【未来の看護師へ】看護師24年目!仕事で良かった、苦労したエピソードを紹介。つらくて辞めたいと思うことも…それでも看護師が好き!

仕事紹介(看護師)

看護師になって24年が経ちました。小さい頃に大好きだった祖父から、将来は看護師になってほしいと言われて育ち「私は看護師になるんだ!」と迷わず看護学校へ入学しました。つらいつらい実習、苦しかった国家試験勉強、様々な苦労を乗り越えて看護師になることが出来ました。

 

祖父はすでに他界し白衣姿を見せられなかったことが残念ではありました。しかし、祖父、患者さん、その御家族、スタッフ、たくさんの方々の支えがあったからこそ、24年も看護師を続けることが出来ています。

 

  • 看護実習がつらくて挫折しそうな実習生
  • 国試勉強がきつくて投げ出しそうな学生
  • 看護師になったけど想像していた世界とは違った新人看護師

 

未来の看護師へ。

 

私が24年間で体験した「看護師になって良かったエピソード」を書いていきます。何かの支えに、そして将来の自分に重ね合わせてくれたら嬉しいです。

 

〈つらい〉〈失敗〉看護師で体験したエピソード

私が初めて配属になった病棟は、泌尿器科、整形外科、眼科の混合病棟でした。そこで6年勤務した後、院内の異動で手術室に配属。朝から晩まで手術でひっきりなし。夜中帰り、さらにひどいと明け方帰りになる事もしょっちゅうでした。若かったからやれた事だったとも思いますが、このときの苦労が今に生きていると思います。

 

その手術室には13年勤務し、その後一般急性期病院に2年、管理者として障害者病棟に配属になり今3年目を迎えています。たくさん経験を積みましたが楽しいことばかりではありません。決して楽な仕事ではないことは、仕事にまだついていない看護学生でも想像はつくと思います。

 

様々な失敗も数え切れないぐらい経験しました。いくつか体験談を紹介させて頂きます。

 

1.理由も分からず患者さんに嫌われてしまった

 

夜勤の時、消灯前に病室をラウンドしながら患者さん方に声をかけ消灯していきます。ある患者さんから「昨夜の看護師は声もかけず電気を消した。挨拶もできないのね」と師長に私の事を話したそうです。

 

もちろん声もかけず電気を消すなんてありえません。しかし、師長からは一方的に叱られ、その日からその患者さんには事あるごとに「あんたじゃダメ、他の看護師さんかいいわ」と検温もさせて貰えない日が続きました。

 

それでも、どうしても担当しなければならない日があります。先輩看護師に検温をお願いして対応していましたが、その方が退院するまで毎朝仕事に行きたくないなぁと思ったものです。

 

2.「俺も死ぬのか?」になにも返事が出来なかった…

 

前立腺癌の末期の患者さんが夜中に痛みを訴えて、ナースコールを押してきた時のこと。私が訪室すると苦痛に顔を歪めながら、その患者さんは「俺も〇〇さんみたいに死ぬのか?」と言いました。

 

〇〇さんは3日前に同じ癌で亡くなった患者さんのことです。仲の良かったあの患者のように死んで行くのか?と私に聞いたのです。私は思わず言葉に詰まり何も返事ができません。患者さんは苦痛に顔を歪めて目を閉じでしまいましたが、私はただ癌の転移した足をさすることしかできず、こんな時なんて言えばいいのか分かりません。何も言ってあげられない自分の不甲斐なさに涙したことを覚えています。

 

3.私の甘さで医師からのお叱り

 

手術室に勤務しているときの話です。午後から行われる腹腔鏡手術の準備中に、腹腔鏡手術に使用する電気メスの在庫が全く無いことに気づきました。前日準備で確認していたつもりでしたが、他の作業をしながらの確認作業をしており完全なる見落とし。私の大失敗でした。

 

執刀医に報告すると「患者さんの手術はどうするんだ!なんだお前の顔は。困ってんのはお前じゃない。患者さんなんだよ!なんとかしろ」と叫ばれました。

 

叱咤を受けて私は慌てて近隣病院に電気メスの在庫を確認し、病院まで取りに行き、予定より1時間遅れで手術が始まりました。報告するときの私の顔を見て、執刀医は叱ってくれました。私は心の中で「手術延期は仕方ない」と軽く思っていたのかもしれません。自分が情けなく、そして戒めとなる出来事でした。私の甘さを叱ってくれた執刀医には感謝の気持ちしかありません。

 

〈良かった〉〈やりがい〉看護師になって良かったエピソード

でも、振り返ると私の看護師人生…そんな失敗や辛い思いばかりではありません。たくさんの人との出会いは私を大きく変えてくれました。

 

1.新人の私に「いい看護師になるよ」と言ってくれた患者さん

 

つらいエピソードで話題に出した「俺も死ぬのか」と言っていた患者さん。新人だった私は何も言葉を発することが出来ず、たださするだけしか出来ません。その患者さんはほどなくして亡くなりました。「何も出来なかった…」と後悔するばかり、でも新人だから何をしたら良かったのかも分かっていません。

 

亡くなったあと患者さんの奥さんにお会いしました。「主人はあなたの事を、忙しいのにナースコールを押せば嫌な顔せず来てくれる。痛いところをさすってくれる優しい人、あの子はいい看護師になるよ」と言ってくれたそうです。

 

ただ、さすることしかできなかった私をそんな風に思っていてくれた事が嬉しかった。こんな私でも患者さんが必要としてくれたら、笑顔で対応できる看護師になろうと目標が出来ました。

 

2.執刀医の「あなたが器械出しで良かった」の言葉

 

手術室で私を叱咤した執刀医、この先生とも長く仕事をしました。この方からは患者さん、その家族に寄り添う大切さを学びました。

 

ステージの悪い癌患者さんの手術では「自分の家族だったら、どれだけ時間がかかっても大変な手術になっても治したいと思うだろ?」と18時間の手術を一人で行いました。私はその手術では器械出し(手術の道具を執刀医に渡す業務)を行いました。

 

手術後、執刀医は私に対して「あなた(〇〇さん)が器械出して良かった。器械出しの腕で手術時間は1時間は変わるから」と言ってくれました。あまり褒めることがない医師、手術室に勤務した中で一番の褒め言葉です。

 

「看護師になって良かった、素晴らしい医師に出会えて良かった」と人間的にも成長するきっかけを作ってくれました。

 

3.手術室なのに患者さんから感謝の言葉

 

看護師は感謝の言葉をたくさん頂ける仕事です。患者さん、ご家族、その言葉を聞くたびに看護師になって良かったと感じます。ですが、それは患者と深く関わる看護師の場合がほとんどです。

 

ある時、一人の患者さんが手術室を訪ねてきてくれました。数ヶ月前に手術をした癌患者、20時間超の大手術をされた方です。「おかげさまで元気になりました」とその姿を見せてくださいました。手術室では麻酔がかかっているため記憶がありません。そのため、手術室を訪ねてくださる患者さんなんでまずいません。

 

それでも、この患者さんはわざわざ訪ねて元気な姿を見せてくださいました。「あの20時間、頑張って良かった!こんなに元気になってくれて良かった…!」と涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。

 

未来の看護師へ、メッセージ

私もそんな経験を経て、今も大好きな看護師の仕事をしています。医療現場は看護師や医師、その他の職種がたくさん関わっていく職場です。また、患者さんも、周りの人も、みんな同じ人間です。それぞれに個性があるため衝突したり、相手の言動に納得できず悩む事がたくさんあると思います。

 

「どうしてこんな辛い仕事選んだんだろう…」と涙が出ることもあると思いますが、それ以上に「なんていい仕事なんだろう!」と思える出会いや経験が必ずあります。私には今でも忘れられない患者さんがいます。その人のおかげで私は今ここにいます。これから看護師として成長していく皆さんにも、そんな素敵な出会いや経験がたくはんあるはずです。

 

また、皆さんがやっていること、患者さんに接しながら行っているケア、励ます言葉や姿勢。必ず誰かが評価したり感謝してくれます。間違えること、失敗することもたくさんあります。でも失敗から学ぶこともたくさんです。そして、どの現場にもその失敗をフォローしてくれる先輩や仲間が必ずいます。

 

これから成長していく、看護師の後輩のみなさん。笑顔でいきいきとした看護師として、いつまでも活躍してくれる事を楽しみにしています。

 

この記事を書いた人
matt

看護師歴24年目、ベテランの域に入ってきました。整形外科の病棟、手術室と異動、現在は障害者病棟勤務しています。いろいろあったけど看護師という仕事が好きです。これからも日々成長したいです。