「医療」「介護」「施設」「終身」「終活」「死」
誰もが生まれた時から医療に救われ、誰もが最後に医療にお世話になります。人が生きていくうえで避けては通れない言葉です。
「なんだか最初から暗い…」と思われるかもしれません。しかし、この内容こそが、専門職を通して感じた「仕事を辞めたい」エピソードに直結します。私は、25歳まで医療・介護について大学で深く学びました。また、実習で実際の現場へ出向きながら実践をしてきました。

高齢者の人生(第二ステージ)をサポートをしたい!!!!
そんな思いを抱いて、猛勉強で国家資格の勉強をし、晴れて思い描いていた仕事に就くことができました。しかし、理想と現実は違いすぎました…。私が目指していた理想とはほど遠く、経営重視の医療・介護に嫌気がさして退職をしました。
医療ソーシャルワーカーとは?
私の仕事は医療ソーシャルワーカーです。医療・介護に関りがないと聞きなれない言葉かもしれません。
- 高齢者福祉施設
- 障害者福祉施設
- 行政機関
- 病院、学校、民間の企業 等
様々な場所で働いています。
その中で、私が働いていた場所は介護施設でした。施設に入りたいと希望がある利用者の相談に対して、様々なアドバイスや指導を行います。また、その後の支援方法、早期の社会復帰、施設への転居等、スムーズな生活が送れるよう支援しています。
いきなり、沢山の「死」を目の当たりに…

高齢者の方々の心の支えとなり、家族のケアにも勤めたい!!!!
と思っていました。
しかし、第2の人生サポートとはいかず、結局は看取りをする現場なのです。入社してわずか1ヶ月、利用者様の名前と特徴を記憶した頃には、数人のお見送りを経験しました。私が毎回悲しい思いをしていましたが他職員はどこ吹く風。終わった後はすぐに仕事に戻り、何も無かったかのようにバタバタと働きます。

みんなには心がないのか?なんで平然とした顔が出来るのか…。こんなのサポートと言えるのか…。
今後どうなるのだろう…と不安で心が折れそうになっていました。
数字(利用者)が足りない!経営の現実を目の当たりに…
不安を抱えたスタートとなりましたが、それでも利用者様から感謝されることに充実感を覚えるようになります。3ヶ月も経つと、利用者様、そのご家族とも良好にコミュニケーションが取れるようになります。とある日を境に、上層部との経営会議参加も業務に加わりました。
初めての経営会議。私にとっては衝撃的でした…。

今年度は数字が足りない!!!
今月2減ったからさ。あと病院回って6は入れて。他に減りそうな予定ある?あるなら状態教えて。
始めは、この数値の意味が分かりませんでした。誰も顔色ひとつ変えないため意味を探ることも出来ません。その後、職員が利用者様の身体状態を説明し始めます。その数字は人の「死」の数でした。増えた、減ったの世界。
「減った=亡くなった」であり、あまりにも無機質な言葉で使われています。経験が乏しい私でも、経営状態が良くないことは察していました。そして、次の日から「病院に患者さんを紹介してもらいに行きなさい」という指示がでました。「営業とは何だ?」と経験、スキル、マナーも教育されず急な指示が出ます。
営業として取り扱うものは「人の命」です。さらには、病状が重い、癌末期、医療を多く必要とする患者を入れろの指示。会社にとっては利益に繋がる上に、看取りを行うため部屋の回転率を上げられるからです。

これが医療・介護の現実なのか…
頭の中は混乱です。それでも営業するしかありません。経営が安定しなければ、現在預かっている利用者様にサービスを提供できないし、私達職員の給料にも関わります。なんとか紹介を貰い、数字を追いかける日々が始まりました。
現場からの陰口、介護職と分かりあえず…
半年も営業経験を積むと、だんだんと病院職員と連携が取れるようになっていきます。ありがたいことに、紹介を頂くことが増えました。入居待ちの利用者様も居る状態になり、会議では褒められることもありました。
しかし、その分だけ現場の介護職、看護師から陰口を言われるようになったのです。

利用者が多すぎ!忙しい!回らない!あんたは関係ないからって好き勝手増やして!
売上を増やすために、必死に患者様を紹介してもらう営業をしたことで、現場職員の負担は多くなったのです。多いところから少なくなるには、さほど苦情は出ないかもしれません。少ない環境から多い環境になると当然忙しくなります。忙しくなったことによる不満の矛先が、営業をしていた私に向けられました。
こに事実に上司は気づいていました。現場スタッフに聞かれない場所で、励ましの言葉もありました。でも、上司自身は嫌われたくないためか、知らないふりをして現場で笑顔を振りまいています。
悪者は私一人…。
最後に
理想と現実は違っていました。
私が甘かったのかもしれません。それでも、現実と向き合って必死になって営業をした結果が、現場から私一人嫌われる立場に。そして、上司も誰も守ってくれませんでした。
- 自己保身に走る上司の態度
- 職員同士の関係
- 上層部の命に対する言葉を選ばない状況
- 人件費がかかるからという理由で補充しない現状
- 職員の不平不満で人間関係の悪化

このまま続けてはいけない…
自分の感覚、大切にするべき価値観、全てを見失ってしまうと感じました。就職してから1年という短い期間でしたが、私は退職という選択をしました。