美容師はブラック体質…人間関係に悩んで10年で挫折、夢だった美容師を辞めました。

人間関係

「美容師」と聞いてどのようなイメージをもちますか?

・華やか
・かっこいい
・お客様と会話して楽しい仕事

十数年前にはカリスマ美容師がブームになりもなりました。良い印象を持たれる美容師ですが、負の一面も持っています。

 

・手荒れ
・休みの少なさ(月5日)
・残業の多さ(勤務後に勉強かねて)

世間でよく言われているようにブラック体質です。

 

また、健康の問題あるいは激務を理由として、離職率が高い仕事でもあります。私は10年間という長い期間、美容師として働いてきました。美容師はずっと夢見てきた仕事、腕を磨いていつか自分の店を持ちたいと考えていました。

 

ブラック体質に加えて、人間関係での問題を抱えてその夢は10年で挫折、美容師を辞めました。上司である店長とはどうしても上手くいかなかったのです。オーナー(店長の上司)に何度も何度も助けられてきましたが、それも限界でした。

 

この記事では

・これから美容師として働こうと考えている
・現在美容師として働いていて人間関係で苦しんでいる

そんな方へ向けて私の体験談を記事にしていきます。

 

美容師として順調なスタート

私が美容師として勤務したのは小さな美容院です。同じ系列で3店舗出店していて、本店が1箇所、支店が2箇所となります。本店にはオーナー(経営者)がトップとして存在していますが、各店舗には(雇われ)店長がそれぞれ配属されています。

 

始めに配属されたのが支店です。郊外のお店ということもあり、ゆったりとした空間。手荒れに悩まされることはありましたが、順調な美容師ライフをスタートすることが出来ました。

 

ところが、1年半過ぎたところで本店への異動が決まりました。1年半といえば仕事にも慣れてくる頃です。

  • スタッフとの人間関係が出来上がっている
  • 仕事もこなせるようになっている
  • お客様とも楽しく会話し名前で呼んでくれることもある

 

大変だった美容師という仕事に慣れてきて、毎日が楽しいと思えていました。このまま支店に残りたい気持ちがありましたが、異動することで得られるチャンスや経験があります。

 

「本店で実績を出して認められたい」

 

強い決意をして本店勤務の美容師となりました。この時は店長との人間関係で悩むとは、全く想像していませんでした。

 

初日なのに…何も教えてくれない

強い決意を秘めて本店へ異動、初日を迎えます。

 

美容師として2年目、支店では仕事をこなせるようになっていましたが、それぞれお店によってやり方があるはず。店長に挨拶をした後に仕事をどう進めるか、どうすべきかを尋ねに。

 

店長「好きにやっていいよ」

 

この一言しかありませんでした。好き勝手に仕事するわけにもいかないので、先輩美容師の仕事の合間を見て「何をすべきか?」を尋ねに。先輩も忙しいため、ほとんど相手にしてくれません。

 

「……放置されている」

 

初日から洗礼を受けることになりました。その後、何日か繰り返すことで仕事を覚えていき、雑用はこなせるように。夢だった美容師、ここでくじけるわけにはいきません。

 

顔を合わせない、すれ違いざまにボソッと…

店長はとにかくコミュニケーションを取らない人。苦手なのか、そもそも相手にされてないのか分かりませんが、会話することが出来ません。しかも、顔を合わせることをしてきません。目を合わせない人はこれまでたくさんいましたが、露骨に顔を合わせない人は始めてです。

 

異動してから店長との会話はほぼ無し、営業中はもちろん営業後もです。仕事の話もしてこないため、当然ながらプライベートの話は皆無です。コミュニケーションが取れないため、仕事中に聞きたいことがあっても、寄せ付けない、聞きにくい雰囲気です。

 

「次これやって」は店長からの指示です。もちろん顔を合わせないため、すれ違いざまにボソッと言うだけ。「え?私に?何を言ったの?」

 

始めは戸惑うばかり。時には「ちゃんとやれよ」とボソッと怒られる事もありました。面と向かわずに怒られることがどれだけ怖いことか…。

 

新人が入ってもほぼ辞める!私が永久に下っ端

個人経営の美容院でしたが、毎年4月になると新入社員を迎えていました。時には中途採用するくらい採用には積極的でした。

 

  • オーナーは美容院を良くしようと人材を採用
  • 店長はそんなのはお構いなしに人材を辞めさせる

 

オーナーと店長、同じ方向を目指すべきですがどうも噛み合いません。オーナーも手を焼いているようでした。たくさんの人材を雇って定着させたい、と願うオーナーの気持ちとは裏腹に新人たちは皆同じ悩みを持ちます。

 

  • 「怖くて話しかけられないです…」
  • 「いつも怒ってるんですか?」

と後輩に相談されます。しかし、私も慣れてきただけです。店長のことは苦手であることに変わりはなく、行動の意味も理解できません。

 

店長への連絡業務など新人がやるべき仕事を、変わりにやったことも何度もあります。仕事終わりに相談に乗ったりは日常茶飯事。私も新人、後輩がやめていくのは寂しいですし、定着して欲しいという気持ちが強かったのです。

 

しかし、店長との関係に耐えきれなくなり辞めていく新人は多数。ひどい時は、営業前に店長と口論になり、お店から出て行ってしまい辞めてしまったのもいます。

 

そのたび、私はお店で一番下の立場に戻ります。また新人の仕事に出戻り。片付けはもちろんですが営業中の仕事にも影響が出ます。後輩がシャンプーを出来るようになれば、私が担当するお客様の人数も変わってきます。しかし、誰かが辞めるたびに、私の美容師として成長が後退してしまいます。

 

結局、店長との関係がうまくいかず退社する後輩を20人以上見届けることになりました。私が働いている期間、後輩がいない時が圧倒的に多かったです。

 

お店が不穏な空気に

美容院では1日にどれだけのお客様を対応するかで、売上が変わってきます。言葉は悪いですが、効率よく回していく、お客様をこなしていくことが鍵となってきます。

 

特にウチの美容院は少人数営業、どうしても皆で協力する必要があります。円滑に回せないとお客様をお待たせしてしまうことになり、結果としてリピートへ繋がらなくなります。

 

必要なのがコミュニケーションです。お互いにどう声を掛け合い、どう行動するかを確認し合うことが重要となります。どれだけ忙しい中でも、店長と他スタッフでのコミュニケーション不足による問題は何回もありました。

 

店長は相変わらず顔を合わせず、通りがかりにボソッとだけ怒る。こちらが円滑に回そうと心がけても店長はお構いなし。お客様のことを一切気にしていません。

 

その不満や我慢が限界に達して、オーナーに相談します。

  • 「店長のやり方だとお客様がずっと待っています」
  • 「手伝いますと言いに行っても断られます」
  • 「私はどうしたらいいかわかりません」

 

オーナーがすぐに動いてくれたおかげで、しばらくは店長の行動にも変化が現れました。私たちも仕事のしやすい雰囲気になったことを実感します。しかし、簡単には性格を変えることはできません。1週間したらまた前と同じ状態に戻っています。

 

これを何回も、何十回も繰り返します。そのたびお客様は私たちの元を去り、そして文句を言われるのも私たち。終いには、私が美容師として10年も勤めてきたにも関わらず、仕事を取り上げられるようになりました。

 

お客様のこと、お店のこと、オーナー、全てお構いなし。周りとはコミュニケーションをとらず、自分のやりたい放題で仕事を決める。

 

  • 「もう美容師はいいや…」
  • 「ストレスが限界…」

 

30歳という節目を迎えて退職を決意したのです。

 

最後に

 

オーナーの高齢化、テナントの建物劣化により本店は合併。偶然にも、私の辞める時期とお店の閉店の時期が一致。最後の日までしっかり勤務し、私も美容師として有終の美を迎えました。

 

店長との人間関係は私を苦しめましたが、仕事は本当に充実したものでした。良い事も、楽しいこともたくさんありました。今は違う分野の接客業に転身しています。

 

「美容師として働くか?」「それとも違う職種か?」本当に悩みましたが一度挫折したこともあり、これで美容師としては終わりと決めました。少なからず人間関係の問題ありますが、それでもあのときよりもだいぶ楽にはなっています。