早速ですが、パタンナーという職業をご存知でしょうか?
多くの方は「ん?」と首をかしげると思います。
パタンナーを簡単に説明すると…
服の設計図(パターン)を作る仕事
みなさんが着ている服は布を縫製して出来ています。その服が出来上がるまでには、たくさんの工程が必要となります。
パタンナーはその最初の部分、型紙(パターン)を作る役割を持っています。
- パタンナーになるには?
- パタンナーの仕事内容は?
- 給料はどうなのか
- 残業時間、休みはどうか?
この記事では4年勤めて分かった「パタンナーとして働くのはどうなの?」について書いていきます。働き方に迷っている方、服飾業界に興味のある方に参考にしていただければと思います。
パタンナーになるためには?
まずは「服が好き」という気持ちが必要です。周りを見ても服マニアばかり、それくらい情熱がないと続けれない仕事です。
次に必要なのが知識です。
- 服や布地の構造
- 縫い方
- 人間の身体の構造 など
幅広い知識が求められるため、学校は専門分野に行く必要があります。
服飾専門学校、もしくは服飾や家政大学を卒業していることが必須になります。夜間コースにダブルスクールするという手もあります。
最後に就職試験。
ここは正直なところ運も絡みます。パタンナーを募集している企業はかなり少ないのが実情です。多くは経験者(中途採用)となります。
オススメする方法としては、説明会でパタンナーについて尋ねてみることです。
- 社内登用されるのか?
- なるにはどうしたらいいか?
始めは違う部署から入って、社内登用がもっとも早いかもしれません。私もそのようなルートをたどり、入社して2年目に配属されました。
なぜ私はパタンナーを選んだのか?
私は服飾大学でデザインコースを専攻していました。デザインがとにかく好きで、いずれ自分のブランドを作りたいと考えているほどです。
しかし、服の構造を理解していないとデザインの幅も広がらないことに気づきました。
パタンナーになれば…
- 服作りに必要な知識が身につく
- 手に職が付く
- 私自身のデザインの幅が広がる
このような理由からパタンナーを目指すことにしました。
パタンナーの給料はどう?
パタンナーの給与
- 月給 23万
- 賞与 2ヶ月分
年収 320万
※私のケース(入社4年目)
パタンナーだからといって、特別に給料が高い安いはありません。会社の方針によって変動しやすいかと思います。
月収は入社時から5万円アップしました。業界で考えると、私が置かれている状況は悪くないと感じています。
パタンナーの残業は?労働時間は長い?
月で15時間ほど残業しています。
残業したとしても1〜2時間だけ、体の負担になることはありません。定時退社できる日もたくさんあります。
また、シーズンによって仕事量に波があります。繁忙期になると残業時間は必然と増えます。そこは割り切って考えるしかありません。
休日はどう?
年間休日は120日以上あります。
アパレルにしてはかなり休みが多く恵まれています。
- 土日祝
- 夏季休暇
- 冬季休暇
- バースデー休
ここも会社によって方針が違うと思います。入社前に確認しておくのがオススメです。
また、仕事が落ち着いているシーズンは有休も取りやすいです。融通がきくので働くには良い環境が整っています。
パタンナーの仕事内容は?
勤め先によって仕事内容は変わると思いますが、私がやっていた仕事一覧です。
パタンナーの仕事
- パターン作成
- サンプル、製品の検品
- サンプル修正の商談
- 工場とメールや電話でやりとり
メインの仕事は、パターンの作成と検品です。基本的には内勤ですが、月1回商談のために取引先に外出もします。
パターンの作成方法
まずデザイナーからデザイン画が届きます。それをもとに型紙を作っていきます。
この型紙は服の設計図となります。同じデザイン画からでも、パタンナーの出来によって服の表情が大きく変わります。服作りにおいて重要な仕事といえます。
型紙の作り方(2パターン)
- 原型となる型を使って製図をしていく方法
- 布を実際にトルソー(マネキン)に当て立体的に裁断をしていく方法
2のトルソーを使う方法を「ドレーピング」といいます。
ドレーピングは、複雑な形を直感的に作っていけるのが利点です。一方で多くの布を使うためコストがかかるのが欠点です。コレクションブランドはドレーピングが多いと聞きます。
私が勤め先はカジュアルなリアルクローズのブランドと取引をしているため、製図で型紙を作っていきます。
※リアルクローズ…しっかりした縫製で本物志向の服
製図と聞くと、定規とシャーペンを使って行う姿を想像するかもしれません。服飾学校では手書きの方法で学びます。
しかし、一般企業では専門ソフトを使うことがほとんどです。私の勤め先は「CAD」というソフトを使ってパターンを作っていきます。
その中でも、服の製図に特化したアパレルCADというものがあり、ほとんどのパターン会社がこれを利用しています。
OEMに携わると幅広い知識と経験が得られます
パタンナーはOEMに携わることが多々あります。
- 自社制作…自社デザインのパターンを作る
- OEM…他社から依頼がありパターンを作る
かんたんに説明すると「デザインはウチでやります。パターンは作ってください」と依頼があります。
OEMに携わるパタンナーは、多くのブランドと取引があります。そのため、1つのブランドに捉われることがありません。様々なデザイン、雰囲気の違う服作りに携わることができます。
幅広い経験をつむことで、パタンナーとしての腕も上がっていきます。さらに長年勤めていても飽きが来ないのも良い点です。
自社制作?OEM?種別による仕事の違い
シーズンや日によって異なりますが、私の会社では1日に2〜4型ほどのパターンを作成します。これはハイペースな方だと思います。
これは企業の「自社制作」「OEM」の比重によるところが大きいです。
自社制作メイン、型数の少ない企業は1型に対して1週間はかけうそうです。
自社パタンナーは細かいところにもこだわりながら1着に取り組めるのが良い点です。
一方でOEMの場合は、取引ブランドが多岐にわたります。その分だけ作る型数も多くなっていきます。たくさんパターンを引いて腕を上げていきたい方にはオススメです。
私も1年間経験しただけで、パンツからコートまでオールアイテムのパターンを作れるまで成長していました。
4年経った今はさらに経験値が増えています。しかも、経験したことのない形のものに日々出会います。
最高に楽しいパターンライフです!
【パタンナー】検品も重要な仕事です
パターンを引くこと以外にもう1つ、メインとなる仕事があります。それは検品です。
自分が担当したアイテムが実際に縫われて工場から手元に届きます。
- 指示通り正しく縫われているか?
- 仕様はちゃんと守られているか?
- 各箇所のサイズは問題ないか?
1アイテム3色の2サイズ展開だとすると、計6枚検品することになります。
これが意外に時間のかかる作業で、手間がかかります。あまり知られていない仕事内容ですが、パタンナーをやっている人には必須の作業といえます。
最後に
あまり知られていないパタンナーの記事についてまとめました。アパレル業界といえば、デザイナーやスタッフのイメージが強いでしょう。
そんな中でも「パタンナー」という仕事が陰ながら存在し、日本の服作りを支えています。
私の経験談、この記事が参考になることを願っています。