宝石と聞くと「高そう!」「贅沢品!」と思う方が多いのではないでしょうか。
私はその宝石を販売する立場でした。みなさんがイメージする通り、高くてなかなか手が出せないものです。それを売るとなると…とにかく大変でした(汗)
- 宝石販売の営業について
- 上司から受けたプレッシャー
- 数字が頭から離れなくなりストレスで退職
私が体験したことを記事にしていきます。誰かのお役に立つことを願って。
官公庁での宝飾販売営業
主には、官公庁へ出向いて宝飾品の営業販売をしていました。営業と言っても飛び込みではありません。各組合の指定を頂いていたので、言わばルート営業に近いです。その業界では名が通っていて、顧客もたくさんいらっしゃいました。
訪問先のお昼休み、定時後に場所を提供してもらいます。廊下、職場フロア、休憩室、会議室等が多かったです。そこで持参したテーブルに宝石を広げます。通りすがった職員に声を掛け、宝石の購入をススメます。
元々宝飾品が好きだったこともあり、気に入った物を購入して貰いたいと考えていました。しかし、商売はそれだけでは成り立ちません。厳しい現実を学びました。
面接での話と違い…全然売れない営業の日々
この会社の面接を受けた時のこと。今思えばこの時にうまく乗せられました。
- 「官公庁の人達は高給取りだよ」
- 「みんな宝石をよく買ってくれるから楽だよ」
- 「たくさんの人が見に来るからこの仕事は楽しいよ」
あることないこと言われました(笑)
営業のやり方を教わることもなく、入社2日目には訪問先へ出向きました。
販売にいったのは17時頃です。職員の定時は終わっていますが、誰しもが残業で働いています。忙しそうにパソコン業務、そして打ち合わせをしてます。
「みんな見に来るから楽しいよ〜」は真っ赤なウソです。開始3分で気づきました。私たちには誰も見向きもしません。
それどころか
「わ、あいつら来た…」
冷たい視線が向けられた気がします。完全アウェイ。そんな雰囲気で、仕事中の職員に声をかけます。
先輩営業マンは「じゃあ声掛けて来るから、見てて」とさーっと広いフロアの中央付近の人に声を掛けに行きました。忙しかったようで先輩はすぐに戻ってきました。
次は私の番…。忙しそうにしている雰囲気にのまれ、声掛けが出来ませんでした。
「この会社に入って失敗した…」
入社して2日目で後悔をします。
上司からのプレッシャー「数値!数値!数値!」
営業の仕事に目標は付きものです。言い方を変えればノルマです。
- お店全体の目標金額
- 個人での販売した金額
- 何件購入してもらったかの件数
この3つの目標が毎月決められています。
最初の2ヶ月間、売上が少なくとも怒られることはありませんでした。「次頑張れよ」と上司は優しい口調でした。
段々経験を積んでくると、態度はどんどん厳しくなっていきます。
- 「何で売れないんだ?」
- 「売る気があるのか?」
- 「売れるまで帰って来るな!」
- 「お前には期待してたのに、がっかりだよ」
精神的にダメージを受ける毎日です。
風当たりが強いのは私だけではありません。売上が低い日が続くと、上司の口調はどんどんきつくなります。若い社員はどんどん辞めていきました。そうしては、また新しい人を取りの繰り返しです。
ルート営業とはいえ、販売しているのは宝石です。簡単に売れるわけがありません…。仕事中の方に声を掛け、購入まで持って行くには相当な下準備が必要です。
何が欲しいかのリサーチ、演出。時には手土産を持参します。ファミレスや自宅まで伺い商談することもあります。それに掛かる費用は全て自腹でした 涙
横暴な上司に嫌気「買ってくれるまで帰りません!」
数字が上がらないことに業を煮やし、上司自ら営業にいくことがありました。一見すると頼もしい姿勢ですが…その横暴な営業に嫌気がさします。
まず、気が弱そうなお客様に狙いを定めます。「これを売ってくるぞ!」と何百万もする宝石を持って職場や自宅まで出向いていきます。
「買って頂けるまで帰りません!」
この一点張りです。これでは押し売りです…。
営業だから当然と考える方もいるでしょう。仕事のテクニックと言えばそうなのかも知れません。ですが、こんなやり方は私は間違っていると思います。
数値が頭から離れなくなる、このままでは洗脳される
そんな横暴な上司に嫌気がさす。しかし、数年も続けるとそれが自分にも浸透していくのが分かりました。
離職率の高い職場のため、私は自然とベテランになっていました。とある支店のトップを任されることに。
トップになると「数値!数値!数値!」です。とにかく数値が求められます。
入社したときの、お客様に喜んで頂きたいと言う気持ちを失っていました。「どんなやり方をしてでも高額品を買ってもらうぞ!」と悪魔の考えになっていたのです。
キャリアが長くなればなるほど、目標数値も高く厳しくなっていきます。「休日も当然出るんだろ?」と暗黙の指示を受けます。
たとえお休みで家にいても、顧客への電話営業をしていました。365日仕事を忘れることが出来ません。
朝から晩まで、休みの日も、夢の中でも、数字を上げる事だけを考えてしまっている自分がいました。
「もう、疲れた…」
プッツンと糸がきれたように、力が抜けたのです。
つらい毎日から逃げる!退職しました
疲れ果てていた私は退職することを決めました。上司にそのことを伝えると、手のひらを返すように優しい口調で引き止められました。しかし、決意はゆるがないので、最終的には逃げるように退職です。
どの会社もなにかしらの目標数値があると思います。しかし、数字ばかりを追ってしまうと、やりがいを見失います。私はその状態に陥っていました。
現在も営業をしていますが、前会社とは違って数値に追い詰められることが、少なくなりました。
同じ思いをしている営業マンへ。
数字が追われすぎていませんか?
やりがいを見失ったら終わりです。そして、横暴なやり方になにも感じなくなったら、取り返しが付きません。決して無理だけはしないでください。