世の中にはたくさんの飲食店が存在します。そこでは多くの料理人が自分の腕1本で生計をたてています。僕もその1人です。みなさんの周りにも料理人として働いている人がいるのではないでしょうか?
そんな身近にいる料理人の仕事について
- 料理人の厨房での1日
- 給料はどれくらいか?
- 残業は多いのか?
- やりがいは何?
7年勤めて分かった「料理人として働くのはどうなの?」について記事を書いていきます。これから料理の道を志そうと思っている方の参考となれば幸いです。
一般企業から料理人の道へ
地元の大学を卒業後、最初に入ったのは証券会社でした。大手と呼ばれる一部上場企業です。入社してからノルマに追われる日々。肉体的にも、精神的にも消耗していきます。せっかく大企業に入社しましたがわずか1年で退社しました。
次に選んだのが情報誌の編集です。残業は多かったですが、仕事に対しての充実感がありました。これなら続けられる仕事と安心していました。ですが、僕の意志とは違う方向に進みます。当時は不況の真っただ中、売上がどんどん落ち込んで営業所が閉鎖、そしてリストラ。次の会社を考えなければいけませんが、リストラのショックをしばらく引きずり…。
「手に職があればリストラされても怖くない」という結論にいたった僕は、思い切った決断をします。
「料理の学校に入って料理人になろう!」
その時はすでに30歳。一般企業であれば、中堅としてバリバリ働き、転職も枠が絞られてくる年齢です。焦りと希望が入り混じりながら、受験したのを思い出します。
30代の初心者が料理人になるのは難しいか?
この記事の読者には、すでに社会人経験がある方もいらっしゃると思います。
「30代の初心者が料理人になるのは遅いのか?」
そう不安に思うでしょう。
結論は…
30代でも40代でも遅くありません。
僕が通った料理専門学校
50% 18−20歳
25% 20代
25% 30〜60代
幅広い年代が通っていました。
卒業後の就職もすぐに決まりました。それは卒業生が30代だろうが40代だろうが関係ありません。飲食店は全国にたくさん点在します。その分だけ料理人の数が必要、どこも募集をしている状況です。
年齢がいくつであっても、料理の腕さえあれば就職できる業界です。飲食店にとっては、調理師学校を卒業した生徒は喉から手が出るほど欲しい存在です。
料理人はどういう仕事をするのか?
お店の規模やジャンルによって仕事内容は多少変わると思いますが、基本的にはこんな感じの仕事内容です。
- ランチタイムの仕込み
- ランチタイム
- まかない作り
- 休憩、掃除
- ミーティング
- ディナータイムの準備、翌日以降の仕込み
- ディナータイム
- 掃除
基本的には立ちっぱなし(まかないも厨房で立って食べる)です。準備に、調理に、あまり休む時間はありません。
調理以外の仕事
- 売り上げや原価率管理
- 人件費管理
- キッチンスタッフのオペレーション確認
- ミーティング 等
「料理だけやっていれば良い!」
と思い込んでいましたが、細かい仕事がたくさんあるのに最初は驚きました。毎日朝から夜までバタバタと過ごしています。
料理人の給料はどう?
料理人の給料は勤務先によって違います。個人経営、大型レストランでも違ってきますが、平均年収より低いことが多いです。また経験年数によっても違います。
月給26万(総支給)
ボーナス無し
年収換算 約312万
※レストラン勤務の料理人7年目
↑は僕のケースです。
飲食業界全体が一般企業と比べると低いと思います。ですが、まずは仕事を覚えながらお金がもらえるという意識を持つことができれば、納得できる金額なのかなと感じます。
僕自身も未熟なところがたくさんあるので、お金をもらいながら学ばせてもらっている感覚です。給料に不満はありません。
心のどこかで「今はこれだけしかもらえないけど成り上がってやる」という気持ちが、料理人として成功する秘訣だと思っています。
料理人の残業は多い?
残業は月平均80~100時間です。
暇な時期は長めに休憩を取ったり、交代で早く帰ったりできます。反対にゴールデンウィーク、クリスマスといった一大イベントは食事時間が取れないほど忙しくなります。
残業と考えると「つらい」と感じますが、前職の証券会社で体験した残業とは別物です。料理人は常に「腕を磨く」ことを意識しているので、長時間働くことがつらいという感覚とは違います。
趣味に何時間も、何十時間もかけるのと似ているかもしれませんね。忙しすぎることを理由に料理人を辞めていく人は、料理自体が嫌いになったり、仕事と捉えてしまっている方が多いと思います。
料理人の休日は多い?
休日は少ないです。
月4日~8日が一般的では無いでしょうか。人が遊んでいるときに働く職業なので、土日や祝日は仕事なのが普通です。
僕が勤めているところは月9日あるので、この業界内では「休日が多い」といえます。ここも店舗によって差があります。休みは平日に交代で取得します。人込みのストレスはありません。その点は良かったなと感じます。
料理人の魅力とは?
ここまでは、料理人はただ大変な仕事としか映らないと思います。一方で、たくさんの魅力がある仕事です。
料理人の魅力その1:どこでも仕事ができる
料理人という仕事は文字通り料理を作る仕事です。そのため、都道府県問わずどこでも仕事ができます。さらには海外で働くことも。
それだけ世の中にたくさんの飲食店が存在しています。自分が興味をもったジャンルや地域を選ぶのもよくある話し。極端な話、包丁さえあればすぐに仕事を見つけることができるでしょう。
実際に僕自身が体現しました。田舎(地元)から何も持たずに東京に出てきましたが、すぐに仕事が見つかり普通の生活を送ることが出来ています。今後は外国なども視野にいれようと考えています。
料理人の魅力その2:プライベートでも使える技術
仕事で料理をしているということは、もちろん家でも料理をすることが出来ます。家族、彼女に手料理を振る舞って、みんなが笑顔になる瞬間は本当に幸せです。
また、鮮やかな包丁さばきを友人に見せる時は快感です。「すごい…」と向けられる眼差しに、ニヤケるくらいドヤ顔が出来ます(笑)
料理人の魅力その3:定年が存在しない
料理人には年という考え方がありません。独立して自分のお店を持てば、それこそ年齢を重ねても働くことが出来ます。
「定年まで働いた後に再就職が無かったらどうしよう」
「そもそも定年まで働けるかが不安」
こういった不安は一般企業で働くよりも少ないです。
料理人の魅力その4:三大欲求の「食」を追求できる
よほど変わった人でなければ、みんな食べることが大好き。食欲は三大欲求の一つでもあります。
人間が持つ欲求「食」を追求できるのは、料理人の特権です。
料理は「素材を加工して変身させる」ことです。野菜、肉、魚を切ったり、加熱したして美味しい食事へと変化させます。そこには一般人では知る機会がない専門知識が存在します。
最後に
いかがでしたでしょうか?
料理人の仕事に少しは興味をもってもらえたでしょうか?
実力主義の世界なので、最初はかなりきつい仕事であることは否定出来ません。しかし、努力の先には必ず結果がついてくる、シンプルで分かりやすい世界でもあります。料理とは本当に奥が深くて面白いです。
この記事を読んで少しでも料理の世界に興味をもって、そして一緒に切磋琢磨できたら嬉しいです。