周りを見渡せば飲食店だらけ。ファーストフード、ファミリーレストラン、飲み屋など。外食するには困らない環境が整っています。
一方で、それだけ多くの飲食店関係者がいるということです。飲食店はブラック環境とよく言われています。長時間残業に耐えかねて転職する人は後がたちません。また、頑張って残ったとしても人員不足からコマとして扱われ、目指したい目標や出世の妨げになってしまうこともあります。
私はそのような体験をしました。
- ブラック環境で長時間残業
- 休みも不定期で予定がたてられない
- 出世を目指したいのに事実上出来ない
就職して3年、短い期間でしたが飲食店勤務が嫌になって転職をしました。選んだのは異業種、その結果何もかもが上手くいきました。同じように飲食店勤務で苦しんでいる方へ…私の体験談がお役に立つことを願っています。
入社1年目でリーダー昇格!順調なスタート
接客は決して好きではありません。そんな私がこの業界を、この会社を、選んだのは出世がしやすいと思ったからです。学歴なし、落ちこぼれだった私が成り上がるには、すぐに上のポストにつける飲食店が最適でした。成果を出せば4年ですぐに店長に上がる、そんな触れ込みから選んだのです。
入社後は店長候補として店舗で勤務を開始。この会社では、レストランやファーストフード店の他に、給食事業の運営も行われています。わりと大きな企業です。
その会社では、キャリアアップのための社内試験があります。順序としては、厨房のリーダー合格後にホールのリーダーを目指すという流れでした。私は入社1年で厨房のリーダー試験に合格することができました。同期の中でも早い出世となります。
順調なスタートをきったと言えます。
はじめての異動!長時間残業に苦しむ
1年が経ちはじめての店舗異動となりました。立場はリーダーとしてです。しばらくは厨房での勤務が続き、徐々にホールの仕事もやるようになっていきました。これは次のステップに重要な学びになる……はずでした。
当時苦しんだこととして「長時間残業」です。朝8時勤務、終わるのが22時なんてことがザラにあります。定時もあったものではありません。以前に勤務していた店舗よりも、従業員の少なく、売上は高い。必然と忙しく勤務時間も伸びていきます。改善を訴えましたが上手くはいかず、労働環境はどんどん過酷に。プライベートの時間も削られていきました。
それでも腐らず、次のホールリーダー試験に目標を定めて仕事に励んでいました。それだけ出世したい、上を目指したい、そんな思いが強かったのです。
24時間営業の店舗に異動!労働環境は最悪に
入社して2年半。社内(裏)で墓場と言われた店舗に配属されてしまいました。そこは24時間営業の店舗です。任されたのは厨房の夜勤です。夜勤は三交代が基本かと思いますが、私の場合は違っていました。毎日夜勤、勤務交代はありません。
夜勤の仕事は想像以上に大変です。食材や器具備品の納品・管理・発注、清掃作業、翌日の仕込みなど、朝までに終わらせなければならない仕事が山積み。
24時からは大抵厨房1人、ホール1人しかいません。お客様が来店されれば当然対応しなければならないので、入客が多い日は営業に追われてしまいます。そうなると、作業がなかなか進まなくなります。そのような深夜の翌日は仕事が残ってしまい、朝来た従業員にはどうして終わらないのかと責められます。お昼近くまで残業ることもあり、体力的にも精神的にも追い詰められていきます。
「出世したい」「上にいきたい」という強い感情はだんだんと影にかくれていきます。この現状からどうすべきか、どう乗り越えたらいいか、逃げ出したい。マイナス感情が顔を見せるのです。
異動するも…また夜勤専属、出世の道も閉ざされる
そんな日々が続いたある日、遂に異動の辞令が出ました。「やっとこの環境から抜け出せる…」と安堵したのを思い出します。しかし、任されたのはまたもや夜勤専属です。リーダー試験はホール業務で昼間行われます。夜勤中心でやっていては試験を受けることすらできません。何度も何度もかけあいましたが、それが改善されることはありませんでした。
出世の道が閉ざされたのです。会社は「待っていればチャンスがくる」と言いましたが、私には全く理解が出来ません。
さらに、その店舗は従業員のスケジュールが確定するのが非常に遅く、次週のスケジュールが日曜の夜まで出ないことが通常でした。休みの予定を組むことができません。過酷な労働条件でも頑張れていたのは、休日に趣味の時間をしっかりと確保できていたからです。それさえも奪われる労働環境に嫌気がさし、心が離れる原因となりました。
会社方針が変わる、経営重視主義でお客様は無視?
また、私が好きだった会社の経営方針もだんだんと変わっていきます。以前は、お客様がご来店してからお帰りになるまでフルサービスを提供していました。料理もカット野菜などは使わず店舗の厨房で調理する。同業他社との差別化をはかるお客様第一の経営方針に、魅力を感じていました。しかし、どんどん人員は削減され、調理工程もどんどん簡略化され、カット野菜や加工済み食品の材料が増え、店舗側の都合にあわせた運営になっていきました。
そんな労働環境では、お客様に最高のサービスを提供することはできません。少ない人員で店を回すことで従業員のフラストレーションも大きくなり、職場の雰囲気も悪くなります。このままここにいても、アルバイトの穴埋め要因でいいように使われるだけです。自分のスキルアップが見込めない、出世も出来ない、先に進めない。
身体的にも、精神的にも追い込まれる日々をこの先も続けていくことに不安を覚え、転職を決意しました。
退職を伝える、そして転職活動がスタート
辞める意思が完全に固まっていたこともあり、上司に退職する意向を伝えるだけでした。ただでさえ、人員不足な職場だったので、すぐに辞められないことはわかっていました。案の定引きとめられましたが、私の意志は揺らぎません。辞められるまでには早くても3か月はかかると言われ、その通りとなりました。
私の場合は職種に関して、ほとんどこだわりがありません。もともと飲食店が好きだったわけではありませんし、入社したのは出世しやすいからでした。現実とは違っていましたが…。
大卒時とは心境の変化もあり、まずはブラック環境を抜け出したいことを一番に掲げました。そのため、飲食業は真っ先に外れます。固定休、有休が取りやすいを条件に探しました。
転職経験のある友人に勧められた転職サイトに登録し、主に休日を使って転職活動を行いました。その中で、自分の条件に見合った会社の面接を受け、内定をいただきました。ゆったりとペースで活動していましたが、2か月ほどで決まりました。
転職するときの感情は?
当時は仕事に対する熱が完全に冷めていました。もう完全に嫌という状態。辞められることが確定してからはとても心が晴れやかでした。それまでいろいろなことを我慢していたので、そこから解放される希望で気持ちが軽くなりました。
務めていた企業が大手であったこともあり、家族にはもう少し続けてみたらなどと言われました。ですが、自分の意志は固かったので迷うことはありません。辞められるという喜びの一方で、新しい仕事への不安は当然ありました。しかし、転職先は研修制度がしっかりとある会社だったので、安心がありました。
転職してどうだったか?
転職して固定休になりました。一般的な生活リズムを取り戻すことができたのです。未経験の業種なので分からないことも多いですが、会社の雰囲気がよく、人間関係に恵まれることができました。困ったときや、悩んでいるとき、いつでも相談できる社内のネットワーク作りがされています。
現在は、設備関係の会社で施工管理として働いています。前職とは全く異なる業種ではありますが、何とか仕事が出来ています。今まで知らなかった分野に触れるのは新鮮でもあります。
まだ新人なのもありますが、仕事量も多くありません。暇な時間もあるくらいです。そこは会社が配慮してくれており感謝です。前職では常に時間に追われていましたが、今は自分のペースで仕事に取り組めます。精神的にとても楽になりました。
休みも充実!もっと早く辞めていれば良かった
固定休になったことで、趣味の予定を事前に組めるようになりました。以前は仕事の都合で諦めていたことも、我慢せずにできるようになりました。予定を合わせにくかった友人との時間も作ることができて、日々充実しています。
今になって前職のことを思い返すと、どうしてあんなに過酷な環境で自分の命をすり減らすように働いていたのかと思います。狭い世界しか見えない環境にいると、そこが当たり前になってしまうから怖いです。
少し立ち止まって、その世界から抜け出して周りを見回してみると、案外逃げ道はたくさんあったということに気が付きます。私は友人と話す中でそのきっかけを見つけたので、職場の異なる友人を持ち、相談することは本当に大切です。
メッセージ
- 仕事はつらいものだと思って我慢するか?
- 自分の理想を求めて転職するか?
それは自由です。
しかし、嫌なことを我慢してまで続ける必要はありません。自分が動かなければ、その環境は簡単には変わらないでしょう。どうせ働かなければならないのなら、少しでも心が軽くなる仕事がいいです。
最初は誰でも不安です。しかし、その不安を乗り越えて行動した先には、より良い景色が見えてくるかもしれません。まずは、じっとして悩み考え続けていないで、一歩踏み出してみてください。