街の中では至る所で工事をしてます。その中では現場を管理する監督が必ずいます。私はその監督を含めた土木工事(施工管理)の仕事で21年間働きました。
この記事では勤めて分かった「土木工事(施工管理)の仕事はどうなの?」について記事を書いていきます。土木関係に興味がある方の参考になると嬉しいです。
なぜ土木工事の仕事を選んだのか?
私がこの仕事を選んだ理由は2つあります。
1つ目は学生時代のアルバイト先から「うちでぜひ働かないか?」と声をかけてもらったためです。アルバイトは2年間続いたため、正社員になっても働きやすいだろうと感じました。
2つ目は給料が良いことです。残業代込ですが月で約40万もらうことができました。賞与は年間6.5か月、年収で換算すると600万近くなります。当時は1980年代、今とは比較が難しいですが、かなり収入が良い仕事でした。
土木工事(施行管理)に就くために必要だったことは?
大学で土木又は建築関係の学科を専攻すれば良かったんですが、私は専門外の学科を卒業しました。学生時代のアルバイト(ガードマン)のおかげで工事現場が身近なものでした。
工事の内容は専門的なのであまり理解していませんでしたが、どのような雰囲気・環境で行われているかはよく理解していました。ガードマンとして真面目に働いたので、現場監督に声を掛けられ建設会社で働くことが出来たのだと思います。
専門的な知識がなくても会社に入ってから学べば、仕事はできるようになるということです。知識以外では、長時間労働に耐えられるタフさが必要です。むしろ、知識よりも体力のほうが必要な仕事だと言えます。
土木工事(施行管理)はどんな仕事?
現場により細部は違いますが、施工管理の仕事は次の通りです。
土木工事(施行管理)の仕事
- 工程管理…工事がスムーズにいくように
- 品質管理…欠陥がないように
- 安全管理…工事員が安全に作業できるように
- 原価管理…無駄なコストが発生しないように
どの仕事がメインというものではなく全て重要な仕事になります。私が入った会社では上記業務を行う人を【工事】と呼んでいます。他に工事受注をする【営業】、設計をする【技術】の仕事があります。営業や技術スタッフも繁忙期には工事の仕事をすることになります。
土木工事(施行管理)の給料はどう?
土木工事(施行管理)の給料
※私の場合
- 基本給 20万
- 残業 20万
- 賞与 年間130万
- 月給 40万
これは新人の時に貰えた金額で、年収600万近くもありました。かなり良かったのですが残業代に依存していたのも事実です。
残業金額上限は当初の100時間から、50時間、30時間と段々と少なくなっていき、ついに残業代が付かないようになりました。残業時間は変わらず減っていません。残業手当の代わりに建前の管理職手当が5万~10万程度付くようになりました。したがって会社を退職するころの給料は新入社員の頃と変わらなかったです。
残業は多い?
残業時間
※私の場合
月平均 80時間
仕事の処理能力によって前後はありますが、残業が多い仕事です。昼間1日中工事現場で管理をして、現場作業が終わってから書類作成を行うため必然と勤務時間は長くなります。このような状況の為、同業他社でも残業は多いです。
休日はどう?多い?
休日
※私の場合
月4〜6日、日曜休み
建前は週休2日ですが、休日出勤が多いのがこの仕事。規則では土曜日が休みになっていますが、実際はそうはいきません。また日曜日も仕事になることも珍しくないです。また遠方の現場も多く、1か月くらい家に帰れないこともあります。
作業環境はどう?
真夏は炎天下での作業になりますので、相当きついです。日頃職人さんを教育するときに熱中症に注意といっていますが、施工管理をする方も熱中症になることもあります。会社に入ったころは特に対策もなく体力だけが頼りという感じでした。
近年は暑さも相当なものとなっており、対策は必須となりました。をこまめに水分を補給するとか、熱中飴(塩飴)をなめる、それでも現場が涼しくなるわけでは無いのでつらいことには変わりはありません。
一方で冬場はとても寒く、手がかじかんで言うことを利かなく大変。山間部にあるトンネルでの工事の時は特別寒かったです。会社からは防寒服が支給されますがこれだけでは足りないくらい。体を動かして汗をかくことを心がけないと寒くて仕方ありません。
また仮設物(足場)での作業も多く、足場内はとても狭く段差もあり移動が大変です。一般道での工事の他に高速道路での作業もあり、危険でもあります。他には下水管の中や下水処理場での作業もあり、汚い所での作業もあります。
以上のようにデスクワークとはほど遠い作業環境です。先にも書きましたが、体力が必要な仕事と言えます。
土木工事(施行管理)で必要な資格は?
必須の資格
- 自動車免許
- 一級土木施工管理技師
土木工事の場合、自動車免許は必須といっていいでしょう。施工管理の経験がないと受験できませんが、一級土木施工管理技士も絶対必要です。
土木施工管理技士には2級もありますが、こちらはないよりはマシ程度で一級がないとダメです。多くの方は、入社して数年で受験資格を得て資格取得することになります。試験のレベルは高くはないけれど受験勉強を全くしないで受かるほど甘くはありません。
学生時代みたいに勉強する時間があれば簡単に取得できますが、仕事をしながらでは大変です。仕事で夜24時まで、それが終わってから受験勉強では体がもたないし、勉強してもあまり頭に入っていかないと思います。私の場合は、会社が半分負担で3か月の講習(週に1、2日)を受講して、勉強することができたので助かりました。
またかなりの方が、直前(2か月前)に短期講習(2日程度)の講習に行きますが、事前準備ができている人を除いてほとんど役に立たないです。膨大な試験範囲をわずか数時間で講義しますので、講義で理解するのは無理があります。
とはいえ、試験は基本的なことが多く、過去問を3年分ぐらいきっちり勉強できれば学科試験は合格することができます。実技試験は自分が経験した工事について、施工管理(工程・品質・安全等)について記述試験となっているので経験がない人には難しいでしょう。私の会社ではこの資格が取れずリストラされた人もいました。それくらい重要な資格です。また多くの会社でこの資格を取ると手当が出ると思います。
土木工事(施行管理)仕事のやりがいは?
工事が完成すると満足感を得られます。特に苦労した工事ほどそれは大きくなります。また多くの施主(発注者)から点数が付けられ点数が通知されます。点数が良ければ、工事が受注しやすくなるので重要です。点数は工事全般について採点されます。
工事の点数付け
- 完成物の出来栄え
- 見栄えが良いか
- 計画が適切だったか
- 工程管理ができていたか
- 品質管理ができていたか
- 関係機関との協議が適切にできていたか
- 地元対策ができていたか
- 創意工夫ができていたか
多くの項目を検査されます。この検査を受けるために膨大な書類を作成することになります。日々の現場管理に追われて書類整理ができていないと、検査前1週間は徹夜続きになります。
この苦労を乗り越えて良い評価を受けると、表彰されることもあります。1回だけしか機会がありませんでしたが、国土交通省で表彰されたときは誇らしかったのを思い出します。
最後に
この仕事は、知識・体力・交渉力が必要であらゆることに対応できないとダメです。施主との打合せで厳しいことを言われたり、地元からの苦情があったり色々気苦労が絶えないです。この結果、精神的に参ってしまう人も多いです。
それでも、この仕事がこの国を支えているのは間違いありません。様々な建物、設備は老朽化が進んでいるためこれからも必要な仕事です。出来上がったときのやりがいは凄いものがあります。これからもたくさんの方が「土木工事の仕事」を選択してくれることを願っています。