「パワハラ」
近年よく聞くワードです。
パワハラを苦に自ら命をたってしまう事件も起きています。
「その前に辞めたら良かったんじゃないの?」
そんな声をあげる人もいますが、パワハラは心までむしばんでいきます。
僕自身も苦しんだ経験があります。
その時の心理は「自分が受けているのがパワハラなのか分からない」
後で冷静になってみると、ひどい扱いを受けていると思うのですが、当時は冷静に判断が出来ていません。
パワハラをしてくる人は巧妙です。
自分を守る術を心得て攻撃を仕掛けてきます。
どうすればいいのか悩んでいる方へ。
少しでも道しるべになれればいいと感じましたので、記事を書かせていただきます。
激務だった接骨院
僕の職場は接骨院でした。
施術をするのは院長と僕だけ。
あとは事務のアルバイトがいるだけの小さな接骨院です。
整体学校を卒業したばかりの僕はまだ業界の常識が分かっていません。
その院長が言うことやることが常識、師匠だったわけです。
接骨院は拘束時間がおそろしく長く、朝8時から夜22時まで働くのが通常。
それよりも遅く終電帰りになることもありました。
休日も1週間に1回あれば良いほうです。
他の接骨院で働いていた友人からも、それが当たり前だと聞いていましたので、それが「接骨院で働くということなんだ」と受け入れてしまったのです。
将来は自分のお店を持ちたい、と期待に満ちあふれていた僕はそんな過酷な状況でも頑張ることができました。
「三年で分院を持たせてあげる」
という院長の言葉が支えだったのです。
働いている中で
技術指導
集客の仕方
売り上げの管理 など
院長はあますことなく教えてくれました。
ここまで聞くと素晴らしい院長だと感じる人もいると思います。
ただそれは勤務していた5年を振り返って、よかったところだけを集めたことがたったこれしかないということを伝えたいからなのです。
黒といえば白でも黒
院長は大柄な体格で「ド」がつくほどの体育会系です。
正しいと思ったことは例え間違っても押し通す。
院長が「黒」といえば白でも黒になります。
それでも私から意見をすることがあります。
言い間違いを訂正したり、整形外科の医師から聞いたことを話したこと等。
「おれが間違っているのか?」
その言葉の3秒後には、拳と足がとんできます。
いつだったからか忘れましたが…
殴る、蹴るは当たり前です。
何十年も昔の話ではなく、つい5年前の話です。
「お前は俺より物を知っているのか」
「知ったかぶりをするな」
たとえ間違っていたとしても院長の意思にそぐわないことは言わない。
それが僕のルールになっていきました。
やりたくない仕事
どんな職業においても「これやりたくないな…」と感じる仕事はあると思います。
とはいえ、やりたくない仕事が、会社に必要なことであればやるのは当然ですよね。
僕が依頼されていたのはホームページの作成です。
接骨院のものではありません。
院長の愛人が経営する飲食店のホームページです。
昼休みはその時間に使われました。
一度作ったら終わりではなくて、修正したり、SEO対策など。
ちなみに全くの素人。専門家ではありません。
そのころの僕は恐怖で縛り付けられていたので、休みを返上してホームページを作ることもありました。週1回の貴重な休みが無くなるのがこんな理由。
今思い出しても腹が立つ、でも当時は感覚が麻痺しているのです。
休みは基本なし
休みを返上したことはそれだけではありませんでした。
木曜日と日曜日が定休日のため、契約上では週2日の休みでした。
仕事にも慣れてくると分院の手伝いに行かされることが増えていき、最終的には月で休みは3日だけになりました。もちろん休日手当はありません。一人の患者さんを15分施術するためだけに、往復40分をかけて休日出勤することもありました。
「患者さんのために時間を使うのは当たり前だ」
「自分の時間を使って患者さんのことを考える時間にするかが成功する近道だ」
は院長の言葉。
院長も休まず働いているなら納得もできましたが、そうではありませんでした。
自分はちゃんと月8日休みを確保しています。
体調不良…そして事故
次第に精神的にも肉体的にも異常を感じるようになりました。
働き始めて約5年たった頃です。
まずは味が分からなくなります。
辛いものしか感じることが出来ません。
後で分かったことですが、過度なストレスは味覚障害になる場合があるようです。
うつ病の初期症状、危険信号とのこと。
食事後には腹痛から下痢に。
これがほぼ毎回。
過呼吸になり救急車を呼ぶこともありました。
極めつけは交通事故。
帰宅中に赤信号にも関わらず突っ込んでしまい接触事故を起こしてしまいました。
幸いにお互いケガもなかったのですが、過失は完全にこちらです。
今だにその時のことは覚えていません。
なぜ赤信号で突っ込んでしまったのか…
常に意識がぼっとして限界寸前だったのかもしれません。
周りに相談することが大事
これだけ自分の状況がおかしくなって、ようやく周りへ相談したのです。
両親は味方になってくれて退職するところまですすめることが出来ました。
あの時に相談していなかったら…
今の僕はどうなっていたかは分かりません。
自分がパワハラを受けている、もしくはパワハラを受けているかわからない方。
とにかく誰かに相談してください。とにかく多くの人に相談をしてください。盲目的に上司に従っている人は、周りが全く見えていません。
極端な話ですが、仕事はいくらでもありますし、今の仕事が人生の全てでもありません。
まずは一歩行動してみてください。