はじめまして、私は7年目の臨床工学技士です。勤め先は「病院」です。
- 医者
- 看護師
- 病院事務
病院で働く職種を想像すると、この3つが思い浮かぶのではないでしょうか?これらは患者に直接的に関わるため、仕事内容についても想像しやすいでしょう。
一方で「臨床工学技士」というワードを聞いて、仕事内容が分かった方は1割もいないと思います。働く場所が限定的で、かつ患者に直接関わることが少ないためです。
- 将来は医療職にすすみたい
- 臨床工学技士という職種があることを知ったけど詳しく分からない
- 実際に働いている方の声を聞いてみたい
このように思っている方へ向けて
- 臨床工学技士はどんな仕事をするの?
- 将来性は?
- 給料はどうなの?
- 休みはどうなの?
- 仕事で大変なことは?
7年目の臨床工学技士として、知ったこと、分かったことを記事にしていきます。
臨床工学技士はどんな仕事をするの?
臨床工学技士とは?
医療用機械を取り扱うプロ
医療用機械を取り扱うスペシャリストとして勤務する職種です。主な仕事にこのようなものがあります。
- 心電図モニターなど医療機器の操作や管理
- 腎臓が悪い人の治療の1つである人工透析装置の操作、点検
- 心臓の手術の時に、心臓の代わりになる人工心肺装置の操作、点検
職種別の関わる相手
医者、看護師→患者
臨床工学技士→機械 (患者へ間接的に関わる)
医者、看護師は直接患者に関わります。反対に臨床工学技士は機械操作が主な仕事のため、間接的にしか関わりません。そのため、まだまだ知られていない職種となります。
透析室や手術室といった場所で働いているため、そのような設備がない病院には存在しない職種です。またその部屋に行く患者も限られているので、一般の方々が目にすることは少ないのです。
臨床工学技士はどんな人が向いている?
- 男性
- 機械好き
- 医療職を希望するが人に関わるのは苦手
この職種は男女ともに存在はしますが、個人的には男性の方が向いていると思います。私も男性ですがそれは強く感じています。
後で書きますが、病院にとっては変わりのきかない仕事です。緊急患者が夜中に入ることはたびたびあります。そのため、急な呼び出しを受けることもあります。その時にパッといけるのは男性の強みだと思います。女性の場合は、子供を置いて夜中に行くのは、夫の理解と協力がどうしても必要となってしまいます。
次に機械好き。私は子供の頃はミニ四駆にハマり、小学生になるとスーパーファミコンを分解したり、とにかく機械をいじるのが好きでした。その趣味が延長して仕事に活かされている所はあります。
安定している医療職。どの職種も国家資格が必要なため一度取得すれば食いっぱぐれる事はないでしょう。そういった事情から医療職に就いてみたい、でも人に関わるのは苦手。そんな方には臨床工学技士がオススメです。全く患者に関わらないわけではありませんが、医師や看護師とは比較にはなりません。主は機械相手です。
臨床工学技士の将来性は?
将来性あります。就職先に困りませんし、これからもどんどん活躍の場が広くなっていくと考えています。
ネット検索すると「臨床工学技士は将来性が無い」「臨床工学技士は飽和している」の書き込みを目にしますが、「え?本当にこの人達働いているの?」と疑問に思うところです。ライバルとなる資格取得者を減らすために書きこんでいる気がします。
まず、医療機器はどんどん進化していっています。そのスピードが早すぎるため、医師や看護師では取り扱えない機械が増えていっています。
高度な機能を備える反面、操作が難しいのです。そのような医療機器を扱うスペシャリストが私たち臨床工学技士です。また緊急の処置で臨床工学技士が関わる業務も多くあります。例えば、緊急の内視鏡や透析、心臓手術の際の人工心肺装置の操作、心臓カテーテル検査など。本当に幅広い業務があります。
今後も変わらず、むしろ加速して、臨床工学技士は救急医療の現場に必要とされる資格です。また、資格も気軽に取得できるものではありません。専門学校、大学で専門知識を取得してようやく国家試験を受けることが出来ます。
臨床工学技士の給料はどう?
私の場合(7年目)
基本給 約 22万円
資格夜勤手当等 約 8万円
月給 約 30万円
年収ベース(賞与込) 約 440万円
基本給は控えめですが、そのぶん手当が多いです。待遇面でのライバルは「放射線技師」「臨床検査技師」になるかと思います。それほど変わらない印象ですが、放射線技師は独占業務の資格ですので、就職の幅も広く、給与も少し良いケースが多いです。
「臨床工学技士」か「看護師」で迷ったら看護師がオススメ
どちらかの職種で迷ったら、看護師をオススメします。給与は看護師の方が高く、働く場所も多々あるため就職や転職がしやすい点もあげられます。
ただし、先ほども書きましたが、看護師は患者へ直接関わる仕事です。同じ職場で働いて分かりますが、看護師の離職率は高いです。それほど過酷でストレスのたまる仕事なのかもしれません。
臨床工学技士の休みは?
私の場合、年間で110日です。
一般企業は週休2日、祝日、年末年始など。年間120日前後(ブラックでなければ)が多いかと思います。それと比較すると少ないですが、医療職の場合は仕方のないところはあります。個人的には不満に思ったことはないですし、医療職では多いほうなので嬉しいところです。
ただし、緊急患者を相手にすることが多いため土日祝日は関係ありません。「週末はゆっくり休みたい」「カレンダー通りの仕事がしたい」という方にはオススメしません。そもそも、そう考える人は医療職は向いていないのですが…。
臨床工学技士で大変なことは?
- 命を預かるプレッシャー
- 急な呼び出し(夜中・休日)
医療職全般にいえますが命を預かる仕事です。機械の操作が仕事ですが、それは生命維持管理装置であることもあります。その機械が無ければ生命は維持できない、操作を誤ると…。そんなプレッシャーを常に背負わなければいけません。
担当業務によっても違いますが、急な呼び出しを受けることがあります。緊急対応や処置を伴う治療の業務に従事している場合、夜中だろうが休みだろうがお構いなしです。出勤した分は給料に反映されますが、一方で遠出旅行が出来なくなる可能性があります。携帯電話も手離せません。
「自分にしかできない仕事」「患者の命を救えるのは自分だけ」と使命感に燃える自分がいる反面、「つらいな…」と感じることもあります。
最後に
臨床工学技士の仕事について紹介しました。
この職種に限らず医療業界に従事するのは楽なことではありません。ちょっとした失敗が重大な事故につながる可能性があります。日々の勉強も必要。
ただその責任感、向上心が成長させてくれます。体力が必要な仕事ですが、若くて使命感があれば乗り切れる仕事でもあります。同じく臨床工学技士として働くひとが一人でも増えることを心から望んでいます。