近年、訪問看護ステーションの数が増えています。
その場所は都市部だけではありません。地方や離島にも訪問看護ステーションが作られています。
私も現在、訪問看護師として働いており、仕事を始めてから3年が経ちました。
- 訪問看護師の仕事はどうなの?
- 給料や休み等の待遇は?
- 訪問看護師で苦労したことは?
- やって良いと感じることは?
この記事では「3年働いて分かった訪問看護師の魅力」について記事にしていきます。
「訪問看護師として働いてみたい!」と考えている方の参考になると嬉しいです。
なぜ訪問看護師を選んだのか?
私がこの仕事を選んだ理由は1つです。
自宅で生活してきた患者さんやご家族の人生を知って、そのお手伝いをしたいと思ったからです。
私は、もともと急性期の総合病院で看護師として働いていました。病院に勤める看護師として、治療がスムーズに進むようにと貢献してきたつもりでした。
とある時、無口な患者さんが入院してきました。
検温をしてる時は目をつぶっていて、話しかけても一言しか返ってきません。どんな人生を送ってきたのか?好きなことや趣味は何か?聞いてみても返答がありません。
家族もほとんど面会に来られないので、その患者さんについて何も知ることがないまま退院していきました。
治療は無事に終わったのですが、看護師としてその患者さんに深く関わることが出来ませんでした。
「自宅に帰った後は一人でやっていけるのだろうか…」と不安に感じたほどです。
一度そのような思いがよぎると、それ以降に入院してきた患者さん全員に同じ感情を持つようになりました。
- 患者さんはどんな生活をしてきたのか?
- 治療に対してどう向き合っているのだろうか?
- 治療後に自宅で生活は出来るのか?家族のサポートは?
日に日に在宅看護について興味を持つようになります。
一度思いつくとすぐに行動に移す性格。「よし!とにかく調べてみよう」という意気込みで、訪問看護師の情報集めを始めることになります。
どうやって訪問看護師になったのか?
まずはインターネットで訪問看護師について下調べをしました。
- 個人経営ステーション
- 法人経営ステーション
この2種類あることが分かり、教育体制がより整っているのは法人持ちのステーションであることを知りました。
勤めていた病院には訪問看護ステーションがありませんでした。
「このまま慣れたところで病院看護師をやるか…」
「思い切って訪問看護師に転職するか…」
最後の最後で迷いました。しかし、もやもやしたまま仕事してもしょうがありません。
思い切ってチャレンジする道を選びます。2ヶ月後には退職して、実家近くの医療法人に転職しました。
「訪問看護師」のため、多少は周辺道路について詳しくないといけません。子供の頃から知っている土地だったので、安心できた点も大きいです。
訪問看護師の仕事内容は?
病院によって仕事内容は変わると思いますが、私がやっていた仕事一覧です。
訪問看護師の仕事
- 自宅訪問、バイタルサイン測定
- 患者さんに合わせたケア(点滴・保清・服薬支援など)
- 看取りケア
- 看護記録
- 待機、電話対応
- 他職種連携(担当者会議参加など)
- 新規患者さんへの利用料金の説明
- 看護報告書と看護計画書、サマリーの作成
- 全患者さんの利用料金の確認
- 研修、委員会参加
メインの仕事は患者さんの家に訪問しての看護です。ですが、思いのほかステーションに戻ってから仕事が多いのが特徴です。
関連職種(主にはケアマネージャー)からくる電話対応が必要です。また、看護師だけでは対応できない場合、こちらから電話で連携をとります。
また、月初と月末には看護報告書の書類作成が必要です。病棟にいた頃よりも、パソコンスキルが求められました。
ステーションとして経営をしているので、看護師自らで利用料金の計算をしなければいけません。事務員を雇っている病院は必要ありませんが、経営視点の勉強にもなるのでオススメです。
訪問看護師の給料はどう?
訪問看護師の給与(私のケース)
- 月給 30万
- 賞与 1.5ヶ月分×2
年収 450万
現在勤めているのは2社目の訪問看護ステーションでの収入です。働く場所によって大きく違うのが現状です。
ネットでは病棟看護師と同じくらいの給料と書いてありますが、1社目は年収350万円とかなり少なかったです。
給与は待機手当が大きく関わってきます。
待機手当
- 1社目…450円
- 2社目…3000円
どちらも法人経営の訪問看護ステーションです。それにも関わらず金額の違いがあります。
残業や休日はどう?
残業は月平均3時間くらいと病棟看護師と比べると圧倒的に少ないです。ただ、パソコンが苦手な方は残業が多くなるかもしれません。
休日は月8日もらっています。この点は病棟看護師とほとんど変わらないです。待機勤務に合わせて調整してくれるため、しっかりと休みを取ることができると思います。
子育てとの両立は?
病棟看護師よりも子育てがしやすい環境です。まず、夜勤がありません!そして、育休も取りやすい仕事と言えます。
1点注意しないといけないのは、運転が必須であることです。妊婦さんにとってはつらいかもしれません。妊娠を機に辞める方はいませんが、事前に考慮しておくべき点です。
訪問看護師で苦労すること
「訪問看護師になってこういう所が困った…」
私が実感したことを紹介させて頂きます。
苦労1.道を覚えるのが大変
「訪問」が必要な仕事ですので、住所をもとにご自宅まで伺う必要があります。
私は昔から方向音痴で。とにかく道を覚えるのが大変でした。患者さん(60人)のご自宅を覚えるのに、3ヶ月もかかりました。
また、場所によっては一方通行や駐車禁止区域があります。グーグルマップを頼りながら、事故や違反がないよう安全運転が求められます。
苦労2.看護師(自分)の判断が求められる
訪問看護師は一人でご自宅へ訪問します。患者さんに異常があった時は、その場で判断して対応しないといけません。訪問した時にはすでに亡くなっていたこともあります。
「何か変だな…」と気づくフィジカルアセスメント力は必須です。状態が悪くなった時は、病院に搬送するのか?自宅で様子をみるのか?本人やご家族の意思決定支援をきちんと行っておくことが必要です。
入院になったらケアマネジャーなどの関連職種にも連絡をしないといけないため、事前にどう動けばいいか想定しておくことが必要です。
訪問看護師の良さと魅力は?
「患者さんやご家族と深く関わることが出来る」
これが一番のメリットです。
家に訪問すると患者さんの全てが分かります。
- 飾ってある賞状…何を頑張ってきたか
- 置き物…どんなものが好きなのか
- 花や畑…園芸が趣味である
- 家の片付け具合…綺麗好きなのか
ここには書ききれないくらい、たくさんのことを知ることができます。
患者さんの生活具合を知ったうえで話をすると、信頼感が生まれます。今後どのように過ごしていきたいか、一緒になって話し合うことができます。
リハビリのためにと家の近所を散歩したり、畑まで行ってみたり、外出支援で一緒に釣りに行ったりもできます。
治療して終わり!ではなく患者さんが望むことを一緒にお手伝いができます。それが訪問看護師の良さ、やりがい、魅力だと私は思います。
最後に
最近、新人看護師でも訪問看護ステーションで働けるようにと教育プログラムが整ってきました。私も5年という浅い経験年数の中、訪問看護の世界に飛び込んでいきました。
しかし、教育制度がどんどん充実していることもあり、なんとか仕事が出来ています。
この記事を読んだ方が、少しでも興味を持ってくれたり、訪問看護師で働いてみたい、と思うきっかけになってほしいと感じます。
患者さんやご家族の人生のお手伝いを一緒にやっていきましょう!