私は10年以上も勤めた介護士を辞めて、物流業へ転職をしました。
その時の年齢は「45歳」
45歳という年齢を普通に考えれば
・勤めている会社では重要なポジションを担っている。
・転職はまず無理
・転職する時はキャリアアップのみ
と思われるでしょう。
しかし、私は思い切って別業界へと転職をしました。その時の体験談を記事にまとめます。
なぜ10年以上も勤めた介護士を辞めたのか?
結論から言いますと、ストレスです。
対人関係の仕事を希望して20代後半に福祉の世界で働き始めました。利用者と関わることは楽しいことも多かったのですが、人間関係がとにかく複雑にからみます。
・介護する相手(利用者)
・利用者の家族
・職員、上司
とにかく複雑でいつも難題を背負っている状態でした。
利用者は「家に帰りたい」
家族は「家では面倒を見れない」
作業療法士は「家に帰れるリハビリをやる」
上司は「点数を取るためにこれもやろう」
みんな考えていることが違い1つの方向を向いていません。
一番負担になるのが利用者で、その板挟みにあうのが私たち介護士なんです。
福祉施設はほとんどの場合は私立です。創始者の理念や理想が強くあり、職員がアイデアを出しても採用されることはほぼありません。はじめに持っていた熱はどんどんなくなり、仕事としてのやりがいを失っていきます。
最初は介護をする方々たちに思いを込めて仕事をしていたのですが、やがて、そのような基本的なことも考える余裕が無くなる。それくらいに追い詰められてきました。
そんな状態で、何のために働いているか分からなっていきます。このままでは精神的に良くない状態になると考え転職を決意しました。
なぜ物流業を選んだのか?
理由は2つあります。
1つ目は興味があったことです。元々、物流の世界や乗り物が好きで、トラック運転手や特殊車両の運転などに憧れていました。そのため、転職先で真っ先に考えたのが物流業でした。
2つ目は人材不足だったためです。物流業は常に人材不足なので、求人がいつでもあります。40歳を越えて無職の期間を少なくしようと、すぐに就職できるところを探したときに、比較的簡単に転職できる業種でもあります。
正直新しい仕事を覚えるのは若い時と比べると、そうとう大変なのは分かっていました。だからこそ、できるだけ自分の好きな業種にした、という理由もあります。
・自分に興味がある分野
・人材が不足している分野
この両方が当てはまっていたので私はラッキーでした。この歳になると異業種への転職はハードルが高いので、給与や残業は目をつぶるしかありません。できるかぎり興味があり、人手不足の業界へ行くことをオススメします。
物流業の仕事内容
食料品の倉庫で入出荷やフォークリフト荷役を行っています。検品、受付事務など、付随する仕事もしており、様々な部署を渡り歩いているような感じです。フォークリフトでは、ジュースや酒類の箱を積みつけたパレットを10mくらいの高さの棚に出し入れします。
受付事務は、パソコン入力や伝票整理が主な仕事です。飲料の箱を持つので力仕事をすることもありますが、フォークリフトが使えるので、身体の負担は少なく働けます。
6:00〜12:00 入荷受付事務、入荷品の運搬
12:00〜13:00 お昼休憩
13:00〜15:00 午前の続き、出荷作業(ピッキングや補充)
朝6時から15時まで8時間勤務。土日はお休みです。
出荷量が多い時には残業します。夜通しの残業で翌日まで仕事した、という勤務はありません。中途採用で大変な思いをすることを覚悟していましたが、大事に扱ってくれています。
40代でどうやって転職したのか?
介護士を辞めた後、物流業に行きたいという思いがありました。それと同時に「自分に合うのかな」という不安も持っていました。
おそらく、人生最後の仕事になります。次の転職はまず無いと思っていたので、後悔だけはしないようにという気持ちです。ちゃんと仕事を選ばないといけない慎重な気持ちと、無職で焦る気持ちが半々の状態。不安定な毎日でした。
まず私がやったのは「どんな職種に向いているか」を模索すること。派遣会社に登録し様々な現場で働きました。そのときに働いた現場の一つ。それが今勤めている会社です。
他の派遣先に比べて働きやすく、社員や他職員との人偏関係が良好でした。介護士の時に感じていた人間関係の息苦しさとは全然違うものです。
次第に「この会社に勤めたい」「ここに転職したい」と思うようになっていきます。なお、転職にあたっては派遣会社と現在の会社の間で情報交換を行っていただき、円満に転職できました。派遣労働者の引き抜きではないこと、私自身の意思であることを確認するためです。
契約社員としてスタートをしました。雇用しているだけでもありがたいですし、このまま契約社員でも良いとさえ思っています。ただ社内には社員登用制度がありますので、必死で努力をして1年後には社員として働けるようにしたいと考えています。
ハローワークは使わなかったか?
ハローワークは利用しませんでした。
40歳代可の求人が少ないためです。これは事前に分かっていました。あとは物流業に行きたいという希望があったからです。
ハローワークは登録が無料なので、会社側はとりあえず募集しとけば良いという考えをもっていると聞きます。年齢の問題で余裕も無かったことから、本気になって対応してくれる派遣会社を選びました。
物流業に転職して実際のところ
正直言って40歳代の転職可能な求人はとても少ないです。自分が経営者でも慎重になりますし、仕方のないところでしょう。
しかし、物流業は常に人材不足の状態です。年齢や経験不問の求人が多数あり採用率も高いです。倉庫作業(フォークリフト・積み下ろし等)は嫌と思わなければ、物流業はオススメです。
ただし、はじめから正社員での求人はほとんどありません。選ばれるとしても経験者のみです。正社員はパート、派遣社員の中から選抜して採用されています。
私はまだ契約社員という立場ですが、1年前に入社したパートさん(43歳)は最近社員へと登用されました。人手不足ですので、頑張ればいつか結果が出ます。はじめから社員を期待するのではなく、まずはパートでも良いという気持ちが大事です。
私は前職が介護士でしたので安月給でした。その時は正社員でしたが、現在の仕事と収入はほとんど変わりがありません。社員という立場を大事にし10年以上も続けてしまったのは、今となっては少し後悔しています。
40代で別業界へ転職する方に伝えたいこと
この年齢での転職は、求人が少なかったり採用率も低かったりと、ハードルが高くなります。実際に転職を考えている方は、大きな不安を持っていると思います。
しかし、決して無理というわけではありません。
「この歳で新しい業界を知ることができる」と前向きに考えてみると良いと思います。どうせ無理だ、と思っていれば採用官にも見抜かれます。自分なら出来ると自信を持って望むのは大切です。
40代の転職のポイント
40代で転職を経験し、40代で転職をしたいと考えている方へ。私が感じた大切なポイントをまとめます。
基礎から仕事を覚える覚悟
これまでの人生経験はとりあえずリセットしてください。新卒のときのように全てを学び受け入れるという姿勢が必要です。傲慢さ、プライドはなんの役にもたちません。
年下の上司や同僚が多くいることを覚悟
時には年下から命令や注意を受けることがあります。悔しいと思う気持ちがあっても、教わる立場なので素直に従います。
あちらも年上を使ってやりにくいはずです。自分が年上だからと反論したり持論を展開したりすると就業しにくくなります。
資格を取得し、転職先で活かす
40代の求人は即戦力扱いがほとんどです。転職前に資格取得をしておくと採用されやすくなり、次の仕事のイメージもつかめます。介護業界ならヘルパー、事務ならパソコン(ワード・エクセルなど)が必須です。
私の場合は派遣会社でたくさんの倉庫を経験できたことが大きかったです。その間にフォークリフト資格も取得したので、働く準備ができていたと言えます。
自分の興味のある分野を探す
40代で転職し、その後再度転職はやはり難しいです。経済的にも厳しいはず。すぐに退職することのないように、基本から仕事を教わるときにストレスが少ないよう、自分の興味のある分野での仕事をすすめます。
長く続けられる仕事を考える
・給与はいくらなのか
・残業は多すぎないか
・休みはちゃんとあるのか
仕事をするうえで気になるところです。ですが、待遇は忘れたほうが良いです。
転職を繰り返すと条件が悪くなることがあるので、あまり理想を追わず、無理なく働けるところを探すほうが安定に繋がると思います。
私の会社も決して良いわけではありませんが、仕事が楽しく、居心地が良いため、結果として長く勤められると感じています。その分給与が入ってくるので、待遇よりも続けられるに焦点を当ててと良かったと感じます。
最後に
年齢は言い訳にすぎませんが、40代は体力的にも若者には劣ります。これは仕方のないことです。
・気持ちをリセットすること
・自分は未経験者と常に謙虚でいること
・目の前にあるすべてのものを覚えよう
・自分のものにしよう
これらの気持ちが成功のカギとなるでしょう。あなたの周りにきっと助けてくれる人がたくさん出来ているはずです。