- デスクワーク
- 肉体労働
大雑把に分けると、どの仕事もどちらかに入るでしょう。就職する際も目安にすることがありますね。私の場合は後者の「肉体労働」を選びました。
高校時代は陸上をやっていたこともあり、体力には自信がありました。机に座って仕事するのも想像ができないし、人と関わることが少ないのも魅力だと感じました。
しかし、結果として自信があった肉体を壊し、退職に追い込まれました。その背景には、あまりの過酷な労働環境があったのです。
- 「肉体労働をしているけどつらい…」
- 「体調を悪くして辞めたい…」
- 「環境がブラックすぎて逃げたい…」
そんな方へ向けて、私の体験談が参考になればと思っています。
激務過ぎ!10トンを一人で運ぶ
私が勤めていたのは食品会社です。醸造と工事管理の業務に約2年間携わっていました。私が担当していたのは肉体労働を担う部署。醸造の工程で発酵させるものを運び、発酵物を次の工程に移す業務を担当しておりました。
物を運ぶ。単純労働ですがその量が常識を超えています。4日間かけて10トンもの原料を運ぶのです。しかも一人で。
10トンの目安
- 成人男性を運ぶと…170人
- お米5kgを運ぶと…2000袋
- 2Lペットボトルを運ぶと…5000本
10トンと聞いてもピンとこないと思うので、目安を載せました。想像するだけで吐気がするほどの量だと思います。肉体を酷使するため、休憩は合間合間に取っていましたが、だからといってだれも手伝ってはくれません。終わるまで一人でやらないといけません。毎日5時間は残業していました。
工事管理は炎天下や匂いがきつく、高所作業、低酸素作業など、過酷な環境の中でも進捗を管理したり、他職場との調整を行っていました。製造が少ない土日に工事を行うことが多く、月3日しか休みはありません。
- 過酷な肉体労働
- 毎日残業
- 3K現場
- 休みほぼ無し
毎日が地獄の様でした。
肉体が悲鳴をあげる
10トンもの物体を人力で運搬します。台車やフォークリフトは使用しますが、積み下ろし、運ぶまでの通路が狭かったり、階段があったり、手で運搬することが多かったです。
筋肉痛→腰痛→肩こり→腱鞘炎
順番におかしくなっていき、体が悲鳴をあげ続けます。また、生産に間に合うようにと急かされ、休む間もなく何度も脱水症状になりました。ある夏の日、とうとう熱中症で倒れてしまいました。熱中症で代わりの人が作業をしていましたが、同じようにおかしくなったそうです。
退職した今でも負荷がかかると簡単に腰痛になってしまいます。仕事も大切ですが、やはり体があっての仕事や生活であると思います。退職してもまだ悩むのですから…。
頭も体も休めない
あまりに過酷な現場。休日が多かったら、残業が無かったら、休憩がもっと取れたら、いろいろ状況は違っていたのかもしれません。しかし、現実はそう上手くいきません。
工事が土日に実施されることが多かったため、その管理のため休日出勤を強制されることも。残業代や休日出勤手当はありません。工事に何かあると怒られるため、無事故でかつ、計画通りに実施しないといけません。責任感に追い詰められていきます。常に集中し、気が抜けなく、精神的にも疲れました。
そうなると寝付けなかったり、家にいても仕事のことを考えたりし、頭や心は休めていない状況が続きます。オンとオフをしっかりできればよいのですが、上司に怒られないように、迷惑をかけないようにする気持ちが勝ってしまい、うまく切り替えができませんでした。
肉体に加えて頭も休めません。なにかに追い込まれていく感覚が常につきまといます。
プライベートは無し!周りと疎遠になっていく
飲み会の誘いに「ごめん、仕事やねん」
同窓会も「ごめん、仕事やねん」
結婚式に呼んでもらっても「ごめん、仕事やねん」
学校を卒業した18歳、遊びたいざかり。けれども仕事から離れられません。また連絡が返せないことが増え、友人とは疎遠になりました。ストレス発散はできず、どんどん疎外感に襲われます。FacebookやTwitterで状況を知る程度で、現実での付き合いがなくなっていきます。
彼女には振られる…
学生時代から付き合っている彼女がいました。卒業してからも縁は続きましたが、次第に状況は悪化。勤務時間が長く、休みもほとんど無し。常に疲れているため、彼女との連絡時間や回数が減り、会う時間も減ってしまいました。
たまに休日があっても体や心がしんどくて、彼女と会うより休息したいと思うようになってしまいます。そうなると破局へまっしぐら。喧嘩することも増え、お互いが分かり合えなくなり、疎遠になり、結局は振られてしまいました。悪いのは私ですが…それを受け入れる余裕が無かったのです。
同僚2名がうつ病で休職!
持ち場が違うため、顔を合わせる時間は少ないですが、私には同僚が2名いました。「どちらも最近出勤しないな」と疑問に思っていました。私自身に余裕が無かったため知りませんでしたが、同僚も体と心が疲れ果ててしまっていたそうです。
朝礼で同僚2名が休職することが告げられます。しかも、うつ病になったとのこと。その時にようやく、私が勤めている職場はブラックなんだと気が付きました。ニュースでブラック企業・ブラック職場について記事を見たり、聞いたことはありましたが、必死すぎて全く気が付きませんでした。
ブラックの怖いところはここです。周りから見たら異常なのに、洗脳されたかのように気づかないのです。これだけひどい環境でも気づくのが、1年半かかったのは今となっては不思議でしょうがありません。
しわ寄せで業務量が増え、さらにしんどい環境になりました。「次は私がうつ病になるかもしれない…」と毎日思うように。相談しようにも同僚はいませんし。他部署も忙しすぎて話をする余裕がありません。一人で抱え込むことになり、余計にしんどくなっていきます。
うつの初期症状!やる気がでない…
- やる気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 会話しなくなる
- しんどい、疲れた、眠たいしか考えない
- イライラしやすくなる
こんな症状が増えていきます。後で分かったのですが、うつの初期症状だそうです。やる気がでないことで、仕事の効率が悪くなる。その分だけ、怒られることが増えてイライラ。前向きに物事をとらえることができず、モノにあたったり、態度が悪くなったり。
彼女には振られた、友人とは疎遠、体の調子は悪い。本当に辛いだけの孤独な毎日になっていました。
最後に
ある日、父親から一言。「仕事大丈夫か?無理してせなあかん仕事なん?体が第一やで?辞めるのも勇気やで?」
何の気ない一言だとは思いますが、私はとても心に響きました。孤独でしたが、ちゃんと見てくれている人はいるのだと感動しました。親と話をして、体が大切とのことで、結局会社を辞めることを決めました。引き止められたり、嫌がらせをされたりしましたが、無事退職することができました。
これも後で知ったのですが、ブラック環境にいると辞めづらくなるようです。それは単に退職をこばむのではなく、過酷な環境におかれて考える能力が失われるから。そこで大事なのが、周りが声をかけること、周りに相談すること。
私はたまたま父親が話しかけてくれましたが、それがなければ今も継続していたかもしれません。それだけブラック環境は怖いのです。数年たった今思えば無理をし、負の連鎖の中にいたなと思いました。
もし、同じような状況の方がいましたら、まずは身近な人に思い切って相談してみてください。きっと良い結果が待っています。