高齢者人口数が増加していく中で、介護職が必要となっています。私もその職員の一人で、介護職として9年目を迎えました。寝たきりの利用者が多いため、私達が身の回りの世話を行います。オムツ交換、体位変換もあるため、力仕事が必要な場面が多いです。
介護士として働き始めて長い年月が経ちました。家庭も持ち、子供もいるため今ではあまり思いませんが、就職して2年間は「なんでこんなつらい仕事を選んだんだろう」「この職場で働きたくない」「仕事を辞めたい」とばかり考えていました。
理由は2つあります。
- 男性介護士だからこそ苦労した
- 新人イジメする看護師がいた
同じようなことを悩む方はきっといるはず…。ということで、私が経験した辞めたくなる2年間について、何かの参考になることを願って書いていきます。
看護師と介護士はなぜ仲良くなれないのか?
福祉業界で一般的に言われていることがあります。介護士と看護師は仲良くなれない!!!!利用者は医療と介護の両方を必要としています。看護師は医療、介護士は介護と、業務の領域が違います。ただし、関わる利用者は同じ、どうしても連携が必要となります。にも関わらず、なぜ仲良くなれないのか?
私なりの分析があります。

私達は医療のプロ!介護士はなにが出来るの?私達の指示をちゃんと聞いて。え?なんで言ったことが出来ないの?

いつも偉そうに…。介護分野はこれが正しいの。医療は大切、でも機械的にやるのは心がない。そして、なんでこんな給料や待遇に差があるの?
こんな葛藤が存在しています。考え方が違うため、どうしても相容れないものなのでしょう。
新入職者をいじめる先輩スタッフ
大学を卒業し現在の職場に入職しました。仕事を覚えるのに必死な毎日を送っている中、先輩看護師による新人いじめを受けるようになります。
小言をチクチクと言ってきます。
- 「あの子は出来るのにあなたは出来ないね」
- 「あなたと仕事しているとイライラする」
- 「(小言で)使えない」
私は男性で相手は女性。女性からこんなにきつい事を言われるのも始めてで、余計にダメージを受けました。介護士の先輩スタッフに相談しても「1年目なんてそんなもんだよ。気にしなくていい」としか言いません。すでに仕事を辞めたくなりましたが、半年間は我慢しようと決心していました。
先輩看護スタッフに言われても耐える。認められるように成長する。ある意味では成長のバネとなってくれました。とてもつらい毎日でしたが…。
男性介護士でしょ?これ全部やっておいて
入社から半年が経ちました。先輩介護スタッフから「仕事が早くなったね」と褒められるまでに。「よし!このままいけば看護スタッフを見返すことができる」と自分でも思っていました。
しかし、現実はそう上手くいきません。仕事は一通り出来るようになってからは「仕事の押しつけ」に形を変えました。
- 「これもあなた出来るでしょ?全てやっておいて」
- 「男性介護士でしょ?出来るでしょ?」
理屈も何もなく…男性だからと押し付けられました。力仕事でもなんでもありません。看護師と分担する業務は、全て私がやることになります。他の介護スタッフもそうなのか?と思いましたが、私だけでした。
全部の業務を行うため時間がかかります。それを見てまた一言。
- 「まだ終わらないの?どんだけ時間かけてんの?」
- 「半年もたってるのに大丈夫?」
- 「あんた何が出来るようになったの?
あまりに心ないことを言われ続けました。「こんな言い方ばっかりなら仕事辞めてやる」と心が折れかけたことを思い出します。何とか踏みとどまったのですが。
あんた男でしょ?腰が痛い?言い訳するな
「あんた男でしょ?腰が痛い?ふざけんな!いちいち文句言ってないでやれ」と言われたのは入職して2年目のこと。
介護職は腰痛を発症しやすいのですが、私にもその症状が現れました。あまりにも痛くて力が入らなかった時期があり、医師からもドクターストップがかかるほど。それでも仕事は休めないので、介護職の上司と相談しセーブしながら何とかこなしていました。
オムツ交換、体位変換は看護師も出来ますが、看護師は医療処置があるため出来ないと言い、ほぼ実施しません。ですが、体調不良の場合は別です。業務を助けあうのが本来の姿です。
ただし、女性介護士が痛めた場合は…です。私がセーブして働くことを知っていましたが、先輩看護師は知らないふり。というよりお構いなしです。「私忙しいからあとよろしく」と言いその場を離れます。
事情を説明しましたが帰ってくる言葉は倍返し。「あなた介護士でしょ?処置出来ないんだからそれくらい我慢してやりなよ」と。やはり、介護士は下に見られています…。そして男性介護士だからという意味も含まれていました。
男性看護師からも見放される
当時は珍しい男性看護師も在籍していました。同性だから理解してくれるかと思いましたが、その考えは甘かったです。「お前がやればそれで済むだろ。なんでおまえのために大変なことをしなきゃいけないんだよ」と言われる始末。
「看護師から下に見られる…」
「男性介護士だから扱いがひどい…」
「信頼関係が作れず利用者にも伝わってしまう…」
様々な感情が、頭の中をぐるぐると回っていました。「もういい加減辞める」と決心をしたことを思い出します。
先輩看護師がいなくなり平和に
辞めると決断したところ、運良くその人は部署移動となりました。働きやすい環境に変わったのです。一番被害を受けていたのは私です。しかし、同僚も嫌な思いをたくさんしたためか、みんなで喜んだことを思い出します。
介護職を目指す方(特に男性)へメッセージ
専門職として看護師の立場が上になっている。それが福祉の現状です。これだけ介護職が必要となっている状況であるなか、勤務は過酷なことがあります。看護師とも距離があり押し付けられる仕事もたくさんあります。その大抵は重労働です。
「介護士て何をする仕事なんだろう?」と考えてしまうこともあります。それでも、何とか9年続きました。この仕事は今後も必要になります。そして、利用者やご家族から「いつもありがとう」と言ってもらえた時の感動は何にも代えがたいです。
男性看護師を目指す方へメッセージ
男性で看護師を目指す方へ。一緒に勤務する男性看護師はここ数年増えています。私自身、介護職として男性看護師の存在は大きいです。なんでも相談できるし、同性だからこそ話せることがたくさんあります。
以前いた男性介護士はひどい人だったのですが、現職員はなにかあれば助けれてくれます。このような男性看護師が一人でも増えて欲しい、と心から思っています。
生意気かもしれませんが…介護士の気持ちをわかってください!
ひとりの男性介護士からのメッセージです。