元漫画家が教える!漫画家の仕事はどう?給与は?仕事時間は?気になる点をお答えします

教育

「漫画家」

子供人気のある仕事です。

 

日本が誇るべき漫画文化。ドラえもんは人気アニメとして海外でも放映されています。近年だとワンピース、ナルトが大人気。コスプレイベントが開かれたり、漫画のために来日する外国人も多いそうです。

 

私達日本人はそれこそ子供の頃から親しんできたものです。漫画を読んでワクワク、ドキドキ、ハラハラした経験はたくさんあると思います。

 

男の子であれば「かめはめ波〜」女の子であれば「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」と叫んでいたのでは無いでしょうか。私は昭和生まれなので、もっと若い世代は分かりませんが(笑)

 

これだけ慣れ親しんでいるにも関わらず、漫画家は謎に包まれています。名前は知っていてもテレビで見ることはありません。そして、漫画家がどんな仕事をしているのか?そしてどういう環境で働いているのか?知っている方は少ないのではないでしょうか。

 

  • お給与は安そう
  • 休日はないんでしょ
  • 毎日何十時間も書いている
  • 部屋にこもっている

これは周りからよく言われるイメージです。この記事は謎に包まれた漫画家という仕事について紹介をしていきたいと思います。

 

この記事は誰が書いているの?

元漫画家です。雑誌名は控えさせていただきますが…少女漫画の月刊誌で連載していました。連載は5年超でコミックも出しています。コア層に人気のあった作品です(笑)

漫画家の仕事内容は?

 

漫画家の仕事は「漫画家を書くこと」です。まぁ当たり前の話ですね。100人に聞いて100人が答えられるクイズでしょう。

 

ではその漫画を書くように依頼してくるのはどこかと言うと「出版社」になります。

出版社

かんたんに言うと本を出す会社のこと。少年ジャンプは集英社、少年マガジンは講談社が出版社となります。

漫画家は出版社から「漫画を書いてくれ」という依頼を受けて書きます。漫画家は出版社の社員ではなくて、個人事業主となります。

 

漫画家は個人事業主

出版社に勤務する社員ではなくて、業務を委託される関係となります。漫画を書いてくれと依頼を受けて漫画を書く、その報酬を受け取ることで契約が成立します。

漫画家は小さな会社を経営している1人社長という感じですね。出版社から仕事がこなければ1円も入ってきません。

 

漫画家の給料は?

 

まず原稿料です。

 

出版社「1枚書いたら○円ね」という契約です。1枚1万円とすると20ページ書いて20万円です。これは出版社ごとに違います。

 

書いたら原稿料を頂ける仕組みになっています。ちなみに原稿料はそこからデビュー作、新人、連載作家、ベテラン、人気作家とそれぞれテーブルが違います。

 

週間連載

1万円×20ページ×月4=80万円

月間連載

1万円×20ページ×月1=20万円

週間連載と月間連載では原稿料も全然違います。私は月間連載でしたので、漫画だけの原稿料は少なかったですね。ちなみに私の原稿料は1枚1万円でした。

 

尾田栄一郎さんの原稿料は?

1枚5万円だそうです。

※テレビでやってました

超有名人気作家で1枚5万円です。週間連載のため年間だと5000万になるとか…。私は7年やっても1枚1万円でした。全然違いますね(笑)

 

印税は?

漫画の印税額

発行部数の10%

よく聞く印税という言葉ですが、漫画家には発行部数の10%が入ってきます。ちなみに売上ではありません。発行、増刷が決まった時点でその10%が入ります。ここは作家問わず一緒な割合かと思います。

 

重要なのが「コミックスのみ有効」ということです。コミックス発売になるかどうか…は漫画家にとっては重要なことです。ここまで到達せず辞めていく漫画家もたくさんいます。

 

漫画以外の仕事は?

漫画以外の仕事

  • 本の挿絵
  • 装丁デザイン
  • コラム

あまり知られていませんが、漫画以外の依頼もたくさんあります。出版社から色々と仕事を頂いていたので、かなり忙しい毎日でした。

 

漫画家の給料は?

漫画家の月収入(私の場合)

連載原稿料 :1万円×20ページ=20万

その他原稿料:1万円×30枚=30万

合計:50万

これが1ヶ月の収入でした。もちろん月によって違いますし、印税も多少ですが入金される時もありました。

 

「50万あるなら良くない?」

と思われる方は甘いです…。

 

漫画家でかかる経費

 

先にも書きましたが漫画家は個人事業主のため、漫画を書くために必要な物品は自分で用意をしないといけません。収入が50万だとしても、そこから色々とお金が消えていくのです。

 

漫画家に必要な経費

  • アシスタント代金
  • 原稿に必要な物品代金
  • 食費、生活費

週間連載になると何人もアシスタントが必要となるので、蓋をあけてみれば「全然儲からない?!」なんてこともあります。週刊誌はその分印税が入る可能性が高いので、良いこともたくさんありますね(週間連載したことないので周りの声を参考にしています)

 

アシスタント代金は?

 

ここは正解がありません。作家によって判断や契約が違う場合が多いです。

  • 時給払い
  • 日当
  • 仕事1本につきいくら
  • 月給
  • 年間契約

いろいろありますね。私の場合は「仕事1本につき」契約が多かったです。まれにですが給与が発生しないアシスタントもいます。

 

アシスタント側から「勉強したい」と要求があった場合です。私には滅多にはないですが、人気作家の場合はたくさん逆オファーがあるのでは無いでしょうか。人気漫画家、人気作品に携われるのであれば無給でも良い。そんな漫画家の卵はたくさんいます。

 

漫画家は始めが大変!

 

原稿料は雑誌が発売してから、おおよそ2ヶ月後に振り込まれます。その間は漫画家が全部支払い、持ち出し期間となります。そのため、最低でも3ヶ月は無収入となります。「紙とペンがあれば無一文でもできそう!」という世界ではありません。

 

大手出版社&人気作家は特別待遇

 

出版社や作家の地位によっては、原稿料とは別に年間契約料が支払われることもあります。

  • アシスタント代
  • 生活費
  • 家賃
  • ライフライン維持費
  • 必要経費

これらが別途支払われる場合があります。残念ながら…私のところはそういう仕組みは無かったですね(笑)

 

漫画家の仕事時間は?

 

勤務時間は決まっていません。

「締め切りに間に合わせる」

これだけ守ればあとは自由です!

 

ですが・・・

企業として考えるとブラック企業も裸足で逃げ出す真っ黒っぷりです(笑)

 

読者には全く関係ない部分ではありますが、情熱と創作意欲に突き動かされて作品を生み出しています。そのため、健康や人間らしい生活は捨てないとやっていけません。漫画を書くのが好きじゃなければやっていけない仕事です。

 

「あの漫画また連載おやすみだよ!」

「サボってんじゃないよ!」

こんな意見を目にしますが・・・。実際やっていた身としては、致し方ないことだと(私は)思っています。それだけ命を削って書いているものです。

 

こち亀の秋元さんは1日8時間作業

マンガ原稿の場合、ネームが終わってから作画に入ります。「1枚に掛かる時間がどのくらいか?」は作品と画風によっても違います。描き始めたら終了するまで、ノンストップの作家さんも多いようです(飲まず食わず寝ず)

 

すでに連載は終了しましたが「こち亀」の秋元さんは、9時~17時しか仕事をしないことで有名です。描くのがとても早く、そしてアシスタントの腕が良かったのだと思います。とてもじゃないですが、1日8時間で週間連載を続けるのは信じられません。しかも、休載が一度も無いのも有名な話。とても人間技ではありません(笑)

 

ドラゴンボールの鳥山さんは1週間で睡眠3時間

大人気マンガ、ドラゴンボールを連載していた頃の鳥山さんは、1週間の睡眠時間がたった3時間しかなかったことでも有名です。鳥山さんは事あるごとに完結させようとした理由もよく分かりますね。編集者としては必死で食い止めていたことでしょう…。

 

きっちりと時間を守って規則的に取り組む方もいれば、ありとあらゆるものを削って時間をかける作家もいます。ここは個人差がかなりあるところです。

 

原稿に向かう以外の行動を「外出」と言って、トイレに1日1回だけしか行かない。そういう漫画家までいました。

 

漫画家の休日は?

 

すでにお分かりの通り…休日はありません(笑)

 

もちろん自由にはとれますが、そんな暇がないというのが正しいです。私も全ての人に聞いたわけではありませんが、週刊誌連載で1日まるまる休日を取ってる作家は聞いたことがありません。

 

 

最後に

 

ざっーとですが「漫画家はどうなの?」について書いてみました。もちろん出版社、作家によっても全然違う働きです。私の経験と、漫画家仲間に聞いた話で書いてみました。

 

かなり激務な仕事ではありますが、好きな人には最高の仕事だと思います。といいますか好きでないとやっていけない仕事です。この記事が「未来の漫画家さん」のご参考になれば幸いです。