近年は様々なメディアが進化を遂げています。映画・テレビ・アニメ・ゲーム・アプリと選択肢も広がっていく中で、メディア内では様々なアニメーションが使われています。
身近なところではロゴです。
(↑は適当に作ったロゴなので本来はもっと手間がかかります)
シンプルなロゴとはいえ完成までにはたくさんの時間がかかっています。
取引先「ロゴを作るからいくつか候補を出してほしい」
→候補をいくつか出す
取引先「イメージが違うんだよねこんな感じで」
→ここで方針が見えてくる(早く言ってくれ…)
→また候補をいくつか出す
取引先「そうそこの一案をベースに修正を」
→よし完成!(終わってくれ…)
取引先「作ったらイメージと違った、やっぱりこっちかな」
→再度作成(ま、まじか…)
→何度かやり取りがあって完成
たくさんやり取りがありますが、成果につながるのは最後に赤文字で書いたところだけです。実際に使われるロゴは数時間で作成されますが、それ以上に何十時間とムダ作業になっています。
私もCGデザイナーとして同じような経験を何度もしてきました。作業が増えれば当然残業が必要になってきます。忙しい時は月間100時間以上残業する時もありました。結果として私は退職という道を選びました。
CGデザイナーで良かったこと
もちろん良い点もありました。
基本的なPCの操作、フォトショップやイラストレーターなどのクリエイトソフトは必須とはいえ、経験や特殊技能は必要ありませんでした。地方住まい、専門学校卒の私からすると就職させてもらっただけで有り難い話です。
給与も悪くはありません。正社員として月給25万です。就職したのが21歳のときでしたので、周りは学生か、もしくは高卒や専門卒で働く友人だけ。その中では給与はかなり良い方なので恵まれていたと思います。そのうえ、実家暮らしですのでお金に困ることはありませんでした。
また、月1日はフレックス休暇を頂けました。有給休暇が取りにくいご時世、1日だけとはいえ好きな日に休めたのは救いでした。アーティストのライブやイベントに行ったり、平日のデパートや遊園地は快適でした。
フレックス休暇
自分で休日を設定できる仕組み
自由な社風でした。内勤業務ですので服装はうるさく言われません。ネイルや頭髪の色も自由。むしろ「クリエイターとしてもっと個性を表現しろ!」という雰囲気。自分が思うままに、好き勝手な服装で出勤しており、真夏にはビーチサンダルで出勤することもありました。社会人になったら身だしなみがガラッと変わり、おしゃれを楽しめなくなった友人から羨ましがられることもありました。
終わりが見えない残業時間、月100時間超えも
それでもきつかったのが残業時間です。
私の場合
平均月残業時間
71〜100時間
繁忙期
100時間以上
これは私が仕事が出来ない、あるいは新人だったからではありません。
定時は18時でしたが1度たりともその時間に帰ったことがありません。早くて19時半。22時過ぎに終わるのが普通です。片付けても片付けても仕事は終わらず。
「こんなに頑張っているのになぜ終わらないんだろう…」
と気が狂いそうになったのを覚えています。
残業100時間は「過労死ライン」と呼ばれているそうです。
・疲労が抜けず常にボーとする
・集中力が無くなり頭にはいってこない
・めまい、動悸がする
・死んでしまうかもと猛烈な不安感に襲われる
・手足のしびれ
当時は全部体験したと思います(笑)
今でこそ笑えますが、あの時は限界になりながらも抜けれない。なにか洗脳でもされていたかのようです。それも働きすぎて集中力が無くなった証拠かもしれませんね。
長時間残業の原因
デザイナーで残業が多いのは3つの原因があると思っています。経験者なら「うんうん、分かる」と言ってもらえるかと。
<長時間残業の原因1>依頼主(お客様)
会社に仕事をくれる。間接的ですが私にとってもすごく大切な方です。とはいえ、顧客至上主義すぎて残業の原因になることが多々あります。
良いお客様もいる中で、デザイナーを軽視したお客様がいるのも事実です。お客様が良いデザイン、気に入ったデザインを提供するために努力するのは当然ですが、その過程を大事にしてくれません。
「とりあえず作ってみてくれ」
このような曖昧な指示が多く、いざ作っても全然反応無し。結果として全く違う方向に指示が出ることがあります。
また、何度も何度も修正依頼してきます。
「始めから言ってほしかった…」
と思ったことは数え切れないほどです。
「良いのが出来たね、ありがとう」
そのように言ってもらえるのはすごく嬉しいですし、達成感もすごいです。ですが、そこに至るまでに何十時間という時間がムダに消えているのです。
<長時間残業の原因2>上司、社長
次に会社内の問題。上司、社長です。
取引先にペコペコするのは仕方のないことです。仕事をくれる大切な方なので。ですが「物理的に無理だ!」ということも承諾してくるので、全てデザイナーに負担がかかります。
一番納得いかなかったのは、休日である土曜日に強制出勤させられることでした。「顧客のためにデザインを早めに作ろう」は社長の言葉。
月曜日に取引先が見て「おー早いね、仕事できるね」と思ってもらいたいのでしょう。ただ、この土曜日出勤が身を結んだことは、ほとんどありません。土曜日ですのでクライアントや取引先は休んでいます。打ち合わせ、メール、電話もできませんので仕事は全く進みません。
「出勤したはいいけど…何作れば良いの?」
という状態です。クライアントの要望も一切聞けないので「全然イメージと違う」が月曜日によく聞いたお決まりの言葉。先輩社員が土曜日出勤を考えてもらえないかと提案をしましたが、社長は最後まで意思を変えませんでした。
当時は連休というものを体験したのは数えるほどだったと思います。もちろん、休日手当が出たことは一度もありません。
<長時間残業の原因3>設備環境
設備が整っていなかったことも残業理由の一つです。経費削減のためか新しい機械はほとんどありませんでした。PCスペックはデザイナーにとって死活問題で、古いマシンで多くの仕事を要求されるのに対し、ハード面での無理がありました。
印刷するための出力マシンも数台しかなかったので混雑。結局順番待ちで残業することになり、何もできないタイムロスが多かったです。設備投資は本当に重要だと感じています。
残業が原因で退職、そして転職へ
この環境で1年半働いてきましたが、その間に職場環境は改善されることもなく結果として退職することになりました。病気になったとか、致命的に体調が悪くなったというわけではありませんでしたが、あと数年続けたらヤバイかなという危機感です。体調を崩して再起不能になってからでは遅いですからね。
退職してからはすぐに行動です。次に選んだのもデザイナー。親に頼み込んで学校に行かせてもらった手前、違う職種にするとは言いづらいというのがありました(両親は残業が多いのを心配して別業種をすすめていましたが)
またデザイナーの仕事自体は楽しかったですし、デザインには一生携わりたいなと思っていますので、この世界で頑張ろうという意志は強かったですね。
一度失敗した私が転職する時に意識したこと3つ
結論からお話すると、現在もCGデザイナーとして働いています。転職に成功した形になりますね。残業時間がかなり減り働きやすい職場となっています。給料は当時より減りましたが、それでも体調面・精神面と充実しています。
一度失敗した私が、また失敗しないように転職する時に意識したことが3つあります。同じ悩みを持つ方の参考になると思いますのでご紹介致します。
1.何時間まで残業を耐えられるか?
まずどこの会社に行っても残業はあります。まずは残業を受け入れること。次に「何時間まで残業できるか?耐えられるか?」を考えます。
過去の経験からまとめたもの
・40時間くらいなら耐えられる(1日2時間程度)
・忙しい時でも100時間を超えた時は体調がおかしくなったので避けたい
・休み出勤はモチベーションが下がるので避けたい
この3つでした。少しハードルを下げることで求人を見る際に基準が出来ます。
2.平均年齢が高く女性が多い職場
次にどんな人が働いているか、を大事にしました。女性は結婚、出産、子育てと抱えるものが多いです。平均年齢が高い女性が多いと働きやすい職場の可能性があります。そのような会社は残業時間が少なかったり、あるいは休日もとらせてくれる会社が多いでしょう。
「若い人が活躍!」
反対にこの文字を見かけた時はスルーをしていました。経験則ですが…離職率が高い企業だと思います。前の会社は若手が多かったのですが、使い捨てのように社長に使われておりました。
3.ハード面が充実しているか?
求人誌だけでは分かりにくいですが、面接では見学のお願いをさせてもらっていました。前企業ではハード面が古くムダ残業が増えていましたので、それが無いか働きやすい職場かどうかをチェックします。
新しければ良いというわけではありませんが、デザイナーに良い環境を与えてくれる職場は、デザイナー自身も大切にしてくれるところが多い気がします。反対に古いハードばかりだとできるだけ経費をかけない、という社長の考えが色濃く出ている気がします。
最後に
長々となりましたが、以上私の体験談でした。
現在の職場に勤めて3年がたちました。女性向け案件が多いため、デザイナーも女性が多い職場となっています。残業はやはり30時間くらいはありますが、前と比べれば全然大したことはありません。
私はまだ結婚していませんが、子供がいる女性同士で助け合いが出来るので、環境には恵まれていると思います。