パティシエはお菓子を作り、作ったお菓子で食べた人を幸せな気持ちにする。クリエイティブな作品を手がける職人でありながら、お客様喜ばせ業なのです。
最初からすみません(笑)
はじめまして、私は現役パティシエで約7年間この仕事に携わっています。お菓子の魅力に惹かれ、高校卒業後に2年制の製菓学校で学びました。
教員になるという夢もありましたが、製菓の世界を極めれば両方が叶うと考えました。製菓を誰かに教えることも授業の一つですからね。専門学校を卒業してからは、神奈川県で7年間パティシエをしています。
- 製菓の専門学校に通っているけど今後の進路に悩んでいる
- そもそもパティシエってどんな仕事なんだ?
- パティシエになってみたい!
そんなあなたへ!
素晴らしい仕事「パティシエ」の世界を知って頂ければ幸いです。
お菓子の魅力に取りつかれる、夢がつまったショーウィンドウ
子供の頃からお菓子が好きでした。とくに甘いものには目がありません。母と一緒に歩くデパ地下の食品街、スイーツコーナーのショーケースに並ぶケーキはきらきらと輝いていました。
「おいしそう」「これが欲しい」と考えるのが普通だと思いますが、当時の私は「これと同じものが作れないかな?」と考えていたのです。これがパティシエになる原点だったのでしょう。
簡単なクッキーから始めて、パウンドケーキ、ゼリーを自宅で作るようになっていました。また、そんなスイーツを家族や友達に食べてもらうと「美味しい」と笑顔になって喜んでくれました。それがとにかく嬉しかったのを覚えています。
ちなみに私は男性です。周りがゲームやカードに熱中する一方、私はお菓子作りにのめり込んでいきました。男の子としては変わっていますね(笑)
もともと工作やお絵かきが好きだったこともあり、お菓子作りも創作活動として楽しんでいました。工作とお菓子作りは似ていますが、食べてしまえば形は残りません。その儚さもまた魅力に感じました。
社会人1年目はパティシエ1年生
そんな出来事から約10年…。私は製菓学校を卒業し社会人となりました。念願だったパティシエとしてです。
免許や資格があるわけではないので、何をもってパティシエと呼ぶかは難しいのですが、一日中お菓子を作る毎日を過ごしていました。専門学校では「厳しい世界だから」「みんな辞めていくから」「続けることが大事」と言われていました。その分だけ覚悟をしていましたが、想像とは違って充実して楽しい時間でした。
なにが楽しいかというと、まずはお菓子が作れる、ということが何より楽しいのです。作れなかったお菓子や、出来なかった技術を習得する成長は、社会人一年目の私に自信をくれました。
- 焼き菓子が作れる
- 生地がきれいに仕込める
- きれいな生菓子の仕上げができる
まるでドラクエの主人公のようにレベルアップしていきます。自分の表現がだんだんと広がっていきます。それが何より楽しいのです。趣味で終わらせていてはたどり着けない、そんな世界がパティシエには存在します。
周りとのチームプレー
お菓子作りといえば、一人で仕上げると考える方もいるかもしれません。それは違っていて、お菓子作りはチームプレーそのものです。
学校での文化祭準備、部活動、または仕事のプロジェクト。チームプレーは楽しいものです。強いメンバーがそろって仕事がうまく回ったとき、より良いものが出来た、そんな時は魅力が増しますよね。
私が勤める会社(製菓メーカー)は部署がいくつかありました。各部署が連携をして、各自の色を出しながら1つの作品を手がけるのです。そんな環境は居心地がよく、同じ目標に向かう仲間のように感じました。そこには先輩、後輩、経験者、初心者もありません。
みんな日替わりでポジションがあります。焼き場、仕込み場、仕上げ、それぞれが各ポジションの仕事を理解して、フォローしあいます。最高のスピード、最高の仕上がりでお菓子が出来た時は最高のやりがいを感じます。
きれいなチョコレートはきれいな作業の証
チョコレートは作りは難しい、といった声をたびたび耳にします。テンパリングができない、チョコレートは汚れる等。ごまかしが効かず、失敗が顕著にでるのがチョコレートなのです。
そのため、チョコレートを上手くには几帳面な作業が必要、そして技術が必要です。作品を見ればどんな作り手か分かってしまうのです。私自身の成長を図るときには、チョコレートを作ります。
きれいなチョコレートが完成すると満足感がありますが、当然納得がいかない時もあります。その時でも、なぜきれいにできないか理論的に考える時間があります。自然と仕事のなかで勉強させてくれるのがチョコレートなのです。
私はボンボンショコラやチョコのパーツをとるのが好きで、バレンタイン前に苦戦しながらボンボンショコラの型をとったのを覚えています。苦戦した作業こそ、記憶に残るものですね。チョコレートの扱いになれると一気にデコレーションの幅が広がるので、パティシエには必須の技術といえるでしょう。
コンクールで自己表現と成長
パティシエになったからと言って、好きなお菓子だけを毎日作れるわけではありません。レシピは決まっているし、仕事は毎日同じ繰り返しだし、と思う人もいるかもしれません。
そんな繰り返しの日々に、メリハリを与えてくれるのがコンクールです。コンクール準備は業務時間内に行うことは出来ません。フリーな時間も決して多くないため、とにかく負担増となります。
仕事終わりにアイディア、設計から始めます。スケジュール作り、材料手配、段取り、とにかく大変です。しかしそれ以上に自分の考えたお菓子が形になっていくのはワクワクするのです。
私も計4回程度参加しました。残念ながら賞は取れませんでしたが、成長の糧となりました。先輩にコツや作り方を習い、トライする時間は何にも代えがたい時間です。パティシエは同じことの繰り返しの日々ではなく、常に成長が必要な仕事なのです。
お菓子に感動する自分、その思いは引き継がれていく
子供の時に見たショーウィンドウ。私がパティシエになったきっかけです。おこがましいのですが…私が作ったもので誰かが感動してくれるかもしれません。それが次の世代へと引き継がれていきます。
今まではお菓子に感動していた立場ですが、今後は逆です。食べた人に感動してもらえるお菓子を作りたいと思っています。スイーツを作って、販売していますが、お客様の笑顔が見られることが毎日の楽しみです。もちろん成長の過程でつらいこともありますが、そんな辛さもお客様の笑顔や喜ぶ姿を見ると自分の喜びに代わります。パティシエはそんな夢を与えることのできる仕事です。
最後に
簡単にですがパティシエについて記事にしました。決して給料は高いわけではありません、休みも多くありません、待遇が良いわけではありません。しかし、それを超越するほどの素晴らしい体験が出来ます。お菓子作りが趣味では得られなかったものが存在するのです。
冒頭で言ったことをもう一度(笑)
パティシエはお菓子を作り、作ったお菓子で食べた人を幸せな気持ちにする。クリエイティブな作品を手がける職人でありながら、お客様喜ばせ業なのです。
そんな世界にぜひ足を踏み入れてください!!