ICUで働く看護師はどうなの?ICUで6年働いて感じたことをまとめました。

仕事紹介(看護師)

看護師として働く場所は多種多様です。

  • 総合病院
  • 単科病院
  • 公立病院
  • 個人病院 など

 

さらには、どこの科で働くのか、病棟で働くのか、外来で働くのか、またはクリニック、訪問看護などで働くのか。選択肢は山のようにあります。

 

就職活動をする時どこでどのように働くのか、とても迷うところだと思います。それでも、新卒の看護師1年生として入職する場合は総合病院を選択する人が多いです。勤務する病棟については必ずしも希望が通るわけではないため、どこの分野で看護師としてのスタートを切るかは入職するまで分からないことがほとんどです。

 

私の場合は、新卒として総合病院に就職しました。「希望の部署1番目は…ICU」と記入し希望通りにICU(集中治療室)への配属となりました。今までの私の経験から、ICUで働くというのはどういうことなのかというのを書いていきたいと思います。

 

  • なぜICUを希望したか?
  • ICUはどんなところ?
  • ICUで行う看護とは
  • ICUで体験したエピソード

 

これから看護師になる、現在看護師でICUでの勤務を考えている、ICUへこれから異動する、そんな方へ参考にしていただければ幸いです。

 

なぜICUを希望したか?

私がICUを希望した理由はいくつかあります。新人看護師の方で「私の考えに近い!」と思った場合、ICUが向いていると思います。

 

  1. 短期間で全科についての知識・技術・看護を習得したかった。
  2. ICUであれば幅広い分野についての経験を積めると思った。
  3. かっこいいというイメージがあり、ICUや救急に憧れがあった。
  4. ICUのような忙しい場所で働くなら若いうちに。

 

ICUはどんなところ?

ICUは病院の中でも、最も重傷患者が入院している病棟になります。ベッド数は病院にもよりますが一般病棟よりかはるかに少ないです。

 

ICUに入院している患者

  • 救急車で搬送されてきた重症患者
  • 開胸・開腹術などの手術後の患者
  • 病院内で急変した患者

基本的に、ICUで治療しなければいけない、生命の危機がある患者が入院しています。

 

人工呼吸器や補助循環装置、透析機器など生命維持に必要な機器が使用されており、最大限の治療ができるようにあらゆる物品、点滴薬が病棟内に備えられています。

 

病室は個室、もしくはベッドの間にカーテンのしきりのみという場合もあります。重症な患者のまわりにはさまざまな医療機器、たくさんの点滴があり、患者は様々な管が繋がれています。その光景だけでも最初は圧倒されとても緊張します。常にモニターのアラームがなっていたり、すぐ横で急変が起こったり、と予測のつかないことが多く起こります。

 

ベッド数に比べると看護師の人数は多く、看護師の配置基準も2:1となっています。麻酔科や各科の医師、臨床工学技士、OT・PTも出入りするため、人の出入りは多いと言えます。

 

ICUで行う看護とは?

ICUで行う看護、ケアとはどのようなものでしょうか。先ほど書いていたように、ICUには常に重傷な患者がいます。

 

看護師の役割としては主に「観察・モニタリング」、「医師の診療の補助」、「日常生活援助」、「医療機器の管理」、「家族看護」などがあります。

 

観察・モニタリング

 

看護師の観察力が非常に求められます。ICUでは血圧、心電図、呼吸、体温などのバイタルサインが24時間常にモニタリングされており、ちょっとした血圧の変化、不整脈などすぐに気づくことができるようになっています。

 

バイタルサインの変化以外にも、瞳孔の大きさや対光反射の有無、顔色や意識状態、末梢冷感や浮腫の有無など見なければいけない項目は多くあります。ドレーンの排液の性状や尿の性状、In&Outバランスも非常に重要な項目です。

 

医師の診療の補助

 

ICUでは点滴管理が厳重にされており、指示通りの与薬、薬剤量の調整が非常に重要です。微量の調節であってもバイタルサインの変動に直結する薬が多く投与されており、1つのミスでも命にかかわる危険があります。また、医師の回診時には処置の介助などを行います。

 

日常生活の援助

 

ICUに入院している患者は臥床安静が強いられていたり、安静制限がある患者がほとんどであり、そのため普段はADLが自立している患者でも治療上の制限からADLが低下している方が多いです。入浴ができない状態であれば清拭を行い、導尿カテーテルが挿入されている方には感染予防として陰部洗浄や排便時の保清ケアが必要となります。口腔ケアや洗面ケア一つもセッティングや介助が必要です。また、褥瘡予防として2時間ごとに体位変換を実施したりします。

 

医療機器の管理

 

ICUではさまざまな医療機器が使用されています。人工呼吸器や点滴の輸液ポンプ、シリンジポンプ、透析機器、補助循環などです。医療機器の点検やメンテナンスや管理は臨床工学技士が行っていますが、異常に気づいて報告する役割は看護師にあり、1~2時間ごとには機器が安全に、正確に作動しているか、設定に間違いはないか確認が必要です。

 

家族看護

 

ICUに入院しているというのは患者の家族にも大きな影響を与えます。重篤な状況が続いていればそれだけ家族にとっての不安・ストレスは強いものになります。状況によっては意識状態が悪く、ご家族は患者本人と話すことすらできません。様々な管につながれている患者を目の当たりにして、何もしてあげることができない家族の無力感やつらさは計り知れません。そのため、看護師は日々の患者の状況を面会時に家族に伝え、必要であれば医師からの病状説明が得られる機会を調整していくことが大切です。

 

また、足浴や洗面のケアなどのケアをご家族と一緒に行えるように調整することもあります。会話がうまくできない患者でも、看護師が手伝うことで家族に伝えたいことを話せることもあります。自分の大切な家族が同じ状況になったとしたら…といつも患者や家族の目線に立って看護をしていくことが必要です。

 

ICUで体験したエピソード

ICUではたくさんの患者との出会いがありました。搬送されてきた時には極めて重篤な状態で、生死の境をさまよった患者も多く、それでも適切な処置・治療を経て回復し、元気に話ができたり歩けるようになった患者を見ると嬉しくなりました。

 

逆につらかったエピソードとしては、ICUでの看取りです。人にもよりますが、私の場合は人の死になれるということができず、看取りの場面というのは感情移入してしまいます。一緒になってつらい思いをしたものでした。中には急変して本当に突然亡くなってしまう方、若くして心筋梗塞などで亡くなる方もいました。また、もう治療を継続しても回復の見込みがない病状であっても、亡くなる最期の瞬間まですべての治療を継続する患者も多く、そういった患者を見ているのもつらい思いがありました。

 

ICU看護師を目指す方、もしくはICUへ配属となった方へ

 

ICUは日々多忙で急変などの緊急場面に遭遇することが多く、常に緊張感のある現場であり、ミスを起こせないというプレッシャーも大きいです。それでも短期間で幅広い知識を習得したり、処置を経験することができるため、看護師としてのスキルアップには確実につながると思います。

 

そのため、ICUで働いていたという経験があることはその後の転職活動時にも強みとなります。つらいと感じることももちろん多いですが、目標のある方、向上心の強い方にはおススメです。働いてみて損になることはないと思います。

 

 この記事を書いた人
Dog
Matsu

看護師歴7年目。新卒で入って以降、ICU勤務を続けています。今も現役の看護師です。