看護師として5年勤務するも…ストレスで不眠症とうつ病に。それでも希望する保健師に転職できた体験談。

転職体験(看護師)

「うつ病」というワードを誰しもが聞いたことがあると思います。1年間でうつ病と診断される方は全人口の約2.2%。さらに、生涯で病気になる割合は、全人口の15%と言われています。そして、いつ誰が発症するかはわからないのが特徴です。それほど、身近になっている存在と言えます。

 

私は、30代後半の元看護師です。「うつ病」を理由にこの仕事から離れています。看護師は患者さんの医療処置を行うものです。一方で看護師自身が病気になるケースもあります。

 

この記事では

  • 看護師として5年勤務したこと
  • ストレスでうつ病を発症したこと
  • それでも希望していた保健師に転職できたこと

同じような状況の方になにか勇気を与えられるように。そして、現在は健常な方への警鐘に。何かのお役に立つことを願って。

 

曖昧な理由で看護師になった

看護師になるには国家資格が必要です。その資格を取得するには、最低でも3年間は学校に通わないといけません。勉強することも多岐にわたり、つらい実習を乗り越えて、ようやく辿り着く仕事です。

 

「私は看護師になる!!」と熱い気持ちをもっていれば、それを乗り越えることは出来ます。一方で、私は曖昧な理由で看護師を選択しました。それが、後の病気につながったのかもしれません。私が高校卒業を控えた頃は、就職氷河期の真っ只中です。女性が手に職を持つには、看護師しか選択肢が無いと考えました。

 

就職しやすいだけが理由だったため、看護師に対する強い気持ちがありませんでした。それよりは、保健師、助産師、養護教諭、保健室の先生等、看護師以外の資格取得を希望していました。いずれも、看護学校に入学することで看護師以外の進路を選ぶことが出来ます。

 

地元の看護大学に入学、大変だった学校生活も終了し、いよいよ就職活動を迎えます。希望したのは、自治体の保健師、もしくは養護教諭です。採用試験、教員試験も受けましたが、どれも不合格でした。採用人数が少なかったことや、どれも中途半端な勉強になっていたことが要因です。

 

すべり止めで受けていたのは総合病院の看護師。本来の希望ではありませんでしたが、そのまま看護師として働くことになります。看護師1年目は誰しもがやる気に満ち溢れているものですが、私はその逆。妥協してなった仕事と言えます。うつ病になった原因は、私の甘えも1つの要因でした。

 

まさかの手術室勤務…医師からの無視、罵声

病棟勤務と想像していたところ、配属先はまさかの手術室でした。かなりショックを受けました。手術室は、患者さんは麻酔で眠っており、家族も入ってこれません。現場はスタッフだけとなります。そのため、医師は外来や病棟の時と態度が全然違います。罵声が飛ぶこともありました。

 

私は一人の医師に嫌われていました。無視や暴言は当たり前。極め付けは、患者さんの呼吸状態を確認するよう言われ、麻酔で眠っている患者さんの顔の近くに、私の頭を押し付けられたこともあります。

 

仕事がストレスに感じてしまい、病院を辞めることばかり頭に浮かびます。なんとか脱出したくて、保健師や教員の採用試験も受けていましたが不合格。仕事を続けながらの転職活動は厳しい状況で時間も体力も必要でした。

 

希望していた小児科への異動するも…指導者がおらず新人以下の存在に

看護師3年目直前に、外科・小児科への病棟異動が決まりました。希望していた病棟だったので、すごく嬉しかったのを思い出します。子供が好きだったこともあり、病棟勤務は楽しかったです。

 

手術室で経験していたことは、病棟ではほとんど活かせません。なので、また新人看護師に逆戻りです。始めは、指導担当の先輩がついてくれましたが、わずか1ヶ月後で異動。そのまま指導者が不在となりました。

 

一方、新人看護師には指導者がしっかり付いており、その分だけ私よりスキルが上がっていきました。遅れをとっていることに、焦りを感じつつも、どうしたらよいか分からず置いてけぼり。上司からは連日怒られ、仕事が雑だと陰口で言われ続けます。

 

夜勤により不眠症発症、そして悪化

看護師は夜勤がつきものです。それによって体調を悪くし、看護師としての働き方を変える方もいます。最初に勤務した手術室は当直制でした。緊急手術が入らなければ朝まで寝れます。当直明けは医師と違って帰宅できました。

 

一方で病棟は三交代制の夜勤のある仕事です。夜勤前に仮眠を取っていましたが、睡眠時間が不規則になり寝つきが悪くなりました。不眠症を発症です。市販の睡眠薬を飲み始め何とか改善に務めていました。

 

看護師として迎えた5年目の春、不眠症が悪化します。薬はほとんど効かなくなっており、まともに寝ることが出来ません。心療内科に通院を開始し、軽い精神安定剤も飲み始めました。上司に受診の件を報告したことで夜勤から外れ日勤のみとなりました。

 

うつ病発症…そして半年間の休職

同時に食欲が急に落ちます。これまで食べていた半分の量で満腹になります。1ヶ月で5キロも痩せ、周りからも心配の声があがるようになります。医師からは就労にストップがかかり、うつ病の診断で休職となりました。半年ほど休職し実家で療養。休職中も症状は改善せず、気分の浮き沈みがおさまりません。いわゆる躁うつ状態です。

 

半年たってようやく復帰。まずは、週3回の簡単な業務、リハビリ出勤から始めました。休職する前は出来ていた仕事内容でミスをしてしまい、上司にその理由を問われましたが、自分でもなぜか分からない状態でした。

 

師長からは「もう一度休職しては?」と言われてしまい、ここで看護師を断念、退職を決めました。医療職という立場、患者さんを預かる仕事ですから、師長の判断は正しかったと思います。

 

5年目の終わり、27歳になっていました。

 

療養生活を経て…希望した保健師へ転職

退職後、改めて実家で療養生活をしました。しばらくして求職活動を実施。現在は念願だった保健師の仕事をしています。本当は地元で就職したかったですが、相変わらず保健師の採用数が少なく、実家から離れた場所での就職。それでも、希望が叶ったことは嬉しく思います。

 

夜勤がないので体は楽です。土日が休みなので、生活リズムも規則的になりました。保健師は、医療職ではあるけれど、公務員でもあるので、事務仕事もたくさんこなします。

 

看護師では事務仕事がほとんど無かったので、たくさん勉強しました。保健師は健康な人も対象になり、予防活動もたくさんしています。母子保健の担当だと、児童虐待の予防を求められることもあり、ママや子どもの笑顔が見れると保健師になって良かったと感じます。

 

最後に

 

うつ病に限らず、精神的な問題で仕事を辞めた方はたくさんいると思います。私は落ちこぼれ看護師で、病気も発症しました。それでも、なんとか保健師として仕事が出来ています。

 

病気は完全には良くなっていませんが、それでも環境が変えたことは大きく作用しています。学生時代の友達はすでに結婚して子育て中が多い中、私は婚期を完全に逃しました。人生回り道していると感じることもあります。

 

  • 看護師としてもっと頑張れていたら…
  • はじめから保健師として働けていたら…
  • もっと自分が強かったら…

 

色々な後悔をしてしまう時がありますが、クヨクヨしていては病気に負けてしまいます。今を受け入れる、次はどう行動するか、それが大事だと考えています。

 

自分を攻めてはいけない。自分を大事にしないといけない。同じように病気に苦しむ方、行動することで得られることがあります。その行動は「逃げる」ことです。つらいと思うのであれば、思い切って環境を変えてみてください。

 

求人の少ない保健師に私がなれたのは、まずは看護師から逃げたからです。一歩ずつ進んだことで、目標を叶えることが出来たのです。ゆっくりでいいです。無理はしないでください。

 

もっともっとプライベートの時間を大事にしてほしいです。病気にならないためには、ストレスを溜め込まないこと。社長、上司、同僚、お客様よりも、まずは自分の体と心の健康を大事にしてください。