仕事量が多すぎ!忙しすぎて熱中症と過労で倒れた結果…10年間勤めた自動車整備士を辞めました

激務でした
  • 仕事量多すぎる!
  • しかも一人でこんなにも!
  • 本部が指示を出してくるけど…現場のこと知らないでしょ?

 

サラリーマン経験者は、一度や二度は思ったことはあるはず。会社が繁盛するのは素晴らしいこと、そのおかげで私たちもご飯を食べることが出来ます。潰れてしまえば元も子もありません。

 

ただし!

仕事量には限度があります!

いつも泥をかぶるのは「現場の人間」

 

私は自動車整備士として10年間働いてきました。ですが、過労と熱中症で倒れて退職することになります。原因は「一人あたりの仕事量が多すぎる」こと。

 

どこの企業にも「あるある」だと思いますが、人員確保が十分でないところは多いと思います。そうなれば、残された従業員で全ての仕事をこなさないといけません。本部は…見て見ぬふり。そんなのが企業では往々にして存在しています。

 

忙しすぎる自動車整備士の仕事

車の点検・整備が私たちの仕事です。それだけでなくて、接客も業務のうちに入ります。一日の予約分を作業しますが、それだけでは終わりません。

 

30分点検の内訳

  1. 受付
  2. 接客(お茶出し等)
  3. 点検
  4. 追加作業
  5. 洗車
  6. 内容説明
  7. 清算
  8. お見送り

やるべき工程がこんなにもあります。全部一人が担当して30分以内にこなします。遅れれば次のお客様に迷惑がかかり、芋ずる式でその後の予定がずれていきます。

 

部品交換時の追加作業

  1. 部品検索
  2. 見積提示
  3. 部品発注

車両状態によって部品交換が必要になります。そうなるとさらに工程が追加されます。まるでビデオの「早送り」状態。頭の中で作業工程をイメージしても、体が追いつきません。

 

憧れの車屋…実際は激務の職場!

 

「車が大好き、将来は車屋」

 

その念願が叶って、友達に報告メールを送ったのを思い出します。始めは先輩に毎日しごかれて、かなりひどい言葉も浴びせられましたたが、全然苦ではありません。

 

「大好きな仕事」

「車をいじっているだけで楽しい」

 

その思いは段々と薄れていくことになります。仕事を覚えれば覚えるほど任される仕事も増えていきます。息つく暇もない時には、昼休みの時間も無くぶっ通しで仕事をすることも。

 

  • お店で待つお客様(優先)
  • 後日取りに来るお客様(後回し)

 

整備が終わるのを待っているお客様を優先して作業するため、預かった車両整備は後回しになります。そのため、昼休みでお客様の受付がない時間にも対応します。

 

「できるだけ残業したくない…」

 

21時を超える退勤時間。少しでも早く帰りたい、自分の時間をもっと取りたい、それだけを思うように。車をいじって楽しいという感覚は無くなり、膨大なお客様の数にうんざりするようになっていきます。

 

いつも職場にいる工場長

 

整備工場のトップは「工場長」です。工場長は30代前半。離職率も高い職種ということもあり、比較的若い年齢で任されます。

 

「不思議だな…」と入社してからずっと疑問に思っていた事がありました。

 

  • 工場長は誰よりも早く出社している
  • 工場長は誰よりも遅く退社している

 

出社・退社するところを見たことがなかったのです。私は新人であったため朝は一番乗りで出社しようと心がけていました。誰も来ていない時間に出社しても、常に工場長が居ました。

 

私 「工場長って会社に住んでいるんですか?」

工場長 「そんなことないよ(笑)朝は子供と一緒に家を出るとちょっと早く来ちゃうんだよね。夜はみんなの後、すぐに帰っているよ」

 

それは嘘でした。

 

残業を減らすため夜中も作業する工場長

それから3年、相変わらず忙しい毎日を送っていました。

 

そんなある日、仕事終わりに同僚と食事、会計で財布を忘れた事に気づきます。「奢りでいいよ」と支払いを済ませてくれましたが、財布が手元にないのはやはり心配。会社のロッカーに取りに行くことに。

 

中に入ってみると電気が明るく灯されていました。「消し忘れたかな?」と思って中に入ると事実は違っていました。

 

工場長が整備作業をしています。もうすでに深夜12時を回っており、だいたいのスタッフが帰宅する21時もとっくに過ぎています。

 

「おう!どうした?」

「人が少ないから誰かにしわ寄せがくるんだ」

 

工場長は日中に終わらなかった後輩たちの仕事を全て一人でこなしていました。残業するとその分だけ残業代が発生します。みんなのため、会社のために、工場長がその泥をかぶっていたのです。

 

「これが工場長の仕事なのか…」「信じられない…」

尊敬の思いが3割、自分の将来に重ねた不安が7割。当時はそんな感情でした。

 

工場長になってしまった(泣)

 

「〇〇(私)を〇〇支店の工場長に命ずる」

 

数年後、とうとう私も工場長になってしまいました。数年前に見た光景が思い出され辞令を拒否したい気持ち、でもそれは出来もしないこと。数カ月後、工場長としての勤務が始まります。

 

分かっていましたが毎日が激務、本部は「残業を減らせ減らせ」と言ってきます。現場のことは何ひとつ分かっていませんし、理解しようという気も感じません。

 

いかに日中の作業スピードを上げるかが大事で、迅速な判断力も求められます。自分の仕事だけやっていればいい訳ではなく、後輩の仕事も見ながら。とにかく人間の動くスピード以上に動き続けなければ作業が終わりません。

 

「夜中に作業するか…」

私が見てた工場長と同じことを、自分でもしてしまっています。

 

「1日中激務でプライベート時間が無い」

「それを繰り返すだけの毎日」

「なんのために生きているんだろう?」

 

これらの思いが頭の中をグルグルしています。そんな思いとは裏腹に、整備・点検依頼の予約は明日も明後日もギッシリです。

 

体重が激減!70キロ→54キロ

 

過労、ストレス、食事なし。いろいろなことが重なって体重が激減。若いころは70キロ以上あった体重も、60キロを切り、最後は54キロまで。女性並みの体重になってしまいました。

 

体重が減ると力が入りません。前まで出来ていたこと、持てていたものが、持てなくなります。そしてすぐに息切れ、疲れ。実家では親から「本当に〇〇なの?」と言われるほど心配されることになります。

 

「休み」は気づけば夕方

休日は月に数日ほど。夜中まで働いているので起きればお昼すぎ。普段できないことをこなしたり、仕事の段取りを考えていると、気づけばもう夕方。

 

「もう明日は仕事か」

「寝たら終わりだ、明日になってしまう」

「でも寝なければ明日が辛い」

 

生きているか死んでいるかわかりません。楽しみも何もない…。

 

熱中症&過労でダウン

点検・整備する時は担当者が必ずつきます。その担当者が一人で一台の車に関する全ての作業を行います。何人かで分担して作業する、あるいは引継ぎができません。責任問題と、安全のためです。

 

一人あたり何台も、何十台も担当を抱えていますが、それが季節によって変動することはなく、1年中忙しい状況が続きます。

 

その中でも、特につらいのが夏です。整備工場は屋外にあり夏場の温度は異常に上がります。スポットクーラーが設置されていますが、やはり屋外ということもあって、ほとんど意味を成していませんでした。

 

暑いからといって仕事が減るわけではありません。人員がいれば交代しつつ休み休み作業ができますが、現実はそう上手くはいきません。自動車整備士にとってはつらい時期と言えます。

 

この過酷な状況で私に異変が起きます。その日は35度の猛暑、ニュースでも熱中症警戒を促していました。整備作業中に、立ちくらみ症状が続けて3回。休みたい気持ちはありましたが、そんな時間はありません。

 

4回目の立ちくらみで急変。急激な吐き気と、朦朧とする意識。そこで記憶がなくなります。気づくとそこは病院。熱中症、そして過労が根本の原因とのこと。

 

医者「働きすぎです、3日は休んでください」

 

これを言われた瞬間自然と涙が出てきました。「休んでもいいんだ…」と。何か洗脳されていた気がします。仕事というものに。

 

「こんなことするために生まれてきたんじゃない」

 

最後に

 

これがきっかけとなり、その工場を退職することになりました。

 

  • 工場長なんだから責任をもってくれ
  • 人がいないから残ってくれ

 

本部からはいろいろ言われましたがもう限界でした。10年勤めて何も変わらなかったので、この先も変わらないでしょう。

 

それから数ヶ月して、違う工場で自動車整備士としてまた働き始めています。いまさら別の職種にいくことは出来ませんし、なんだかんだ言っても自動車は好きですから。

 

「10年の職歴」「工場長も経験」はかなり強みだったのか、たくさんの企業からオファーを頂くことができました。その中で、自分のペースで働ける企業を選択しました。今は自分の時間を持ちつつ、仕事も適量をこなす毎日となっています。

 

世の中には、仕事をたくさん抱えすぎている、押し付けられている。そんな働き手はたくさんいると思います。そんな時は思い切って辞めるべきです。倒れてからでは遅いですから。

 

「こんなことするために生まれてきたんじゃない」

そう思っているのは私だけではないですから。