肩が凝って辛い…
足がむくんだから解消したい…
そう感じた時は、病院へ駆け込む方もいるでしょう。「そこまでは別に…」という方はリラクゼーションサロン(いわゆるマッサージ)を利用される方も多いのではないでしょうか。不調を取り除くだけでなく、ゆったりとした癒しを得ることも出来ます。
私はその癒しを提供する側、施術者として働いていました。お客様が満面の笑みで帰られる姿は、他の職柄では味わうことができない「やりがい」を感じることができました。
しかし、施術側の職場環境は様々です。もし、他人の職場恋愛に巻き込まれたらどうでしょう? 平等に扱ってもらえず、自分ばかりが犠牲になる職場だったら…。
施術するのにも体力が必要です。体力と気力…どちらも壊してしまい、大好きだった職業から離れなければならなくなった体験談を書こうと思います。他人の職場恋愛に巻き込まれている方、身体を壊してしまう前にぜひ読んで頂ければと思います。
オーナー&その彼女&私の3人体制
私が働き始めたお店は、リラクゼーションとカフェが一体となっており、施術+ウェイトレスが仕事でした。
その店舗は開業し1年程経ってましたが、従業員の入れ替わりがとても激しかったそうです。1人の女性だけがずっと働き、その女性以外は、入っては辞めるを繰り返し。長く続いても3ヶ月程度だったそうです。
これは「何かあるのかも?」と不審に感じつつ、出勤していたのをよく覚えています。私の予感は、すぐに的中することとなりました。残った1人の女性スタッフは、オーナーの彼女でした。
オーナー(30歳くらい)
彼女(25歳くらい)…Aさん
私(27歳)
オーナーの彼女をAさんとします。Aはまずオーナーに敬語では話しません。タメ口です。そして、オーナーもAに対して「下の名前で呼び捨て」です。私の名前は「名字+さん」呼びです。
その他にも、オーナーの飲み物を回し飲みする等、普通ではあり得ない事が多々ありました。従業員が3人しかいない中、何も知らされず、目の前でイチャイチャされていたら、たまったもんではありません。
私「オーナーと付き合ってるの?」
A「うん」
隠してるわけではないだろうけれど、知らないふりし続けるのも気まずかったためスッキリしました。ですが、これがきっかけとなり、彼女らのイチャつきぶり、オーナーのわがままぶりがエスカレートしていったように思います。
手間のかかる施術は私に全て押し付け
マッサージをするにあたって、力加減は十人十色です。すごく体格が良いからといって、強くすれば良いってものではないし、華奢な方は弱くすれば良いわけでもありません。人それぞれ、自分好みの力加減があります。
しかし、男性を施術する時は圧倒的に体力を使うことは間違いありません。特に大柄の男性が来るとなおさらです。「女性だけ施術したい」というのが本音のところです。
このお店の施術者は2人しかいません。私、オーナーの彼女Aです。オーナーは、予約や来店されたお客様を私たちのどちらが施術をするか振り分けます。
私が男性を担当、Aが女性を担当します。これは公平に決められているのではなく、必ずといっていいほど毎回そうなります。
これも毎回私が担当します。たとえ、Aが空いていて暇だとしてもです。連続で施術することになっても、休む時間さえくれません。
私が空いていてもAを指名します。成果分だけ給料が支払われるため、楽なものはAに任せる。そして、私には給料分は男性を当てる、そんな雰囲気を感じていました。
決して、男性を施術するのは嫌というわけではありませんが、あまりに不公平な対応に小さな不満が日々積もっていくことになります。
二人だけでワイワイ!私はのけ者…
このお店にはカフェというもう一つの顔があり、スタッフで新メニューを開発することもありました。この時も、常にオーナーとAはぴったりとくっつき、二人だけで新メニューについて味見をして話し合っています。新メニューが出来上がっても、私は味見をさせてもらえないため、お客様に説明することができません。
新メニュー開発のたびに毎回腹が立ち、なぜこんな環境の中で働いているのか、情けなくなっていました。オーナーは、そのような事も気づかず、プライベートを職場に持ち込んできます。
「みんな、職場恋愛に巻き込まれてうんざりする。そして辞めていくんだな…」
誰しもが仕事が続かない理由が分かった気がしました。私にとっても退職を考えさせる「始めのきっかけ」だったと思います。
ギックリ腰でも強制出勤
職場恋愛に巻き込まれる苦痛の環境でしたが、追い打ちをかけるように身体を悪くしてしまいます。
「ギックリ腰」です。身体を癒す側が、身体を壊してしまう。笑われてしまいそうですが、この職業ではよくあることです。自分に合ってない施術台だったこと、そして不公平な扱いで無理な施術を続けていたことが原因です。歩くこともできず、しばらく仕事を休まなれけばいけません。辞めようと決意しオーナーに伝えましたが引き止められました。
「辞められたら困る。3日経ったらまた状況を教えてくれ」
施術するのが二人しかいないので、無理に引き止めたのでしょう。私もそれは理解していたので、一旦辞めることは考えないことに。ですが、3日経っても当然症状は改善されません。しばらく休ませてもらうことになりました。
1週間ほどすると少し良くなります。施術は無理だけれど、その他の業務ならできるかもしれないという事を伝え、了解を得たので出勤。何日か試してみましたが仕事がままならず、施術はとても出来る状態ではありません。「やはり辞めよう…」と決意、オーナーに伝えたところ想像通りの展開に。
オーナー「Aにどれだけ負担かけさせるんだ!休みもなく、働いてるんだぞ!」
私「すみません…(あんたの彼女だから怒っているんでしょ)」
カランカラン。一人の男性が入ってきました。「お前がやれ」はオーナーから出た言葉。Aも助けてくれません。
ギックリ腰がひどいまま施術、力を入れるたびに激痛が走り、崩れ落ちそうになります。それを必死にこらえ続ける。痛みは絶頂で目からは止めどなく涙が…。泣きながら施術を続ける異様な光景。お客様はうつ伏せなのでこちらの様子は見えませんが、異変は感じていたでしょう。そして、こんな姿を見たら仰天していたと思います。
なんとか45分の施術を終えました。
- お客様に申し訳ない気持ち
- こんなやり方が許されていいものか…
申し訳なさ、虚しさ、情けなさ、怒り。いろいろな感情がこみ上げて涙が止まりません。「もうここには二度と来ない」
最後に
次の日は出勤できる状態でも無かったのでそのまま休みました。そして、二度と出勤するつもりもありませんでした。何度も何度も辞めると言い続け、ようやく辞めさせてもらうことに。
最後には、オーナーから「ひどいことを言ってしまった、ごめん」と謝ってきました。もし、また何か言われたら労働基準局にでもいこうと思っていたので、呆気にとられました。
「職場恋愛」
決して悪いことではありません。出会いが限定される社会人にとっては、むしろ自然な形かもしれません。ですが、精神年齢がお子様な人がやってしまえば、周りに迷惑がかかります。もし恋愛をするなら公私混同はしない。彼氏彼女にはあえて周りより厳しくする。それくらいの覚悟は必要です。
周りが職場恋愛をしている、それに巻き込まれて仕事があやふやになっている。そんな方はすぐにでも辞めたほうが良いと思います。その二人が改善することはありません。もし別れたとしたら、もっと大変な未来が待っています。
私は現在違う職場で働いています。職場恋愛はやはり存在しますが、その二人は大人の対応をしているので、決して仕事に差し支えることはありません。大人として当たり前の姿ですが、その当たり前の職場が存在するのは事実です。二度とあんな思いはしたくありません。