といった思いが強く、いつも周囲に気を使ってばかりいました。
- 上司の吸うたばこの銘柄は覚えておき常にロッカーにストック
- 出演者の誕生日はすべて把握する
- 顔つきケーキ、好きな食べ物などをリサーチし準備
この他にも色々と大変な思いをしました…。ADはとにかく「人に愛されること」が大事です。身をもって体験しました。しかし、悪いことばかりではありません。AD時代の下積みがあるからこそ、今でも繋がっている出演者がたくさんおり、私の財産となっています。
ディレクターはさらに大変!残業増加&責任が増す
ADの頃は「ディレクターになったら、楽になる~!」なんて甘い考えがありました。しかし、結果から言いますと、ADの頃よりも残業が増えました(笑)
というのも、ディレクターには責任がなくてはいけません。放送するということは、取り返しのつかないことでもあります。そのことを私自身が実感したことがありました。
以前、面白物件というテーマで、素人さんの自宅を取材させていただいたことがあります。住宅を説明するにあたって、放送で間取りを出したいとお願いをしました。しかし、設計図はないので間取り図を作って放送していいと言われたつもりでした。
しかし、放送後に怒りの電話がかかってきました。
「あんなに正確な部屋の造りを放送されてしまったら、防犯上危ないじゃないか!」
先方は、紹介した部屋の間取りを私自身で書き、他はやんわり変えてほしいと話したとのこと。お互いに食い違いがありましたが、何度も上司と共に頭を下げ、怒りをおさめてもらいました。それだけ影響力がある、ディレクターにはその責任が伴うことを再確認した出来事でした。
謝罪の後は、上司にもひどく怒られ…正直言うと怒鳴られましたし、蹴られました。私も大泣きしました。その後、仕事で大きなトラブルは起こしていませんが、今では、先方の言っていることを十分に理解し、取材を進めるという当たり前のことをより慎重に行っています。
大変だけど…やりがいがたくさんの仕事!
テレビ番組制作の世界をかんたんにお話しました。ここまで読むとすごく大変そうじゃん…と思う方はほとんどでしょう。ですが、良い点はその倍はあります。ここでしか味わえない仕事、やりがい、それがテレビ番組制作です。
家族に仕事を見てもらえる!
この仕事の役得、身近な人に番組を届けることが出来ます。両親、祖父母、友人。自分の作った番組を見て喜んでくれます。
特に、情報番組の場合、アナウンサーやリポーターではなく、ディレクターが自ら現場でリポートをする機会が多々あります。リポートしている娘、孫を見るのは、生きる気力になっているそうです。90歳を超える祖父は「お姉ちゃんが出る番組を見なきゃいけないから、頑張らなくちゃな~」と会うたびに言ってくれます。
両親は「録画したよ~!テレビ出てたね!」「あの番組おもしろかったよ」と連絡をくれます。私の仕事で出した成果が、心の糧となってくれている。それだけで頑張ることができます。
芸能人と会えるのは嬉しいメリット
ミーハーですが(笑)
これは嬉しいポイントです。この業界に入ってくると誰しもが思うことでしょう。
小学校の頃大好きだった芸能人と一緒に仕事ができる。それはとんでもないことです。その後、仲良くなり、一緒に飲みに出かけたり、出演する演劇に招待してもらったこともあります。その人のようになりたくて、髪形を真似したり、服装を同じ雰囲気にしたり…カラオケでは、その人の歌ばかり歌い、ダンスも練習しました。それほど大好きな人だったのです!!!
憧れの芸能人と親しくできるというのは、言葉では言い表せないくらいの喜びです。どれだけ仕事で大変な思いをしても、どれだけ睡眠不足で眠くても、全て吹き飛んでしまうくらいです。名前は言えませんが、その芸能人のブログにはたまに私も写メ付きで登場して、仲良しのスタッフと紹介してもらっています!!!
TV番組はたくさんの人の思いがつまった芸術品
自分のやりたいと思ったことを企画して、取材し、編集して、全国の視聴者に届ける!こんなことができるのは、テレビ局のお仕事だけです。全国の何十万人の人が私が作った作品を見てくれるというのは、何度味わってもすごく嬉しいものですし、達成感は半端ないです。
毎日ただただ流れていくテレビ番組。視聴率が上がらず、世間にも認知されず、消えていくものもたくさんあります。それでも、テレビ番組はたくさんの思いがつまった芸術品です。
たった数十分のテレビ番組を作るのにも、たくさんの人が関わっています。取材を受けてくれる方もそうですし、私の出した企画をチェックしてくれるプロデューサー達、協力してくれるAD、カメラマンや音声さん、テロップやCGを作ってくれる方もそうですし、音楽を付けてくれる方もいます。他にも数えきれない方が関わってくれてひとつの番組を作っています。
たくさんの人とひとつもの作品を作っていく達成感はやばいです!そして、放送後のお疲れ様会も楽しみのひとつです(笑)
テレビに関わりたいと考えている方へメッセージ
テレビ制作は「眠れない」「大変そう」というイメージがあるかと思います。確かに、家に帰れない日も続いたり、全く眠れない日があったりもします。しかし、それ以上に、「全国の人に自分の作品を届けることができる」という喜びもあります!全国の人に自分の考えを届けることができるのは、テレビくらいではないでしょうか。
「いやいや、インターネットの方が影響力があるよ!」と言う人もいるかもしれません。確かにそれも一理あるかもしれません。でも、私たちの両親や祖父母世代には、まだインターネットよりテレビです。また、普通のお仕事のように、毎日同じことの繰り返しなんてことはないのもテレビ業界の魅力です。毎回違うネタを扱い、そのたびに色んな場所へ行き、形にする。
こんな素敵な仕事は他には絶対にありません!