看護師のやりがいってなに?〈看護師になって10年目〉未来の看護師へお伝えします。

仕事紹介(看護師)

はじめまして、私は看護師10年目になる〈nano〉と申します。

 

学校では看護師、養護教諭の資格を取得。新卒で総合病院に勤めました。結婚出産を経て、現在はまた別の病院で看護師勤務を続けています。

 

「看護師のやりがいってなんだろう?」

この記事を読んでいるあなたは、疑問に持っていることでしょう。

 

  • 今から看護師を目指す学生さん
  • 近い未来、現場で働く看護師さんの卵

 

看護師10年目の私が感じる「看護師のやりがいはなに?」を記事にしていきます。不安や期待にあふれているであろう方々に、何かメッセージが届きますように。

 

患者さんではなく「人」と深く関わる

病気を患っている方を、治療するのが看護師の仕事です。この方を私達は患者と呼びます。

 

ですが、患者さんとしではなく、その人自身に関わることが重要です。それが看護師のやりがいでもあります。

 

病気になった方を一括りに患者さんと呼びますが、一人一人これまでのストーリーがあります。毎日仕事を真面目にして、家族がいて、未来を思い描いて、病気になった自分を想像もしていなかったと思います。

 

そういう背景を知って看護するのと、その他大勢の一人として看護するのでは相手が受け取る印象は違います。

 

看護師の中でも、そこまで考えて看護をしている人は少ないかもしれません。それほど忙しい現場です。

 

もし、あなたがその思いを持ち続けて何十年と働けたら…きっとスーパー看護師になれます。私もそれを目指して日々頑張っており、それがやりがいへと繋がっています。

 

「ありがとう」と言われることが嬉しい!感謝される仕事

看護師はたくさんの「ありがとう」がもらえる仕事です。

 

そんな中でも、なかなか心を開いてくれない患者さん。粘り強い看護を続けた結果、少しずつ打ち解けていく。そして、最後に泣いて感謝してくれる。

 

そんな経験をしたら二度と看護師は辞めようとは思わなくなります。私が経験した事例を紹介します。

 

  • Aさん
  • 60代男性
  • 肝硬変から肝がんに移行

Aさんは私にとって忘れられない患者さんです。

 

まだ新人だった頃に出会いました。定年してこれから老後…という時に病気が発覚します。

 

ご家族の話を聞くと、仕事は一生懸命こなし家族を支えていたようです。一方、不器用でストレスを溜めやすく、アルコールとギャンブルに頼ることで自分のバランスをとっている人でした。

 

それも長くは続きません。アルコールが原因で体を壊し、肝硬変から肝がんに移行してしまいました。入院中は下痢が続き、感染症にかかり苦しんでいました。

 

私はそんなAさんに父を重ねるようになりました。父もまた、アルコールに溺れ、パチンコにのめり込んだ人。同じく不器用で「ありがとう」も「ごめんなさい」もなかなか言えませんでした。

 

しかし、父やAさんが弱いわけではありません。たくさんのプレッシャーに耐えられなくなった、その分だけ何かを守ろうとしたのです。

 

Aさんも周りから散々責められたと思います。「アルコール中毒になって迷惑かけて…」と。でもそれは他人事ではありません。誰しもがそんなリスクを抱えているのです。

 

他の看護師が「Aさんは無口で何を考えているのか分からない」「正直面倒な患者さん」というのを耳にしましたが、私はそう思いませんでした。

 

ただ不器用なだけなんです。感謝を素直に伝えられないだけ。私は父を投影していたので、手にとるように分かりました。

 

そんな思いは通じてくれました。1週間後には、下痢でナースコールを押すときは、必ず体を浮かせてくれるようになりました。

 

また、心なしか笑顔が出るようになります。私のことをまるで娘のように見守ってくれたかのようです。

 

がんは肺にまで転移し、最期は呼吸困難で亡くなりました。父を重ねていたこともあり、私にはAさんの細かな感情の変化が手に取るように分かりました。

 

亡くなった後に奥様から「あなたが担当で良かった、ありがとう」と言ってくださいました。Aさん自身も同じことを嬉しそうに話していたそうです。

 

その言葉、温もり、感情。10年たった今でも忘れることがありません。

 

才能は必要ない!相手を思いやる気持ちが一番大事

「看護師に才能は必要ない」と思っています。

 

私自身、人生でいろいろな挫折を味わってきました。周りより体が小さく、そのこともあって気が小さい。決して頭が良いわけではない。一番をとった記憶もない。

 

それでも看護師を長年続けています。院長からも看護師長は近い、と温かい言葉をかけてくれています。

 

なぜそこまで出来るか?それは「相手を思いやる気持ち」さえあれば大丈夫だからです。特別な才能は必要ありません。

 

「思いやりの心」を私たちは学校生活を通して学んできています。小中学校の友人関係、高校での恋愛、大人になって社会との付き合い。全てに相手を思う気持ちが必要です。

 

患者さんとの関係がうまく言ったとき、すごく看護が楽しくなります。毎日の小さなことでも、その人を理解しての言葉が口から出たとき。そしてその言葉で患者さんの顔や心を緩ませることが出来ます。

 

人の顔色ばかりみて、人の言動に敏感で、ストレスを溜めてばかりだった幼少期。自分の考えに自信がなく、ちっぽけだと自分を責めてばかりいた思春期。自尊心が育っていないと気づいた青年期。

 

けれど、看護師という仕事を通して、これまでの人生経験が決してムダではなかったと分かりました。

 

患者さんにも思いは伝わりますし、誰か一人はその姿を見てくれています。それが、きっとあなたのやりがいにも繋がっていくでしょう。

 

最後に

 

簡単にですが「看護師のやりがい」についてまとめてみました。

 

文字にしてみると…難しいもので(笑)

10分の1も伝わらなかった気もします…。

 

看護師は「自分自身に価値が見出せる素晴らしい仕事」です。

 

ここまで強く思うようになったのは、一度看護師から離れたからです。養護教諭の免許を生かして、教育関連に転職したことがあります。看護師とは違うやりがいを見出しましたが、反対に看護師の魅力を再確認しました。

 

結果として、1年で看護師に戻ることにしたのです。

 

看護師は給与面が充実している、ライフワークバランス、転職しやすい等、他の理由で選ぶ方もいるでしょう。

 

けれど、患者さんの「ありがとう」が聞きたくて、笑顔が見たくて、それをやりがいにしている看護師ばかりです。

 

あなたが看護師になる日を、陰ながら楽しみにしています。お読み頂きありがとうございました。

 

この記事を書いた人
nano

初めまして。看護師の免許と養護教諭の資格をもっています。看護師は10年目です。実生活では、3人の子育て中です。ママナースとして頑張っています♪