どの会社でも離職していく人はいますよね。それぞれに事情がありますので仕方がないと思います。さて、残された人たちはどうでしょうか?当然一人いなくなるのですから、大変ですよね。
私は旅行代理店で働いていて、そのような状況は何度もありました。何よりも「引き継ぎが無い」ことが問題です。お客様とのやり取りがある仕事なのでご迷惑をかけてしまうことも…
はじめて人が抜けてしまうときはパニックに近い状態でしたが、だんだん慣れっこになって諦めている状況にさえなってしまいました。
自分はいつやめようかなと考えている方へ。引き継ぎは丁寧に!これを伝えさせて頂きたいと思いこの記事を書かせていただきます。
キラキラ見えた旅行代理店というお仕事
入社したころは先輩や上司が若い方が多く、活気のある職場だなと感じていました。みんなバリバリ働いていたし、ドラマのようなキャリアウーマンやサラリーマンはキラキラしていました。
しかし、入社して1か月ほどたった5月、先輩のAさんが6月で退社します、という話がありびっくりしました。
「あんなにすごい先輩なのに・・・。何でも分かっていて意見もできてどうして辞めちゃうんだろう?」と疑問でいっぱいでした。
しばらくしてBさんが11月で退社します、という話を聞きました。この方は結婚退職だったのですが、もったいないな、もっと教えてほしかったな、と思いました。
年々働いていくと、辞めていく人が多いために若い人が多い職場で頑張っている状態なのだと分かってきたのです。とにもかくにも、退職者のサイクルが早い仕事なんだな、が1年間で感じた感想です。
何人も離職されていくのが日常だったので、自分もいつか仕事を辞めるのかなと考えるのが当たり前になっていきました。
聞いてない!引継ぎされてないぞー!
残された社員はその仕事を引き継ぎますよね。抱えている仕事にプラスして、引継ぎの仕事量が増えます。
その仕事は残業になったり、休日出勤となったりします。なので、他の社員が辞めると知ると憂鬱な気持ちになりました。
また旅行の販売は担当者がつきます。最初に受けた担当者がお客様とのやり取りを行い、最後まで責任を持ちます。そのため、担当職員でないと分からない状態が多々ありました。
➝お客様に私が引き継いだことを連絡
➝私から旅行について尋ねる
➝お客様が困惑…
「それはAさんにもう渡してある」
「Aさんにオプショナルツアーの予約もお願いをしてある」
「Aさんは送ってくれるって言ったのに」
と内容が食い違うことが多数。
「そんな話聞いてないぞ?!引き継ぎされてないよ!!」
そう思っても辞めた人に詳細を聞くことはできません。お客様にお詫びをして、最初から説明をして頂くことがありました。大事な旅行を預かる仕事…こんなことはやっていては不信感を持たれます。
辞める方は、過去にしていた仕事をクリアに分かりやすく整理をしてから退職してほしかったです。ですが、突然辞めたりする方もいたので、それは難しかったのかもしれません。そういうときは会社が仕組みを作るべきですが、現場で上手くやってねというスタンスでした。
「丸投げやん…」
辞める人がいるたびそんなことを思うようになります。
・パソコン内のデータがどこに保存されているのか
・印刷したデータファイルの置き場所
細かい内容ですが引き継がれていない場合も多く、それを探す時間は本当にムダでした。それで残業が増える。悪循環です…。
引き継ぎ無く辞めるとモチベーションも下がる
辞めていく人がいると、みんなのモチベーションが一気に下がります。
「どうしてあんなに能力のある人がやめちゃったのかな」
「何が嫌だったのかな」
「Aさんの分までがんばるぞ!Aさんの穴は自分で埋める!」
そうポジティブに考える人は私含めて職場にいませんでした。やはり引き継ぎが無いことが当たり前になっていて、モチベーションが上がらなかったのが原因かと。
モチベーションが下がると、効率&業績が下がります。良いことはありません。それが連鎖をしていきます。
「退職ループ」の完成です。
入社前は、定年まで働くという気持ちで入社をしていたのですが、「辞める」ということのハードルはどんどん下がっていきました。
入社直後:あの人が辞めるなんて信じられない
3年後 : 辞めるのは日常のこと、カンタンだし引き継ぎいらないし
と考え方も変わっていきます。
辞めるという選択肢がAさんにとって良い選択肢だったかも、と肯定する考えもでてきました。その空気が蔓延していて、どんどん辞めていく人が止まらなくなりました。
入社後数年で同期は半分以下、先輩上司たちの送別会にも何度出席したのか・・またあとから入った後輩たちもあっさりと辞めていきました。
辞める人は追わずの姿勢
会社の上層部は辞める人を引き止めません。去る物追わず主義。
Aさん「辞めます」
上層部「分かりました」
そんなやり取りだったそうです。旅行業界はGWと年末前がとにかく忙しく、猫の手も借りたい状況です。そんな大きな行事前でも去る者は追わないスタンスでした。
「辞めたければどうぞ、やる気がある人だけでいいです」
そんなことを言う人事部もいました。人気の旅行業界なので、また募集をすればどんどん応募がくると考えていたのでしょう。もちろん大変なのは現場の残された社員…。
やる気がある人が残れば良いというのは正論です。でもこの退職ループを目にして、やる気が出るかというとなかなか難しいものです。
辞めていった人がいたことで、こんなこともありました。
・休日出勤
・1週間連続で終電まで仕事
・大きなプロジェクトを直前で任される
会社からは大切にされている感じを受けませんでした。辞めていった同僚たちとは「長く会社に居られると人件費が上がっていってしまうもんね。会社としては辞めてもらったほうが都合が良いんだよね・・・」と話していました。
ささいなことかもしれませんが、きっかけは「引き継ぎ不足」にあったと思います。もっと仕事を続けたい、辞めにくい、辞めるにしても引き継ぎをして責任を持つ。このような体制だったら私もまだ旅行業界にいたと思うとちょっと残念な気持ちになります。