看護師が働く職場はたくさんあります。病院、福祉施設、検診センター、学校、企業等。その中で圧倒的に多いのが「病院」です。
「本当は違う職場で看護師として働きたい…」
と思っても、多数派に流され病棟看護師を続ける方は多いのでは無いでしょうか。私は最初に勤めた病院を2年で退職し、やりたかった「特養」の看護師に転職しました。
- 看護師として転職を考えている
- 福祉施設看護師について知ってみたい
そんな方へ向けて、私の転職体験談を書いていきます。
病棟勤務=たくさんの患者さんを抱える
私は回復期リハビリテーション病棟にて勤務していました。急性期での治療が終了した患者さんを対象にしています。交通事故等による頭部外傷や脳卒中、脳梗塞といった慢性期の脳神経外科病棟となります。
患者さんの特徴は状態が安定しているとはいえ、いつ急変するか分かりません。予測不可能な事が多く、徹底した管理や看護が必要となります。また、脳疾患を持つと、脳の機能が著しく低下します。意識混濁な方から、会話が出来る方まで多種多様です。その一方で、脳機能が低下したことにより、本能的に自分を抑制することができない方もいます。暴力、暴言です。そのような患者に対しては、看護師が様々な工夫をしながらケアをしなければいけません。
しかし、病院では患者さんを多数抱えるため、現実的には難しいのです。1人の患者さんに対して濃密な関係を作ることは出来ず、流れ作業のようになっています。その現実を目の当たりにし、もっと1人1人の患者様との時間を大切にしたいと考えるようになります。
私はわずか2年で病棟勤務を辞めて、特別養護老人施設への転職を決めました。
どのような転職活動をしたのか?
- 在籍しながら転職活動する
- まずは辞めて転職活動に集中する
どちらかを選ぶわけですが、私は後者の「決まる前に退職」を選びました。看護師資格があるので、もし希望通りの就職できなくても、なんとかなると思っていました。
1.基盤作り
まず実施したのが基盤作り。実家から離れた病院のため、一人暮らしをしていました。職場に退職届を提出した後は、生活を安定させるため、実家での生活をスタートさせました。これは正解な行動で、家族の支えがあったおかげで、転職活動に集中が出来ました。
2.看護師転職サイトへ登録
初めて知ったのですが、看護師専用の転職サイトがあります。一般職と比較して、看護師の人数はどこの病院も足りておらず。専用サイトを使うことで、条件を絞った転職活動ができるとのこと。
実際に使って分かりましたが、言われた通りに進めるだけで転職が出来ました。わずか1ヶ月程度で再就職となりました。周りと比較してかなり早く決まったらしいのですが、あらかじめ条件が明確だったからだと思います。
転職サイトで選んだ項目
- 自分の提供したい看護
- 専門分野
- 働きたい場所(住所)
- 医療・施設機関の種類
私が選んだ条件
- 緊迫した現場ではない
- アットホームな雰囲気がある
- 1人1人と関わりを持てそうな職場
→特別養護老人施設(条件と合致)
また、通勤距離が短いのを望んだため、その意思を転職支援サイト担当に伝えました。他には、離職率はどのくらいなのか、福利厚生や休みは何日あるのか、など。給与や勤務時間の面も考慮しながら、疑問点を聞き解決、納得した上で進めました。
3.面接や履歴書指導
条件にあった求人が見つかり、面接へと進むことになります。面接のコツ、履歴書の書き方等、指導を細かく頂きました。初めての転職となるので、丁寧に教えてくれるのは本当にありがたかったです。
また面接前に担当者はいろいろと段取りをしてくれていました。給与面、仕事内容に関して特別養護老人施設の施設長と下交渉をしてくれていたのです。私は必要な知識を学びつつも、ほとんどやることはありません。面接では簡単な受け答えのみで、あっさりと転職が決まりました。
転職する時の感情はどうだったか?
転職することに不安を持つ方は多いと思いますが、私は前向きな気持ちしかありませんでした。病院勤務により、私が提供したい看護が明確となっていたためです。高齢者看護について向上心をもって知識を蓄えることができました。
脳神経外科病棟で培った経験、知識を活かすことだけ考えていました。認知機能が低下した高齢の方と、どのようにコミュニケーションを図っていくか。それを想像しながら初出勤日を待つことが出来ました。一方で「人間関係は大丈夫なのだろうか…」という不安は少しありました。
転職してどうだったか?
唯一の心配事だった人間関係は全く問題がありませんでした。むしろ、すごく良い!親切な方が多く、和やかな雰囲気の環境でした。「転職してよかった…」と喜びを噛み締めています。
仕事内容(看護ケア)に対する満足度もあります。機械操作を必要とする複雑な看護技術は必要がありません。
施設看護師で求められた技術
- 経管栄養
- PEG
- 排泄管理
- 褥瘡の管理
- 薬の副作用など
看護師としての知識があれば行える単純な作業でした。新しく覚えることは、施設の業務手順、利用者の情報、急変時の家族連絡手段など。心身に負担なく知識を吸収しながら、業務を遂行することができました。大変満足できる転職といえます。
業務への責任に関しては、病棟勤務とほぼ変わりません。病棟勤務では、患者さんの様態をモニタリングしながら、今後起こりそうな問題に焦点を当て、看護や予防が求められます。また、入院通院生活のストレスで、治療に専念できない患者様、心の整理が追いつかないご家族の精神的ケアも必要となります。
介護施設では目まぐるしい環境での看護はありませんが、介護職が犯したミスも看護師の責任となります。そのため、介護職になぜそのようなケアをしていくことが重要なのか、潜在的な問題はなにか、知識を指導共有していくことが必要となります。
高齢者はどれだけ元気に見えても、いつ持病が出現するか予測不能です。疾患や合併症に対する知識が当然必要です。そう考えると、病棟勤務、介護施設どちらにおいても緊張感をもった仕事に変わりはありません。しかし、高齢者施設はアットホームな空気が流れています。利用者がレクリエーション、季節行事を通して、楽しそうに生活されています。それを見る私達も喜びを共有することが出来ます。
最後に
私はこの転職で、自分がやりたい看護にたどり着くことができました。もし、転職に迷われている方がいるとすれば、今の職場の環境を再認識してみてください。
- 自分は何がしたいのか?
- どのようなライフスタイルを送りたいのか?
この2点をしっかり決めて、行動に移すことをお勧めします。すべて自分の人生です。自分の気持ちを大切に、行動することを恐れないでください。自分らしい職場に出会うことを願っております。

病院看護師、施設看護師として勤務していました。しかし、交通事故により脊髄損傷を追ったことで看護師を諦めることに。現在は前向きに色々なことにチャレンジしています!