突然ですが…
「1日で最高何時間働いたこと」がありますか?
私は16時間半です(涙)
しかも、何日も連続で勤務しました。全然誇れることではないですね。職種はリゾートホテルの従業員です。「余暇を楽しもう!」と遊びにきているお客様を対応するのですが、肝心の私たちがまともな状況ではありませんでした。最後は逃げるように退職をしました。
- 長時間残業で苦しむ方
- ブラック企業から脱出する勇気がなかなか出ない方
私の体験談が何か役に立つことを願っています。
過酷過ぎるリゾートホテルの仕事
リゾートホテルは休暇を楽しく過ごすために利用する施設です。そんな施設で働く人たちが実は「余暇の楽しみ方を知らない人たち」だとしたら、どうでしょうか?
楽しみにきたお客様に対して「真のおもてなし」は出来ません。入社当時、結婚式やイベント企画で「お客様を楽しませる空間作りができれば良い」と夢を持っていました。その夢は日々の現実にあっという間に木っ端みじん。わずか3年で私は退職を決めました。
私が配属されたのは飲食部です。結婚式やイベント企画がやりたいと思って入社しましたが、部署は飲食部、フロントの2つしかありません。田舎のリゾートホテルだったため、高級感漂うラグジュアリーな施設ではありません。
飲食部では宿泊客の食事から、地元民の忘新年会・その他宴会、結婚式と何でもありでした。コンセプトは無く、経営重視のスタイルで「取りあえずお客さんなら何でも良い!」でした。
とにかく小さなホテルでした。宴会場も大きなホールを宴会に合わせて区切って使うため、日々設営・設営が続く事もあります。パーテーションで区切って、机を運んで、クロスをかけて、椅子を並べてと体力仕事ばかり。女性の私にとってはつらいものでした。30人程度の宴会準備をたった1人でやることは当たり前でした。
キャパを超えた収容人数
夏は繁忙期です。夕食付きのプランで泊まる方がほとんでした。夕食タイムは3時間半〈17:30~21:00〉です。この間に100組程度のお客様に食事を提供するのです。小さなホテルですから、60組も入ればもう満席。2回転が前提の予約状況です。この予約客が終われば、予約してない飛び込み客も入ってきます。
基本的に料理は懐石風、コース風、BBQコースとなっていました。先付けや刺身盛などもついてきます。テーブルごとに大皿に準備しておき、冷蔵庫から出す。その間に温かい物を作って出すという流れです。毎日30~40枚の刺身盛を冷蔵庫に入れるだけでも大変。これにBBQ盛りも別につきます。冷蔵庫の片づけ、皿入れだけでも大変な作業でした。
さらにお客様の食事時間というのはチェックインしてから決まります。夕方頃から情報が入り始め、それを時間、人数、料理内容を見極めてパズルのようん組み込む。スタート時間が決まったら厨房に報告。特別料理などについては、わかりやすい表にして持ってこいとよく調理人に怒られたものです。
そしてオープン。ここから21時まではノンストップで走り切る日々。それが夏休み期間は毎日続きました。あきらかにレストランのキャパをオーバーした営業です。言葉では説明が上手く出来ませんが、ずっと全力ダッシュしても間に合わない環境。まるで戦場のような状況になっていました。
一日16時間半勤務?!
このホテルはとにかくブラックでした。勤務時間がとにかくおかしいのです。
- 朝)朝食準備、朝食
- 午前)宴会場のセッティング
- お昼)ランチタイムのレストラン営業
- 午後)夕食の準備・大量の料理の冷蔵庫移動
- 夜)ディナータイムのレストラン営業
1日の流れはこんな感じで進みます。宿泊業の場合は交代制でシフトが組まれます。早番は朝食を担当して宴会準備、ランチまで終えて遅番に引き継ぎ、となります。
私が勤めたホテルは…
1人で全部やることがありました(涙)
朝食を出した人が、そのまま夜の締めまでいることは日常茶飯事。
では昼間休んでいたのか?
いえいえ、とんでもない。
宴会場やディナー準備はお客様の少ない時間に行うのです。人手不測のホテルでは「全員出動」なわけです。勤務時間は1日16時間半です。
朝6時半出勤、23時退勤。休憩は「ご飯食べる時間だけ」でした。残業は月間180時間という驚異の数値…。しかも、休日は繁忙期でたった5日だけでした。あきらかに労働基準法違反です。「今月はもうタイムカード押さないでね」と言われたこともありました。
リゾートホテル従業員なのに心が荒む…
そんな生活をしていると心は荒みます。旅行にきて楽しそうばお客様を見ると、「自分もこんな生活をしたい…」と嫉妬するようになります。
たまの休みは、体力の回復に努めるのみです。大半寝て過ごす。何のための休みか分かりません。「休みの日に何をしようか?」と考えるのを辞めてしまいます。思考停止です。もちろん土日祝は仕事ですから、友人の結婚式や同窓生との集まりも行けません。
友人とは疎遠になるし、家族とも会う時間がありません。たまに行く外食と言えば、仕事が終わって同僚といく夜食のうどん屋。会社の同僚と飲みに行くという事もありません。なぜなら、みんな翌日が辛くなるから。そんなただ仕事だけの日々になってしまいました。
そもそもホテルと同じ敷地にある寮に住んでいたことも、こんな生活になってしまった大きな要因と思います。でも仕事をしている時は、出勤時間や退勤時間がかからなくていい。朝はギリギリまで寝られるし、夜も仕事が終わればすぐ部屋に戻って寝られる。という「寝る」重視の生活でした。
こうして人間らしい生活からどんどん遠ざかっていきました。
おもてなしの仕事が出来なくなって…退職を決意
社会人3年となると仕事になれて力を発揮し始める頃だと思います。私はその逆です。どんどんと仕事の質が低下していきました。
繁忙期のお客様は高いお金を払ってリゾートにきてくれています。でも繁忙期ほど、忙しいのです。だから疲れ、ストレスともピーク。お客様の楽しんでもらいたい、リラックスしてもらいたい、と思う気持ちがどんどんと無くなっていく。まさに無気力状態で心ここにあらず、といった感じ。
そして、私にはリゾートでくつろいだ経験がありません。そして、この勤務状況ではその楽しみがこの先も一生持てません。「真のおもてなし」なんか出来るはずもありません。
「そんな生活を一生続けるのか?」とふと思ってしまいました。自分の人生を楽しめてないのに、もてなす仕事なんてできない。まずは自分の人生も楽しめる、週に一度は休みを取って外に出る。そんな生活に戻りたいと思い、私は退職をしました。
最後に
- プライベートの時間がまったくない
- 仕事だけで生活が全て終わってしまう
そんな方は「本当にこの生活を一生続けられる?」と考えてみてください。もちろん世の中には「それでいい」という人も沢山いるでしょう。
でも私のように自分が経営者でもない、雇われのサービススタッフで、給料も人に自慢できるほどの金額ではないのであれば、「自分の時間」を持てる生活の方が良いと思います。
その後もいろいろと苦労をしましたが…。何度か転職をしたのち良い職場に出会うことが出来ました。ひどい経験をしたからこそ、週休二日、有給休暇というごく当たり前の事がとても大事だと実感しています。

新卒でブラック企業のホテルへ就職…。その後、転職するもブラック企業…。4社目でようやく良い職場を見つけました。
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