【未来の作業療法士へ】9年働いて分かった作業療法士のやりがいとは?作業療法士は充実感を得られる仕事です。

医療関連

作業療法士として働いて9年目になります。急性期で5年、慢性期で約4年、現在は障害者施設のデイサービス、放課後デイサービスで勤務をしています。

 

  • 作業療法士の仕事どうだろう?と将来を考えている高校生
  • 作業療法士を目指している専門学生
  • 現在社会人で改めて学校に入り直そうと考えている方

 

私が体験している「作業療法士」について記事にしていきます。そもそも仕事について全く知らない方へ向けて、簡単に説明をいたします。

 

作業療法士の仕事

日常生活へ復帰するためのリハビリをお手伝い

主には高齢者が対象となります。お宅に戻れる支援のため、日常生活に特化した訓練となります。

 

〈やりがい体験談〉編み物を通してリハビリを

仕事を通してやりがいを感じる瞬間が多々あります。今までで一番嬉しかったエピソードを紹介させて頂きます。

 

80歳の利用者を担当した時のことです。今まで元気に過ごしていましたが、転倒して腰と左手を骨折。「痛くて起きるのが嫌だ…」と嘆いていました。リハビリを拒否する方を対応するのは困難です。無理矢理やらせることも出来ませんし、嫌がるからとやらないのもダメです。リハビリへ進むためにどうすべきか工夫が必要です。

 

私が提案したのは編み物でした。利用者は嫌がりましたが、なんとか説得して起きることに成功。編み物は両手が必要であるため、片手でできるような織り物の道具を作りました。すると、それが楽しかったようです。

 

翌日以降は起きて織り物をやる時間が増えていき、自然に手のリハビリを促すことが出来ました。利用者との心の距離も縮まり、全身のリハビリも受け入れてくれました。ここから良いサイクルでリハビリが進みます。

 

「早く両手で織り物や編み物がしたい!」

 

と意欲が出てきたのです。こうなると後は早い!3ヶ月後に自宅へ戻れるまでに回復しました。離れるのが寂しい気持ちはありつつも、改善されたことのやりがいに充実感を得られた瞬間です。

 

娘を作業療法士にしたい!

「娘を作業療法士にしたい!」

 

そう言ってくれたのは同僚(介護士)です。前述した編み物で改善した利用者、また他にも多数のケースを見て思ったそうです。同僚とはプライベートでも仲が良かったので、娘さんとも知り合いになっていました。

 

家族同士一緒に御飯を食べることもありました。そこで作業療法士について色々話すこともあり、娘さんも興味を持っているのが分かりました。卒業を控えた冬、選んだ進路は作業療法士の専門学校です。晴れて合格、現在は将来の作業療法士として勉強をしています。

 

なかなか知られていない職種。仕事を通して他の誰かに知ってもらう、認めてもらう。それが次の作業療法士につながったケースです。すごく誇らしく思えましたし、一生懸命働かなきゃと感じました。

 

何気ない一歩を見るのが幸せ

利用者が自宅へ戻れるようになる。この仕事のゴールです。年齢、状態、家族状況によっては戻れないケースもありますが、一歩でも進む瞬間を見るのは幸せです。

 

  • 一人でトイレに行けるようになった!
  • 普通のお風呂に入れた!
  • ベットから起き上がれた!

 

出来ることが増えていきます。利用者も改善されると喜びますし、職員も嬉しい気持ちになります。退院の日は少し寂しさも感じます。しかし、そこで終わりではありません。

 

退院後、外来受診をしたついでにリハビリ室に寄ってくれることがあります。そのとき、パジャマ姿だった利用者が、私服を着て元気な姿を見せてくれます。「元気で日常生活が送れていてよかった」と安心しますし、顔を見るだけで元気になります。感謝の言葉をよくいただきますが、頑張っているのは利用者です。私は少しでも良くなるお手伝いをしただけ。それでも、この仕事を通して起きたこと。誇らしく、そして自信へと繋がります。

 

認知症患者との反復練習の末に…

認知症患者を担当をした時の話です。認知症検査では「新しく物事を記憶することができない」という結果が出ていました。医学的にそう認められてしまっているのです。

 

「それでも何とかしてほしい…」という御家族の要望のもと、私が担当してリハビリを試みます。週5日とかなり時間をかけてのリハビリ。体はどんどん元気になっていき、一人で立ち上がりが出来るようになっていきます。

 

その患者には反復していろんなことを行いました。繰り返し、繰り返し、何度も同じことをやる。教える。1ヶ月経つと、トイレと部屋の場所を覚えることができました。そして、私の名前も憶えてくれて呼べるようになります。

 

私が「リハビリをする人」という認識もしてくれています。私がその患者の部屋に行くと、靴を履いて準備をしてくれます。通り過ぎる看護師に「今からリハビリに行ってきます」と声をかけるのです。

 

検査では「新しく物事を記憶するのは難しい」とされていますが、新しいことをどんどん吸収していくのです。「医学的に改善されたのか?」というと違っており、再検査しても以前と同じ結果が出ています。維持という意味では効果がありました。この仕事は辞められないなと感じる瞬間です。

 

医療を超えた出来事を目の当たりにした瞬間でした。

 

未来の作業療法士へ!

 

「作業療法士になってみたい」と思う方がいたら、ぜひ目指してください!

 

作業療法士は「他人の人生を背負う仕事」だと思います。責任感が必要そう…と不安に思う必要はありません。その人について一生懸命考えることが出来れば、その思いは伝わります。それで良いのです。

 

この仕事につくには国家資格が必要です。勉強や実習はつらいかもしれません。しかし、それを乗り越えれば、かけがえのないモノを手に入れることが出来ます。同じ作業療法士として、またどこかでお会いできる日を楽しみにしております!

 

この記事を書いた人
miku99

総合病院で作業療法士として働いています。現在9年目に入りました!この仕事が大好きで生涯続けたいと思っています♫現在妊娠中でもうすぐ産休、育休明けはもちろん復帰します!