【仕事歴10年】女性がトラックの運転手、ドライバーをやるのはどうなの?

運送物流

人々の生活は、すべて物流によって支えられているといっても過言ではありません。通販で購入したものが宅配で届くのはもちろんのこと、お店で買える食材や衣料品、果ては車から家の材料まで、衣食住すべてに関わるのが物流の仕事です。

 

私は延べ10年トラックドライバーとして働いています。また珍しい珍しい「女性ドライバー」です。

 

  • トラックドライバーの仕事は?
  • 給料はどうなのか?
  • 残業は多いのか?
  • 子育てとの両立は?

 

女性にはハードルが高く感じられるかもしれない運送業ですが、現場の声として少しでも参考にしていただければと思います。

 

女性ドライバーはわずか2.4%

 

「トラックの運転手をやっているんです」

 

このように私が言うと、「珍しい」「すごい」「かっこいい」のリアクションが帰ってきます。それもそのはず。トラックドライバーの女性割合はたったの2.4%です。トラックを100台見かけたら、98台は男性が運転しているということです。女性はかなり少ないです。

 

 

女性は採用されにくいのか?

 

いいえ、女性も採用されやすいです。

 

友人の女性ドライバーもすぐに就職が決まり、また転職も出来ています。そのため、男性だから採用される。女性は採用されない。そういった区分けは無いです。理由は3つあると思います。

 

1つは運送業界自体が人手不足であること。運送業界の仕事に対して働き手がまだまだ少ないのが現状です。そのため、未経験であろうが、年齢がいっていようが、採用されやすい状況です。女性も同じです。

 

2つは女性ドライバーが働きやすくなることです。私が勤める会社もよく求人を出しています。そこには「女性ドライバー活躍中」と書かれています。そのためか、希少な女性から応募がくることがあります。

 

3つは企業がしっかりしている印象を与えることです。男性しかいない職場ではどうしても「ブラック感」が出てしまいます。女性が働けることで、しっかりした会社の印象を与えることが出来るからです(こちらには関係ありませんけど笑)

 

という理由で「女性だから難しい」といったことはありません。

 

なぜ女性でトラック運転手の仕事を選んだのか?

 

私がトラックドライバーを選んだのは、ほんの些細な理由でした。10代の頃、バンドでヴォーカルとして活動していた私は「仕事中に歌える」という理由だけで運送業を選んだのです。

 

あとは人間関係のストレスが少ないです。運転中は一人だけの空間。苦手な相手がいても、同じ空間で1時間以上過ごすことはまずありません。

 

トラック運転手になるために必要なことは?

 

運送業界は転職者もたくさんいます。経験者だけでなく未経験者もたくさんいます。20代、30代はもちろんのこと、40代で未経験者も採用されています。

 

必要なものは「運転免許証」です。これは当然ですね。

 

私がトラックドライバーになった当時はまだ中型免許制度がなく、普通免許を取得すれば4t車まで運転することができました。

 

現在では中型免許制度が導入されています。2t車までなら普通運転免許でも運転できますが、それ以上は中型免許取ってね、ということです。2t車はクロネコヤマトのトラックぐらいのサイズになります。

 

「中型免許が無いと採用されないのか?」

⇛問題なく採用されます

 

もちろん必須な会社もあるかもしれませんが、業界全体で人手不足のため、中型必須であれば求人で集まりません。それでは会社が回らなくなります。

 

普通免許で2t車の仕事をしながら中型・大型免許の取得を支援してもらえる会社もたくさんあります。求人にも「資格補助」と書いてある会社がほとんどですので、応募前にチェックしましょう。

 

トラック運転手の仕事は?

 

運送業といっても会社によって業務の幅は違いますが、大まかな業務はたった3つ。

  • 積み込み
  • 運転
  • 荷降ろし

 

海上コンテナを輸送するトレーラーの運転手なら、荷物に触ることすらありません。宅配業務なら1日に100件以上も回ることもあるし、営業をしなければならないこともあります。

 

女性には「手積み手降ろし無し」がオススメ!

 

女性が働く上で問題となるのが「力仕事」です。

 

運転は男性女性関係ありませんが、やはり力仕事はどうしても劣ってしまいます。そこでオススメなのが「手積み手降ろし無し」です。

 

フォークリフトによる積み降ろししかない会社もあります。

フォークリフト資格

  • 18歳以上
  • 免許保有により変わりますが最短11時間、2万円で取得可能

 

会社で補助してくれるところも多いです。求人で確認しましょう。もし補助が無くても自力取得がオススメです。ドライバーを辞めて、同じ物流業の倉庫作業に転職する時も使えます。

 

ちなみに「手積み手降ろしナシ!」と求人情報で大々的に宣伝していることが多いです。それだけ手降ろしがない会社は人気があります。

 

女性ドライバー(私)が経験した仕事

 

参考までに私が今までに体験した業務をご紹介します。

 

百貨店の包装紙、紙袋などの配送

バラ積み(手積み)した荷物を百貨店に配送。部門ごとに分けて台車に積み、倉庫にすべて納入。カゴ台車ごと積み込み、1箇所に納品。空のカゴを引き取る。

 

コンビニへの飲料の配送

バラ積み。決められた時間にコンビニに到着し、バックヤードに手降ろしで納品。古い物を上にする「先入れ先出し」をしなければならない。

 

生協の個人宅配

バラ積み。1日に60件程度。配達した荷物を渡して、空箱を回収。共済加入キャンペーンや野菜の当日販売など、配送以外の業務もある。

 

自動車部品の配送・集荷

フォークリフトで積み込み、フォークリフトで納品。集荷もフォークリフトで積み下ろし。

 

傾向としては、工場間や工場と倉庫の間での輸送はパレット積み(フォークリフトで積む)、倉庫などから販売店への輸送はバラ(手降ろし)の傾向にあります。

 

トラックドライバーの給料はどう?

 

会社や業務によってピンキリですが、大手や中堅は一般企業と同額程度になります。運転する車両によって給料も変わってきますが、首都圏の相場は大体以下のとおりです。

  • 2t:月額16万~30万
  • 4t:月額22万~40万
  • 10t:月額25万~45万
  • トレーラー:月額25万~50万

もちろんこの限りではなく、歩合制を取っている会社では頑張れば頑張るほど稼げます。残業時間、休日によって10万円以上変動することもあります。

 

トラック運転手の手当

  • 残業手当
  • 無事故手当
  • 家族手当
  • 乗務手当

運送会社は正社員でも日給制のところは多く、休日が多ければ収入は減ります。基本給は安めに設定して手当をたくさんつける会社が多いです。

 

私の場合

  • 3.5t
  • フォークリフトで積み降ろし
  • 月収24万
  • 賞与 夏冬各2万円

賞与すごく少ないですね(笑)

 

大手運送業はそれなりに賞与が出るそうです。給与額については多いと見るか、少ないと見るか、人それぞれだと思います。高卒で入社した私にとっては決して不満というわけではありません。もっと給与額が低いのに、仕事だけは大変な業界はあるでしょうしね。

 

トラック運転手の残業は多い?

 

仕事によりますが、基本的には多いです。

 

私は6:30~18:00ぐらいの勤務が基本で、残業時間は1日2時間半です。運送業法では1日の拘束時間は13時間までとされていて、週2回だけ16時間まで延長できます。

 

その他にもいくつか規制がありますが、実際にはまだしっかり守られていない会社も少なくありません。とはいえ、拘束時間が長い仕事は待機時間も長い場合もあり、待機で2時間ぐらい昼寝ができるような仕事もあります。

 

逆に、生協の宅配をやっていた頃は、配送が終わるまで休憩時間を取ることができず、昼食が16時になることもありました。担当する仕事内容は変わっていくため、一概にいえないところですね。

 

トラック運転手の休日は多い?

 

先にも書きましたが、トラック運転手は日給制を採用しているところが多いです。休む=給与減となるので、なんとも複雑な気持ちです。

 

また、仕事内容によっても変わります。自動車部品の配送は休みが多くなります。基本的に土日休みです。GWも企業がお休みのため長期休暇になります。

 

食品関係は365日仕事があるので、交代制で休むことになります。月4~6日ほどになりますが、休日が少ないのでその分だけ収入は増えます。

 

子育てとの両立は?

 

女性が働くにあたりネックになるのが「子育てとの両立」だと思います。独身者であってもいずれ突き当たる問題です。

 

率直に言うと、子供が小さいうちは難しいです。

 

食品などのルート配送なら勤務時間は固定されるので決まった時間に帰れます。ですが、急に休みを取ることはまずできません。子供が熱を出したから休むということはできません。

 

一人一人行き先が決まっている仕事ですから、代わりの人がいないのです。ここが最大の問題ではありません。ただし、大手や中堅では交代要員を確保している会社も多いので、小さな子供がいる人は大手を選びましょう。

 

社員からアルバイトへ変更、子育てを乗り切っています

 

私は2歳の子供を抱えています。

 

仕事を辞めることも考えましたが、会社から提案を受けてアルバイトへ変更して両立させています。その分だけ簡単な仕事を任されるようになっています。子供が小学校に上がるタイミングでまた社員に戻ろうと思っています。

 

妊娠、出産、子育てとライフスタイルに合わせて柔軟な選択肢が取れるのは良い点です。

 

トラック運転手の魅力とは?

 

最後にですが、トラック運転手の魅力について書きます。女性ドライバーとして10年働いた経験になるので参考になるはずです。

 

魅力1.一人の時間が多い

 

仕事を辞める一番の理由は「人間関係」と言われています。

 

トラックドライバーは人間関係のトラブルはありません!

 

私は人間関係があまり得意ではありません。1度ドライバーを辞めてオフィス勤めをしたことがありますが、その時は精神的にきつかったです。それが問題で退職しドライバーに復帰しました。収入は下がりましたが、人間関係の悩みがなくなり気が楽になりました。

 

トラックの中は一人の空間です。運転しながら飲食できますし、少しの時間であれば私用をこなすことも出来ます。銀行や郵便局に立ち寄れるのもちょっとしたメリットです。

 

反対に…

「一人でいるのが苦手!誰かと話したい」

という方は向いていませんので、絶対にやめましょう(笑)

 

魅力2.運転が上手くなる

 

運転は上手くなります。

 

車庫入れ、縦列駐車といったものは朝飯前。また、荷物を崩さない技術が身につくため、プライベートでも同乗者に不安を与えない運転ができるようになります。運転が上手い女性はカッコいいので憧れの眼差しを受けますよ!

 

魅力3.転職しやすい

 

転職がしやすいです。

 

常に人手不足の運送業界では、経験者は特に歓迎されます。配送先で出会う同業他社のドライバーと仲良くなれば、好条件で引き抜いてもらうこともできます。私も何社かの運送会社を経験して、今の会社に引き抜かれました。

 

年齢が上がると手積み手降ろしの体力がなくなるので、フォークリフトでの積み降ろしは魅力です。そのような魅力的な会社に引き抜かれ、大手企業にまで成り上がることも可能です。

 

一般企業では、例えすごく経験値があっても、年齢次第で就職できないことはザラにあると思います。トラックドライバーにはそれがありません。疲れたから1年休もう、子育て終わったらから復帰しよう、色々な選択肢を取ることが出来ます。

 

最後に

 

「女性ドライバーが増えて欲しい!」

と願っています。

 

まだまだ運送業界は男社会、もっともっと女性が増えなければ変わっていかない業界です。そのため、たくさんの女性ドライバーが誕生することを願っています。

 

この記事では私の体験談を書きましたが、誰かの参考になることを願っています。トラック運転手の仕事は確かに重労働ではありますが、運転が好きならこれほど楽しい仕事はありません。